1. スラックスはご家庭でも洗濯できる?
スラックスは、素材によってご家庭で洗濯できるものとできないものに分かれる。見極める術は洗濯表示だ。
洗濯表示をチェック
洗濯機や洗濯桶のマーク、および「手洗イ」の文字などが描かれていれば、ご家庭で洗濯できるスラックスだ。ただしバツが描かれているものは洗濯できないので覚えておこう。なお洗濯表示は新旧あり、それぞれ若干記号などが異なる。消費者庁のサイトを紹介するので、詳しく知らないという方はこの機会にぜひ覚えておこう(※1・※2)。
2. スラックスの洗濯に必要なもの
スラックスを洗濯するにあたって特別なアイテムは必要ない。以下のものがあれば十分だ。
用意するもの
- オシャレ着用中性洗剤(エマールなど)
- 柔軟剤(レノアなど)
- 洗濯ネット
- ピンチハンガー
- 洗濯桶(手洗いをする場合)
詳しくは後述するが、スラックスを干すときは通常のハンガーではなくピンチハンガーを使用する。また手洗いの際は洗濯桶があるとよいが、なければ洗面ボウルやシンクなどでもOKだ(スラックスが洗える大きさであれば)。
3. スラックスを洗濯機で洗う方法
それでは、実際にスラックスを洗濯する方法を見ていこう。まずは洗濯機を使うケースから説明する。
前準備
洗濯表示をチェックして水洗いできることを確認したら、目立たない部分に洗剤を溶いた水をつけて置いておく。1時間ほど待って変色や縮みなどが見られなければOKだ。ポケットの中を空っぽにしてファスナーやボタンを閉めよう。
洗濯機で洗う方法
- センターラインを合わせる
- 汚れが外側になるようにスラックスを蛇腹折りにする
- 洗濯ネットに入れ、洗剤と柔軟剤をセットする
- ドライなど弱水流コースで洗濯・すすぎをする
- 30~60秒程度脱水する
洗濯機で洗う際はネットに入れることと、弱水流コースで洗うことがポイントだ。また脱水時間が長すぎるとシワになってしまうため短めにしよう。時間設定ができないときは、面倒でも手動で停止させるなどしよう。
4. スラックスを手洗いで洗濯する方法
素材がデリケートなスラックスの場合は手洗いのほうが傷みにくい。素材を問わず、ダメージが心配なときも手洗いがよいだろう。
前準備
洗濯機で洗うときと同じだ。洗濯表示をチェックしたら、洗剤を溶いた水をつけて1時間ほど待ち、変色や縮みがないことを確認しよう。あとはポケットを空にしてファスナーとボタンを閉めれば準備完了だ。
手洗いする方法
- 洗濯桶に水を溜めて、洗剤を適量溶かす
- 汚れが外側になるようにスラックスを蛇腹折りにする
- 洗浄液に浸して優しく押し洗いをする
- 水を入れ換えながら、泡立たなくなるまで押し洗いの要領ですすぐ
- 洗濯ネットに入れて、洗濯機で30〜60秒ほど脱水する
押し洗いの時間は5〜8分ほどが目安だ。落ちにくい汚れは、こするのではなく「つまみ洗い」をしよう。また柔軟剤を使うのであれば、最後のすすぎの前に適量溶かすとよい。
5. 洗濯したスラックスの干し方・乾かし方
せっかく洗濯をしてキレイになったスラックスも、干し方を誤ると色あせやシワ、型崩れなどを招くことがある。コツや手順をまとめたので覚えておこう。
「筒干し」が基本
洗濯したスラックスは、ピンチハンガーを使って筒干しにするのが基本である。ただし夏など乾きやすい季節は、センターラインに合わせて折った状態でスラックス用のハンガーを使って逆さに干してもよい。折り目が残りアイロンがけが簡単になる。なお、直射日光に当てると色あせるおそれがあるため気をつけよう。風通しのよい日陰または部屋干しなどがおすすめだ。
乾ききる前に取り込んでアイロンをかける
必須という工程ではないが、完全に乾ききる前に取り込みアイロンをかけるとピシッと仕上がる。テカリを防ぐため必ずあて布をしよう。アイロンがけの順番としては、まず腰回りをアイロン台に通し、股上を全体的にプレスする。次に、アイロン台に平置きにしてセンターラインを合わせ、内ももの付け根から膝までを片足ずつプレスする。最後に膝から裾まで片足ずつプレスすれば完了だ。
6. スラックスの洗濯頻度は?
スーツの場合、季節によって汚れの度合いが異なるためクリーニングや洗濯の頻度を変える必要がある。
梅雨から夏にかけての場合
汗ばむ季節は2週に1回を目安にクリーニングに出すとよい。ただしスラックスなど直接肌に触れるものは、汗をかいた日やベタつきが気になるときにご家庭で洗濯するのがおすすめだ。夏用のスラックスは洗濯可能な素材が多く型崩れもしにくいため、洗濯表示を確認して丁寧に洗えば清潔にその時期を乗り切れるだろう。
秋冬の場合
秋冬のスーツに多いウールやツイードといった素材は、頻繁にクリーニングに出すと傷むおそれがある。水洗いをしても縮みやすいため、ご家庭での洗濯も避けるべきだろう。幸い、秋冬は汗をかくことが少ない。3着程度を交互に着回すなどし、1シーズン1回の頻度でクリーニングに出すようにしよう。
7. スラックスを洗濯する際の注意点
お伝えしてきたようにスラックスはご家庭でも洗えるが、いくつか注意点もあるので覚えておこう。
洗濯表示は必ず確認する
洗濯機や手洗いなどで水洗いできないスラックスを洗濯してしまうと、縮みや型崩れ、シワや色あせなどトラブルを招くおそれがある。取り返しのつかない状態になってしまうのを避けるため、必ず洗濯表示を確認しよう。
必ず色落ちテストをする
いくら素材に優しいオシャレ着用の中性洗剤でも、スラックスの素材によっては色落ちなどのトラブルが発生する確率はゼロではない。とくに初めて洗濯するスラックスは、必ず事前に色落ちなどがないかテストをしよう。
スラックスだけを洗濯しすぎない
スラックスだけを頻繁にご家庭で洗濯すると、ジャケットとの風合いが合わなくなってしまうことがある。スラックスのほうが汚れやすいため、どうしても洗濯頻度が高くなるのは避けられないかもしれない。だが、できれば上下セットでクリーニングに出すのが望ましいということは覚えておこう。なお夏用のスーツはツーパンツのものを選ぶと洗濯しやすい。
8. スラックスのシワを伸ばす方法
スラックスのシワは膝の裏や足の付け根、お尻の部分につきやすい。シワが目立つスラックスを着用しているとだらしなく見られるおそれがあるため、しっかり伸ばしておくことが大切だ。
ぬるま湯スプレーがおすすめ
シワを放置するとより取れにくくなるが、そうかといって毎回アイロンがけするのも難しい。そこでおすすめなのが「ぬるま湯スプレー」である。冷水よりも蒸発時間が早いぬるま湯をスプレーボトルに入れ、シワの部分にスプレーする。あとは風通しのよい場所に干しておけばシワが伸びやすくなる。もちろん、シワ取り専用のスプレーを使ってもOKだ。出張先のホテルなどでぬるま湯スプレーを用意するのが難しいときは、入浴後の湿度が高い状態の浴室に30分ほど干してから乾燥した場所に移してもよい。
そのほかのシワ対策
1回着たら2日以上休ませる、スプレーしても落ちないシワが見られはじめたらアイロンをかける、シワになりにくい姿勢を意識する、取り扱いに気をつけるなども立派なシワ対策になる。
9. スラックスを長く使うための日々のお手入れ
大切なスラックス、お気に入りのスラックスはできるだけ長く穿き続けたいものだ。洗濯もお手入れのひとつだが、やりすぎは劣化を早める要因になる。それ以外の部分にも気を配り、少しでも長く穿き続けよう。
ローテーションが基本
お気に入りを身に着けていると気分もよい。だがやはり毎日穿くのはNGだ。数本用意してローテーションするのが長く穿くための基本なので覚えておこう。
帰宅後はブラッシングをする
疲れて返ってきたあとにブラッシングとは面倒くさいかもしれないが、サッとで構わない。その日の汚れを軽くでも落としておこう。なおダブルは折り返し部分にホコリが溜まるため、必ず裏返してブラッシングしよう。
湿気を飛ばしてから収納する
ジャケットも同様だが、1日穿いたスラックスには汗や湿気などを含んでいる。帰宅後はブラッシングをしてそのままクローゼットに収納するのではなく、風通しのよい場所に半日ほど干すなどし、湿気を飛ばしてから収納しよう。
センターラインを揃えてハンガーにかける
ベストなのは、スラックス用ピンチハンガーを購入し、腰部分から吊るす方法だが、お持ちでなければスラックス用のハンガーでよい。その際、センターラインを揃えるということだけは怠らないようにしよう。
10. 洗濯できないスラックスは?
水洗い不可などご家庭で洗濯できないスラックスは、クリーニング店に出してプロの手でキレイにしてもらうしかない。洗濯できるスラックスでも、頑固な汚れなどがあればクリーニングがよいだろう。ただし、クリーニングに使う溶剤は生地にダメージを与えることがある。頻繁に出すのではなく、夏場であれば月1回、冬場であればシーズン中に1回を目安にしよう。
結論
スラックスをご家庭で洗濯できるようになれば、常にピシッとした状態で清潔に着用できる。ただし水洗いの可否や洗濯の頻度、洗い方や干し方などには注意点もあるため、本稿で解説した内容をぜひ覚えて役立ててほしい。
(参考文献)
- 1:消費者庁「洗濯表示(平成28年11月30日まで)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash.html - 2:消費者庁「洗濯表示(平成28年12月1日以降)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash_01.html
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