目次
- 牛乳
- 特別牛乳
- 成分調整牛乳
- 低脂肪牛乳
- 無脂肪牛乳
- 加工乳
- 乳飲料
- 無脂乳固成分 8.0%以上
- 乳脂肪分 3.0%以上
- 細菌数(標準平板培養法で1mlあたり) 5万以下
- 無脂乳固成分 8.5%以上
- 乳脂肪分 3.3%以上
- 細菌数(標準平板培養法で1mlあたり) 3万以下
- 無脂乳固成分 8.0%以上
- 細菌数(標準平板培養法で1mlあたり) 5万以下
- 無脂乳固成分 8.0%以上
- 乳脂肪分 0.5%以上1.5%以下
- 細菌数(標準平板培養法で1mlあたり) 5万以下
- 無脂乳固成分 8.0%以上
- 乳脂肪分 0.5%未満
- 細菌数(標準平板培養法で1mlあたり) 5万以下
- 無脂乳固成分 8.0%以上
- 細菌数(標準平板培養法で1mlあたり) 5万以下
- 乳固形分 3%以上
- 細菌数(標準平板培養法で1mlあたり) 3万以下
- 高温保持殺菌 75℃以上で15分以上保持式で加熱殺菌(HTLT)
- 高温短時間殺菌 72℃以上で15秒、連続的に加熱殺菌(HTST)
- 低温保持殺菌 63~65℃で30分間保持式で加熱殺菌
- 連続式低温殺菌 65~68℃で連続的に30分間加熱殺菌
1. 牛乳の種類は7種類に分けられる!

スーパーで購入する牛乳について、価格や味を重視することがあっても種類で選ぶ人は少ないかもしれない。その種類分けもひとつではなく、牛乳の成分や製法によって分けられているのである。法令にのっとった牛乳を、種類別に一覧にすると以下の7種類が存在する。それぞれの特徴を見てみよう。
牛乳の基礎を押さえよう
まずは牛乳の定義から見ていこう。小学館の日本大百科全書によれば、牛乳とは「ウシの乳腺 からの分泌物で白色不透明の液体」とある。また栄養成分が豊富で消化吸収がよいという特徴もあげられている。(※1)日本における牛乳は、1951年に制定された乳等省令(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令)によって成分や原材料・容器包装の規格、そして製造方法を基準に種類が分けられているのである。(※2)
牛乳
最もよく耳にする牛乳とは、実際には生乳を100%使用し加熱殺菌を施したものを指す。牛乳の成分は以下のようになる。(※3・4)
なお生乳の定義は乳等省令によれば、搾取したままの牛の乳のことである。そのため季節によってその成分は左右するため上記の記述(以上・以下)となっているのである。(※3)
以下、特別牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳も生乳であることから条件は同じである。
牛乳の味わいは殺菌以外の加工がされていないため、牛の乳本来のものである。季節によって変化する成分量の影響で味わいも多少変わる。
特別牛乳
特別牛乳というのは、乳等省令の定義では牛乳のなかでも特別牛乳として販売するものとしている。(※4)これだけではよくわからないのだが、株式会社明治によるサイト上での補足説明には、特別な許可を受けた農場で生産される牛乳よりも濃厚な成分を有したものとしている。その成分は以下のようになる。(※4)
特別牛乳は通常の牛乳よりも成分が濃厚であることから、よりコクのある美味しい味わいの牛乳となる。
成分調整牛乳
成分調整牛乳とは、牛乳から乳脂肪分やミネラル、また水分を除去し調整したものを指す。(※3)調整は遠心分離機や膜処理技術が活用される。成分調整牛乳の成分は以下である。(※4)
成分調整牛乳は、調整した成分の如何で味が変わる。水分を減らしたものは、通常の牛乳よりも濃厚な味わいになる。
低脂肪牛乳
低脂肪牛乳はスーパーでもよく目にするタイプかもしれない。その意味するところは、牛乳から乳脂肪のいくらかを除去したものである。成分調整牛乳と同様に、遠心分離機を使って処理される。(※3)低脂肪牛乳と名乗るための成分はこちらである。(※4)
低脂肪牛乳は見た目が淡い色合いをしているという特徴がある。味も淡白なイメージがあるが、各社が販売している低脂肪牛乳は通常の牛乳とほぼ変わらないという意見も多い。
無脂肪牛乳
無脂肪牛乳はその名のごとく、乳脂肪を可能なかぎり除去したタイプである。ただし無脂乳固形分については牛乳と変わらないため、カルシウム等の栄養は牛乳と同等である。(※3)無脂肪牛乳の条件となる数値はこちらである。(※4)
ここまでが牛乳の範疇にある種類である。
加工乳
加工乳とは乳等省令によれば、生乳、牛乳、特別牛乳を原料として製造した食品を加工したものを指す。ただし、上述した特別牛乳から無脂肪牛乳のタイプは除かれる。(※4)具体的にはバターや脱脂粉乳などを牛乳に加えて生産された商品となる。(※3)牛乳に加えることが可能な乳製品についても乳等省令によって11品目が定められている。(※3)加工乳と名乗ることができる数値は以下となる。(※4)
加工乳については加えられる乳製品によって風味は大きく左右される。
乳飲料
乳飲料は、生乳、牛乳、特別牛乳を原料として生産した食品を主要な原料とした飲み物のことである。(※4)具体的にはビタミンやミネラルなどの栄養成分、コーヒーやフルーツの果汁が加えられた商品となる。(※3)さらに牛乳を飲用するとお腹がゴロゴロする人のための乳糖分解タイプも、乳飲料のくくりにある。具体的な数値は以下である。(※4)
2. 牛乳のタンパク質の種類とは

牛乳にはさまざまなタイプがあるが、通常我々が牛乳として飲用するタイプにはタンパク質が豊富である。(※5)牛乳ならではの良質なタンパク質にはどのようなものがあるのか。牛乳に特化したタンパク質とその特徴について紹介する。
牛乳に含まれるタンパク質:カゼイン
牛乳200mlを飲用すると摂取できるタンパク質は6.8gである。(※6)そのうちの80%を占めるのがカゼインである。(※6)カゼインは胃酸によって凝固する性質があり、これによってより消化がよくなるとされている。(※7)牛乳といえばカルシウムが豊富というイメージがあるが、これも実はカゼインがタンパク質の主成分であることが理由である。カゼインによってカルシウムは牛乳の中に分散して存在し、その吸収の一助となっているためである。(※7)またカゼインには免疫力を高める効能もあるとされている。(※7)
牛乳に含まれるタンパク質:ホエイ
乳清とも呼ばれるホエイは、βラクトグロブリンや免疫グロブリンなど数種の成分によって構成され、それぞれが健康に寄与している。(※7)病原菌の感染を予防したり骨を強化するなどの効能など見るべきものが多い。また、カゼインとホエーによる尿酸排泄促進の効能も報告され、尿酸値を下げる働きも認められているのである。(※7)
必須アミノ酸のバランスが良いとされる理由
必須アミノ酸とは、約20種ある構成アミノ酸の中でも、栄養上不可欠のものを必須アミノ酸と呼ぶ。(※8)必須アミノ酸は1種でも不足するとタンパク質の合成量が激減し、発育や健康の維持に悪影響を与えることでも知られている。(※8)牛乳に含まれる必須アミノ酸は、とくにバランスがよいのが特徴である。(※6)9種の必須アミノ酸の数値にばらつきがないため、タンパク質の質と量の維持が可能なのである。(※6)
3. 牛乳の殺菌方法にも種類がある

乳等省令では牛乳の殺菌法も種類に分けられている。(※9)牛乳の殺菌は、牛乳の安全ひいてはそれを飲用する人間の健康を守るために大事な工程であり、販売されている牛乳はすべて殺菌が施されている。その殺菌方法と特徴を種類別にみてみよう。
超高温殺菌
超高温殺菌は略して「UHT」と記述される。120~150℃の高温で3秒以内に殺菌ができることから超高温瞬間殺菌とも呼ばれる。(※9)日本国内で販売される9割の牛乳は、この殺菌法が用いられている。(※10)食中毒を誘発する菌や耐熱性胞子形成菌を死滅させる唯一の殺菌法として普及した。
高温殺菌
高温殺菌は、さらに2つの種類に分けられる。(※9)
いずれの方法も、超高温殺菌と比較すると殺菌力は低下する。人間に有害な最低限の菌は死滅するため冷蔵保存で安全に飲用できる。(※10)
低温殺菌
低温殺菌も2つの種類がある。(※9)
低温殺菌も、超高温殺菌と比較すると殺菌力には劣るが、人間に害を及ぼす最低限の菌は死滅できる。そのため冷蔵保存で安全に飲用可能である。(※10)
味わいや成分に違いはある?
これらの殺菌方法によってタンパク質は変性するものの、成分や栄養価には変化はない。(※10)超高温殺菌された牛乳は、その変性によってコクをより感じることができるといわれている。いっぽう低温殺菌が施された牛乳は、あっさりとした甘みが特徴である。
結論
一口に牛乳といってもその種類は多く、加工や成分の調整によってその名を変える。スーパーで目にする牛乳パックの文字も、乳等省令を踏まえたものであることを覚えておこう。牛乳に含まれるたんぱく質は非常に良質であり、殺菌方法によって損なわれることもない。さまざまな種類の牛乳を、健康状態や用途に応じて活用してみてほしい。
(参考文献)
1.小学館「日本大百科全書(牛乳)」
2.株式会社小学館「デジタル大辞泉(乳等省令)」
3.一般社団法人Jミルク「知って納得!牛乳の種類」
4.厚生労働省「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」
5.文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)乳類/<牛乳及び乳製品>/(液状乳類)/普通牛乳」
6.一般社団法人Jミルク「牛乳のたんぱく質」
7.一般社団法人Jミルク「乳たんぱく質のすべて」
8.小学館「日本大百科全書(必須アミノ酸)」
9.一般社団法人日本乳業協会「牛乳はどのように殺菌されているのですか?」
10.一般社団法人Jミルク「牛乳の殺菌方法と栄養素の変化」
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