目次
- エネルギー 61kcal
- たんぱく質 3.3g
- 脂質 3.8g
- 炭水化物 4.8g
- カリウム 150mg
- カルシウム 110mg
- マグネシウム 10mg
- リン 93mg
- ビタミンA 38μg
- ビタミンB1 0.04mg
- ビタミンB2 0.15mg
- ビタミンC 1mg
- ビタミンE 0.1mg
- 1.厚生労働省「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=78333000&dataType=0&pageNo=1 - 2.厚生労働省「リステリアによる食中毒」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055260.html - 3.文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」乳類/<牛乳及び乳製品>/(液状乳類)/普通牛乳https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=13_13003_7
- 4~6、8~10.公益財団法人長寿科学振興財団
https://www.tyojyu.or.jp/net/ - 7.東海酪農業協同組合連合会「牛乳の脂肪は体に蓄積されにくい中鎖脂肪酸を多く含み、健康に悪影響を及ぼすことはありません!」https://tokai-rakuren.jp/topics/case08/
- 11.厚生労働省「食物アレルギー」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-08.pdf
1. 牛乳とは

牛乳に含まれる栄養素を知る前に、そもそも牛乳とは何かについて探っていこう。その名の通り牛乳とは牛の乳を指すが、食品衛生法ではさらに細かく定義されている。厚生労働省から出されている省令では、牛乳とは「直接飲用またはそれを用いて食品の製造および加工を目的として販売される牛の乳」と定義されている(※1)。牛乳は含まれる乳脂肪分によってさらに細かく分類され、含有する乳脂肪分が少ないと「低脂肪牛乳」や「無脂肪牛乳」に分類される(※1)。牛乳のパッケージに書かれているので、ぜひチェックしてみよう。
生乳と牛乳
ヨーグルトなど牛乳から作られる食品のパッケージを見ると原材料に生乳と書かれていることがある。生乳と牛乳、どちらも牛の乳であるのは間違いないが、殺菌されているか否かで大きく分かれる。牛乳は飲用を想定しているため当然殺菌されている。一方、生乳は搾乳したままの牛の乳を指すため、殺菌されていないものも含まれる(※1)。生乳も飲むことはできるが、リステリア症にかかる可能性があるため注意が必要だ。リステリア症とは食中毒の1つで、一般的な症状は発熱や筋肉痛だが、重篤化すると敗血症や髄膜炎を引き起こす可能性がある(※2)。生乳には原因菌であるリステリアが含まれている可能性があるので、生乳を飲むのは避けたほうがよいかもしれない。
2. 牛乳は栄養素が豊富

牛乳の定義が分かったら、いよいよ牛乳に含まれる栄養素を見ていこう。牛乳には低脂肪牛乳や無脂肪牛乳などいろいろあるが、ここでは普通牛乳に含まれる栄養素量を見ていく(※3)。
100gあたりの栄養成分値
牛乳100gあたりに含まれる主な栄養素と含有量は以下の通りだ。
牛乳にはカルシウムやリン、ビタミンB群が多く含まれている。とくにカルシウムは不足しがちな栄養素なので、牛乳はまさにカルシウム補給には最適だといえる。ちなみに、牛乳100gは100mlとほぼ同じ分量だ。つまり、牛乳100ml飲めばこれだけの栄養素を摂ることができるということだ。厚生労働省の食事バランスガイドでは、1日あたり200mlの牛乳を飲むことが推奨されている(※4)ので、積極的に牛乳を飲もう。
3. 牛乳の主な成分の役割

牛乳にはさまざまな栄養素が含まれている。そのすべてを紹介するのは難しいため、ここではカルシウムとたんぱく質、乳脂肪、乳糖、ビタミンの5つの栄養素について紹介する。
カルシウムが摂取できる
牛乳に含まれる栄養素を紹介するならカルシウムは外せない。カルシウムの主な働きは骨や歯の構成成分となることだ。体内に含まれるカルシウムの99%が骨または歯の組織にあることから、いかに重要な栄養素であるかが分かる。カルシウムが不足すると骨や歯がもろくなり、骨粗鬆症に繋がる可能性もある(※5)。カルシウムは不足しがちな栄養素といわれているので、牛乳を積極的に飲んでカルシウムを摂取していきたい。
バランスのいいたんぱく質
カルシウムの陰に隠れがちだが、実はたんぱく質も多く含まれている。たんぱく質といえば、筋肉や内臓など身体のさまざまな器官を構成する栄養素だ。しかし、その役割はそれだけに留まらず、ホルモンとして身体の機能の調整を担ったり、γ‐グロブリンとして免疫にかかわったりと活躍の範囲は広い。たんぱく質は20種類のアミノ酸で構成されているが、とくに必須アミノ酸と呼ばれる9種類のアミノ酸は体内で合成できないため食事から摂る必要がある(※6)。牛乳には必須アミノ酸も含まれており、バランスよくアミノ酸を摂取できるため、良質なたんぱく源だといえる(※3)。肉や魚だけでなく、牛乳も飲んでバランスよくたんぱく質を摂取しよう。
乳脂肪は効率的なエネルギー源
脂肪(脂質)と聞くと悪いイメージを持つかもしれないが、脂質は重要なエネルギー源だ。牛乳に含まれる乳脂肪も同様で、効率よくエネルギーを摂ることができる。一方で、乳脂肪を構成する脂肪酸には中鎖脂肪酸が多く含まれており、ほかの脂肪酸より蓄積されにくいという特徴がある(※7)。
乳糖は脳や体に大切な成分
乳糖とは、炭水化物を構成している糖の1つだ。乳糖はグルコースとガラクトースの2つが結合したもので、その名からも分かる通り牛乳に多く含まれる糖類だ。体内で吸収、分解されるとほかの糖類と同様にエネルギー源となる(※8)。
ビタミンも豊富
牛乳にはさまざまなビタミンが含まれているが、それぞれ異なる働きをする。たとえば、ビタミンAは目や皮膚の粘膜を保ったり抵抗力を高めたりする働きをもつ(※9)。また、ビタミンB2はたんぱく質や脂質の代謝やエネルギー産生に関与しており(※10)、たんぱく質や脂質が多く含まれる牛乳を効率よく吸収するのに役立ってくれる。ビタミンの多くは直接エネルギー源にはならないが、代謝に関係しているので満遍なく摂るようにしよう。
4. 牛乳は栄養価が高くてもローカロリー

牛乳にはさまざまな栄養素が含まれているため、積極的に摂りたい。乳脂肪や乳糖が含まれているものの、牛乳100gあたり61kcalと低いため、カロリーオーバーを気にせずに飲むことができるのも嬉しい点だ。
ダイエットにも最適
乳脂肪分が含まれているため、ダイエットには向かないと勘違いされがちな牛乳。しかし、低カロリーであるためダイエット中に飲んでも問題ない。逆に、ダイエット中は牛乳を積極的に飲んでほしい。ダイエット中は運動をするだけでなく食事制限をすることも多いが、逆に栄養不足に陥ってしまうことがある。しかし、牛乳を飲んでおけばたんぱく質やミネラル、ビタミンなど多くの栄養素をバランスよく、かつ効率よく摂取することができる。ダイエットの強い味方として牛乳を活用してみよう。
5. 牛乳の摂取でお腹が痛くなるのはなぜ?

栄養素が多く含まれており、メリットの多い牛乳。しかし、なかには牛乳を飲むとお腹が痛くなるので苦手という人もいるだろう。実はお腹が痛くなるのは、ある栄養素が関係している。ここでは、お腹が痛くなる原因である栄養素とその症状について解説する。
乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)
牛乳を飲むとお腹が痛くなる原因は乳糖にある。乳糖を吸収するためには分解する酵素が必要となるが、なかには体質的に乳糖分解酵素を持っていない人がいる。そういった人たちが牛乳を飲むと乳糖を分解できず、お腹が痛くなったり下痢を引き起こしたりすることがある。このような症状を乳糖不耐症という。アレルギーと勘違いされがちだが、実際はアレルギーではない(※11)。
結論
牛乳といえばカルシウムばかり注目してしまうが、たんぱく質やミネラル、ビタミンが豊富に含まれている。一方で、牛乳100gあたりのカロリーが61kcalと低いのも牛乳の魅力の1つだ。そのため、ダイエット中でも安心して飲むことができる。牛乳は1日200ml飲むことが奨励されているため、今までは飲んでいなかった人も積極的に飲もう。
(参考文献)
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