目次
1. さつまいもの基本的な栄養価

「日本食品標準成分表」には、「皮つき/皮なし」「生/蒸し/焼き」など、さつまいものさまざまな栄養価が収録されている。まずは基本となる「さつまいも(皮つき/生)」の100gあたりの栄養価を確認しておこう。
さつまいも(皮つき/生)100gの栄養価
- エネルギー:127kcal
- たんぱく質:0.9g
- 脂質:0.5g
- 炭水化物:33.1g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:0.06g
・一価不飽和脂肪酸:Tr
・多価不飽和脂肪酸:0.05g - ビタミン
・βカロテン:40μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:1.0mg
・ビタミンK:0μg
・ビタミンB1:0.1mg
・ビタミンB2:0.02mg
・ナイアシン:0.6mg
・ビタミンB6:0.2mg
・ビタミンB12:0μg
・葉酸:49μg
・パントテン酸:0.48mg
・ビオチン:4.8μg
・ビタミンC:25mg - ミネラル
・ナトリウム:23mg
・カリウム:380mg
・カルシウム:40mg
・マグネシウム:24mg
・リン:46mg
・鉄:0.5mg
・亜鉛:0.2mg
・銅:0.13mg
・マンガン:0.37mg
・ヨウ素:1μg
・セレン:0μg
・クロム:0μg
・モリブデン:5μg - 食物繊維:2.8g
(・水溶性食物繊維:0.9g)
(・不溶性食物繊維:1.8g)
2. さつまいもに含まれる主な栄養素と成分

さつまいもはほかのイモ類と同じく、炭水化物(デンプン)を多く含む野菜である。また、さつまいもには食物繊維のほか、ビタミン類やミネラル類も多く含んでいる(※2)。たんぱく質や脂質は少ないが、その分、低カロリーなのでダイエットや食事制限をしている人にもおすすめといえる。
その1.炭水化物(デンプン)
さつまいもは、100gあたり33.1gの炭水化物を含んでいる。炭水化物にもいくつか種類があるが、さつまいもに多く含まれるのはデンプンという物質で、これは体内ではグルコースに変換されて身体を動かすためのエネルギー源となる(※3)。このことからさつまいもは優れたエネルギー源といえる。
その2.食物繊維
さつまいもは、体内では消化・吸収されない食物繊維を100gあたり2.8gも含んでいる。食物繊維は第6の栄養素といわれており、腸の働きを整えたり、不要なコレステロールなどを排出したりする働きあるとされている(※3)。一般的に「さつまいもが便秘改善に役立つ」と思われているのも、食物繊維が多いことが関係している。
その3.ビタミン類
さつまいもはビタミンA(βカロテン)、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEなど、ビタミン類をバランスよく含んでいる。特にビタミンCは100gあたり25mgと比較的多く含んでいる。ビタミンの働きは種類によってそれぞれ異なるが、いずれも人体の機能を正常に保つためには欠かすことができない(※3)。そのため、さつまいもを食べることで不足がちなビタミン類を補うことも可能だ。
その4.ヤラピン
さつまいもを切ったときにジワッと滲み出てくる白い液体は、「ヤラピン」というさつまいも特有の成分である。ヤラピンは古くから緩下剤(お通じをよくする薬)の役割があると知られており、食物繊維とともにお通じの改善に役立つといわれている(※4)。さつまいもを切ったときにミルク状の液体が出ても問題ないので覚えておこう。
その5.ポリフェノール類
さつまいもは「クロロゲン酸」というポリフェノールの一種を含んでおり、さつまいもの仲間であるむらさきいもは「アントシアニン」というポリフェノールを含んでいる。このようなポリフェノールには抗酸化作用があるとされており、体内の活性酸素を取り除くなどの働きが期待されている。なお、さつまいものポリフェノール類の80%は表皮から5mm以内に存在するといわれている(※4)。
3. 調理法別のさつまいもの栄養価を解説

「日本食品標準成分表」には、蒸し・焼き・天ぷらといった調理法別のさつまいもの栄養価も収録されている。調理法により栄養価は変わるので、主なものをチェックしておこう。
さつまいも料理の主な栄養価
- さつまいも(蒸し):カロリー129kcal、たんぱく質0.9g、脂質0.2g、炭水化物33.7g、食物繊維3.8g
- さつまいも(焼き):カロリー151kcal、たんぱく質1.4g、脂質0.2g、炭水化物39.0g、食物繊維3.5g
- さつまいも(天ぷら):カロリー205kcal、たんぱく質1.4g、脂質6.8g、炭水化物38.4g、食物繊維3.1g
焼き物や天ぷらは大きく栄養価は変わる
さつまいもを蒸しただけなら、ほとんど栄養価に変化はない。一方、焼くと水分が少なくなるため、相対的に炭水化物の含有量が多くなりカロリーが高くなった。また、揚げ物である天ぷらには衣や油などを使うため、炭水化物だけでなく脂質量も多くなりカロリーが高くなっている。
4. さつまいもの栄養を上手に摂るコツ

食物繊維やビタミン類などが豊富で栄養面が優れているさつまいもだが、食べ過ぎはカロリー過多に繋がる可能性もあるため注意が必要だ。また、さつまいもの栄養素を効率よく摂るなら、皮ごと食べるほうがよい。そんなさつまいもの栄養を上手に摂るためのポイントについて紹介する。
その1.1日150g程度までにする
さつまいもの明確な上限量は決められていないものの、さつまいもをおやつ代わりとして食べるなら1日あたり150g程度までにするほうがよい。農林水産省によればおやつの目安量は「1日あたり200kcal以内」としており(※5)、さつまいもは150gで約191kcalとなっている。
その2.皮ごと食べるようにする
さつまいものポリフェノール類は、特に皮の近くに多くある。そのため、さつまいもは皮ごと食べるのがおすすめだ。定番の食べ方は焼き芋だが、大学芋、きんぴら、甘煮、チップスなどにしても美味しく食べられる。さつまいもはできる限り皮を剥かずに調理しよう。
5. さつまいもの栄養をQA方式で解説!

「日本食品標準成分表」には、前述した内容以外にもさつまいもの栄養価が収録されている。そこで「皮つき/皮なし」での栄養価の違いや、「むらさきいも」との違いについても紹介しておこう。
Q1.皮つきと皮なしで栄養価に差はある?
皮つきのさつまいもと、皮なしのさつまいもでは、炭水化物・たんぱく質・脂質などに大きな変化は見られない。しかし、食物繊維は皮つきのさつまいのほうが多くて、ビタミンB群やビタミンCなどは皮なしのさつまいものほうが多くなっている。また、前述のとおり、クロロゲン酸などのポリフェノール類は皮つきのほうが多く摂れる。さつまいもの皮も残さず食べるほうがよさそうだ。
Q2.むらさきいもとの栄養面の違いは?
食材が異なるので単純な比較はできないが、普通のさつまいもとむらさきいもの基本的な栄養素はほとんど同じ。しかし、βカロテンや葉酸、パントテン酸などのビタミン類は、普通のさつまいものほうが多い。一方、むらさきいもには赤紫色の天然色素である「アントシアニン」が多く含まれている。さつまいもの仲間でも含まれている栄養素や成分などは異なる。
Q3.さつまいもダイエットとは何か?
さつまいもダイエットとは、主食である米や麺をさつまいもに変える「置き換えダイエット」の一つである。さつまいもの100gあたりのカロリーは127kcalであり、白米の156kcalよりも低いことが特徴となっている。そのため、同じ量を食べるなら、さつまいものほうがカロリーオフできる。
結論
さつまいもはデンプンや食物繊維を多く含んでおり、ビタミン類やミネラル類などをバランスよく含んでいる。また、さつまいも特有の「ヤラピン」という成分やポリフェノール類も多い。そのため、さつまいもは甘くて美味しいだけでなく、栄養価も高い食品といえそうだ。
【参考文献】
- ※:農畜産業振興機構「いも類 かんしょ」
https://www.alic.go.jp/content/001162866.pdf - ※1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/ - ※2:日本いも類研究会「Ⅰ さつまいもの特徴」
https://www.jrt.gr.jp/spmini/spmini_tokucho/ - ※3:厚生労働省「e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/ - ※4:JAなめがたしおさい「焼き芋の話」
https://ja-ns.or.jp/pdf/yakiimo.pdf - ※5:農林水産省「おやつの意味を知りましょう」
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/oneday/idea2.html