目次
- 息を吹きかけてロウソクの火を消す
- 墓石にジュースやお酒をかける
- トゲ、毒などを持つ花を供える
- お供えものをお墓に残したまま帰る
- 布施(ふせ):見返りを求めず誰かのために惜しみなく善行を施すこと
- 持戒(じかい):常識や戒律を守って身を慎み、他人に迷惑をかけないこと
- 忍辱(にんにく):いかなる辱めを受けても、それを受け容れ耐え忍ぶこと
- 精進(しょうじん):ときを無駄にすることなく誠心誠意、努力を継続すること
- 禅定(ぜんじょう):心を静かに保ち、自分を客観視し、決して動揺しないこと
- 智慧(ちえ):怒り・愚痴・貪りに捉われず物事の真理を正しく見極めること
- 仏事:仏教に基づく行事(例:お葬式、法事、お墓参り)
- 神事:神道に基づく行事(例:お宮参り、七五三、結婚式)
- お墓参り
- 仏壇・仏具の掃除
- お供え物
- 彼岸会への酸化
- 六波羅蜜の実践
- ニラ
- ニンニク
- ネギ
- ラッキョウ
- ハジカミ(ショウガやサンショウ)
- 香(お線香)
- 花(献花)
- 灯燭(ロウソク)
- 浄水(清め水)
- 飲食(菓子、果物、ジュース、酒など)
1. お彼岸にやってはいけないことは「ない」

お彼岸に「やってはいけない」はあるのだろうか?あるとすれば、それはどのようなことなのだろうか?
喪に服す時期ではないため基本的に「タブー」はない
お彼岸の期間中は、喪中や忌中と違い「やってはいけないこと(タブー)」は基本的にない。とはいえ、お彼岸に対する考え方、価値観や慣習は人や地域で異なる。一般的にタブーとされていなくても、お住まいの地域の慣習でNGというケースも考えられる。
ケースバイケースのため、みんながその期間を気持ちよく過ごせるよう「気遣い」という意味で、避けたほうがよいとされることがある。これについては後述するので、そちらをご覧いただきたい。
お彼岸の「お墓参り」でやってはいけないことはある
お彼岸に欠かせない、お墓参りにおけるタブーを挙げるとこのようになる。息を吹きかけてロウソクや線香の火を消すことは、仏教における禁忌のため、手であおぐように消すのがよい。
また墓石にジュースやお酒をかけると虫が寄ってきたり、シミやカビの原因になったりするおそれがあるため控えたほうがよい。お供えする花も、お手入れの際にケガをしないようトゲがない品種を選ぶのがおすすめだ。
そのほか、お供え物を残したままにすると、野生動物が現れて食い荒らしたり、糞尿で不衛生になったりするおそれがある。風で倒れた飲み物で墓石が汚れたり、虫が寄ってきたりすることも想定されるため、お供え物は持ち帰るのが基本だ。
2. そもそもお彼岸とは

お彼岸の期間中、我々はどのような思いや意識を持って行動すればよいのだろうか?「彼岸」という言葉の意味や具体的な時期といった、基本的なところもおさらいしておこう。
故人や先祖を偲び、感謝し、供養する期間
お彼岸は、春分の日と秋分の日を挟んでおこなわれる仏教行事のひとつだ。春分と秋分は「この世とあの世がもっとも近づく日」とされていることから、この日にお墓参りをして先祖や故人を偲び、感謝し、供養するのである。
仏教には、煩悩に苦しむ「この世に」いるときから善行を積み、悟りを開くことで煩悩から開放され「永遠かつ穏やかに過ごせる世界(仏様が住む世界=あの世)」を目指すという教えがある。仏教におけるあの世とは、悟りの境地だ。
この世に生かされたまま悟りの境地に至るため「六波羅蜜(ろくはらみつ)」という修行を積む。お彼岸の期間中、次の6つの修行を1日1つずつ修めるのがしきたりだ。
【六波羅蜜】
お彼岸は、故人や先祖を偲び、感謝し、供養するとともに、悟りの境地に至るため自分自身を見つめ直す、日頃の行いを反省する期間でもあるというわけだ。なお「波羅蜜」とは、サンスクリット語(古代インドの言葉)「パーラミター(完全、最上といった意味)」に漢字を当てたものである。
「彼岸」という言葉の意味
彼岸とは、三途の川の向こうにある仏様が住む世界(あの世)で、悟りの境地「涅槃(ねはん)」ともいう。簡単にいえばあの世、死後の世界を指す言葉だ。対して、我々がいま生きている現世を此岸(しがん)という。
お彼岸の時期
お彼岸は年に二度ある。春分の日と秋分の日をそれぞれ「中日(ちゅうにち)」として前後3日間ずつ、計7日間(計14日間/年)である。したがって春分の日と秋分の日が決まれば、自ずとお彼岸の期間も決定する。2022年でいえば【3月18〜24日】と【9月20〜26日】だ。なお、お彼岸の最初の日を「彼岸入り」、最後の日を「彼岸明け」という。
3. 「周囲への配慮」という点で避けたほうがよいこと

お彼岸にやってはいけないことは基本的にないが、みんなが気持ちよくその期間を過ごせるよう、気遣いという意味で避けたほうがよいことはある。それについて詳しく解説していこう。
結婚式
お彼岸の時期はなにかと忙しい。遠方から人が集まる結婚式はタブーではないものの、慌ただしくさせるおそれがあるため、控えたほうがよいと考えられている。故人や先祖をないがしろにしていると捉えられてしまう場合もあるため、二人の大切な記念日といったケースを除き避けたほうが無難かもしれない。
引っ越しや新築祝い
やはりタブーではないが、故人や先祖への感謝・お墓参りを後回しにして引っ越しをしたり、新築祝いをしたりすることに抵抗を感じる方もいる。ピンポイントでここしかない場合は仕方がないが、周囲への配慮という意味では可能なら避けたほうがよいだろう。
納車
お彼岸は喪中でも忌中でもない上、何か新しいことを始めてはいけないという考え方もない。したがって新車の納車を「避けるべき」とするのは少々強引かもしれない。むしろ大切な家族を乗せる車だからこそ、お彼岸の時期とかぶっても大安吉日に納車してほしい、という考え方もある。
故人や先祖のお墓参りをきちんと済ませるなど、お彼岸の行事はしっかり進行させた上で納車日に選ぶのであれば、気持ちもスッキリするはずだ。
水辺で遊ぶ
お盆の時期に水辺で遊んでいると「成仏していない霊に引きずり込まれる」といわれることがある。もちろん迷信だが、お彼岸の時期も同じようなことをいわれる場合がある。
9月は台風や長雨で水かさが増すことも多く、水辺で遊んでいると思わぬ事故に巻き込まれる危険がある、というのが理由と考えられている。小さな子どもがいるご家庭はとくに注意したい時期だ。
仏事と神事
仏事と神事にはこのような違いがある。また、仏教は死=悟りの境地、涅槃にたどり着くことであるのに対し、神道は死を穢れ(けがれ)として忌み嫌う。こうした違いがあることから、お彼岸の時期に仏事と神事を一緒におこなうことに抵抗がある方もいる。
もちろん、お彼岸は喪中でも忌中でもないため神事が絶対NGというわけではない。だがやはり、避けられるのであれば避けたほうがよいかもしれない。
お見舞いも場合によっては避けたほうが無難
お彼岸は故人や先祖を偲び、感謝し、供養する期間だ。このタイミングでお見舞いに行った場合「故人と同じ扱いをされた」と感じる方がいるかもしれない。遠方に住んでおり、このタイミングしかないというケースも想定されるが、相手によっては失礼、慎むべきと受け取られかねない。相手との関係性も加味しつつ判断しよう。
4. 逆に、お彼岸でやることは?

最後に、お彼岸の時期にやることについてもまとめておく。
お彼岸でやること
お彼岸の期間中に必ずやるべきことは「お墓参り」と「仏壇や仏具の掃除」である。故人や先祖を偲び、感謝し、供養することにもつながるため、いつもより念入りに掃除をしよう。
お供え物は、五辛(ごしん)や肉、魚は避けたほうがよいとされる。一方で定番なのが、ぼたもちやおはぎ、五供(ごくorごくう)である。
【五辛】
【五供】
また、お寺や霊園でお彼岸の時期に開かれる法要が「彼岸会」だ。故人や先祖の供養を目的とする合同法要で、主に檀家が参加する。一般的には3,000円〜10,000円程度をお布施として納めることが多いが、念のため事前に確認をしておくと安心だ。
そして、中日を挟む前後3日間は六波羅蜜(布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧)を実践し、自分の生き方や日頃の行いを振り返ることも忘れないようにしよう。
結論
お彼岸の時期にやってはいけないこと、タブーは基本的にない。だが人の心や考え方、価値観は目に見えず、受け止め方や感じ方も人それぞれである。慌ただしく動くことも多いため、お彼岸本来の目的以外の行事は「可能であれば」避けたほうが無難だろう。故人や先祖に感謝するとともに、自分自身を振り返るよいきっかけでもあるお彼岸を、ぜひこれまで以上に大切に過ごしていただきたい。
この記事もCheck!