1. 代表的な鍋料理の種類

まずは寄せ鍋・しゃぶしゃぶ・おでん・すき焼きといった定番の鍋料理を紹介する。
その1.寄せ鍋
寄せ鍋は、最もスタンダードな鍋料理の一つである。具材に特別な決まりはなく、肉類・魚類・野菜類・キノコ類・豆腐・白滝などを、昆布・かつお・キノコなどの薄味の出汁で煮込んで作ることが多い。また、地域によっては味噌味や醤油味などの汁で煮込むこともある。
その2.しゃぶしゃぶ
しゃぶしゃぶは、肉類や魚類などを煮立ったスープにくぐらせて食べる鍋料理のこと。一般的には牛肉や豚肉などを使うことが多いが、鶏肉、ブリ、タイ、カニなどを使うこともある。スープは薄口の昆布だしであることが多く、小鉢に入れたポン酢やゴマダレをつけて食べるのが一般的だ。
その3.おでん
おでんは、カツオだしや昆布だしなどに、大根・茹で卵・練り物・こんにゃく・肉類などを入れて煮込んだ鍋料理(煮物料理)のこと。地域によって具材や味付けに違いがあり、特色のあるおでんを楽しめる。冬の時期になるとコンビニエンスストアのレジ横コーナーでも販売されている。
その4.すき焼き
すき焼きは、浅鍋を使って牛肉やそのほかの食材を焼いたり煮たりして作る鍋料理のこと。また、通常は溶き卵に絡めて食べることが多い。関東と関西で作り方が異なり、関東では煮立った割下に具材を並べて煮て作る。一方、関西では牛脂を塗った鍋で牛肉を焼いてから割下を加えて仕上げる。
2. 具材が特徴的な鍋料理の種類

鍋料理には、カニ鍋・フグ鍋・あんこう鍋・モツ鍋・さくら鍋・ボタン鍋のように、メインの具材を強調したものも数多くある。そんなメインの具材が特徴的な鍋料理を確認しよう。
その5.カニ鍋
カニ鍋とは、タラバガニやズワイガニ、毛ガニなどのカニをメイン具材にした鍋料理のこと。濃い目のスープで作る「カニすき」、薄めのスープで作る「カニちり」、しゃぶしゃぶのようにして食べる「カニしゃぶ」などの種類がある。野菜類・キノコ類・豆腐などと一緒に煮込んで作ることが多い。
その6.フグ鍋(てっちり)
フグ鍋(てっちり)は、トラフグやマフグといったフグをメイン具材にした鍋料理のこと。特に関西圏では「てっちり」と呼ばれている。フグの繊細な味わいを引き立てる薄めの昆布だしなどで煮込んで作る。また、フグやそのほかの具材をポン酢醤油につけて食べるのが一般的だ。
その7.あんこう鍋
あんこう鍋は、主に茨城県や福島県で食べられているアンコウ(キアンコウ)をメイン具材にした鍋料理のこと。あんこう鍋の味付けは味噌味が定番だが、醤油味や水炊きなどでも食べられている。アンコウの身や肝を全て楽しめる料理であり、初めてアンコウを食べる人にもおすすめとなっている。
その8.モツ鍋
モツ鍋(ホルモン鍋)は、福岡県福岡市が発祥地とされている牛や豚のホルモンを使った鍋料理のこと。現代ではモツのほかに、ニラ、キャベツ、ニンニク、豆腐、鷹の爪などを加えることも多い。また、味付けは定番の醤油味のほか、だしベースや味噌味などもありバリエーションが豊富である。
その9.さくら鍋
さくら鍋(桜鍋)は、東京都・長野県・熊本県などで食べられている馬肉を使った鍋料理のこと。基本的な作り方はすき焼きと同じだが、味噌仕立てのスープで馬肉を煮て作ることが多い。馬肉のロース肉のほかにネギ、春菊、白滝、豆腐などの具材を煮て、溶き卵に絡めながら食べるのが基本だ。
その10.ボタン鍋
ボタン鍋(しし鍋)とは、古くから兵庫県や奈良県で食べられているイノシシ肉を使った鍋料理のこと。イノシシ肉、白菜、人参、ゴボウ、キノコ類、豆腐などの具材を、味噌または醤油ベースのスープで煮込んで作る。溶き卵に絡めながら食べることが多く、お好みで山椒を振りかけることもある。
3. 味付けが特徴的な鍋料理の種類

鍋料理の中には、水炊き・キムチ鍋・豆乳鍋・トマト鍋・塩鍋などのように、味付け・スープが特徴的なものも多い。そんな味付け・スープに特徴がある鍋料理についても確認しよう。
その11.水炊き
水炊きは、味付けしていない水から煮込んで作る鍋料理のこと。関西の水炊きは湯豆腐のような昆布と具材を一緒に煮て作る鍋料理を指すことが多く、九州では鶏肉を長時間煮込んだスープでそのほかの具材を煮て作る鍋料理を指すことが多い。ポン酢醤油などにつけて食べるのが一般的である。
その12.キムチ鍋
キムチ鍋(キムチチゲ)は、韓国発祥のキムチ味のスープで作った鍋料理のこと。韓国式ではキムチと肉を炒めてからスープで煮込むことが多いが、日本式では最初からキムチと具材を一緒に煮込むことが多い。キムチとの相性がよい豚肉を使うことが多く、ほかにネギや豆腐などを加えることもある。
その13.豆乳鍋
豆乳鍋は、豆乳ベースのスープで作った鍋料理のこと。2000年以降の豆乳ブームの際に誕生し、ゴマ豆乳鍋や豆乳担々鍋などの派生鍋も登場している。使う具材に特別な決まりはないが、一般的な寄せ鍋と同じで肉類、白菜、人参、水菜、キノコ類、豆腐などを使うことが多くなっている。
その14.トマト鍋
トマト鍋は、トマトベースのスープで作った鍋料理のこと。トマト味のスープであること以外は特別な決まりはなく、作り方や具材もさまざまである。また、トマトソースをベースにしたもの、他のスープにトマトを加えたもの、トマトケチャップを加えたものなど、スープにもいくつか種類がある。
その15.塩鍋
塩鍋は、塩味のスープで作ったシンプルな鍋料理のこと。塩鍋の具材や作り方などに特別な決まりはないが、鶏団子や豚肉などをメインにすることが多い。また、その他には白菜やキノコといった定番具材に加えて、もやしやキャベツ、ジャガイモなどを使うこともある。
4. その他の特徴的な鍋料理の種類

鍋料理には、地方でよく食べられている名物料理や作り方が特徴的なものも多くある。そんな鍋料理についてもいくつか紹介しておこう。
その16.石狩鍋
石狩鍋は、主に北海道で食べられている鮭をメイン具材にした鍋料理のこと。もともとは石狩町で食べられていた漁師料理であり、鮭の身やアラ、キャベツ、大根、長ネギなどを、味噌仕立てのスープで煮込んで作るのが一般的となっている。また、スープに酒粕やバターなどを加えることもある。
その17.ちゃんこ鍋
ちゃんこ鍋とは、主に相撲力士の間で食べられている鍋料理のこと。本来、スープや具材に特別な決まりはないものの、肉団子、白菜、うどんなどが入っていることが多い。また、味付けは醤油・味噌・塩などがあり、この味付けから「味噌ちゃんこ鍋」や「塩ちゃんこ鍋」などと呼ばれることもある。
その18.ミルフィーユ鍋
ミルフィーユ鍋とは、豚バラ肉と白菜を交互に重ねたミルフィーユ状の鍋料理のこと。2010年頃にテレビCMなどで放送されて話題を呼び、今では人気鍋料理の一つとなっている。基本的な具材は豚バラ肉と白菜であるが、人参やキノコを加えたり、白菜をキャベツに変えたりした鍋料理もある。
その19.餃子鍋
餃子鍋とは、餃子をメイン具材にした鍋料理のこと。こちらも2010年頃に話題になり、注目を集めるようになる。具材にはメインである餃子をはじめ、もやし、キャベツ、人参、ニラ、もやし、キノコ類などが使われることが多い。市販のチルド餃子や冷凍餃子などを使って作ることができる。
その20.無限ゴマ油鍋
無限ゴマ油鍋とは、ゴマ油を多く使った鍋料理のこと。2017年頃にSNSを中心に話題となり、人気鍋料理の仲間入りを果たした。たっぷりのゴマ油で炒めた肉類、野菜類、キノコ類を鶏ガラスープで煮込んで作ることが多い。いつまでも食べられる「無限レシピ」の一つとしても知られている。
結論
鍋料理には定番の寄せ鍋、しゃぶしゃぶ、おでん、すき焼きのほかにもさまざまな種類がある。鍋料理の魅力は具材やスープを変えるだけで、全く異なる味わいを楽しめること。いつもの鍋料理に飽きてしまったら、ぜひここで紹介した鍋料理に挑戦してみよう。
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