1. キウイの基本的な栄養価
キウイフルーツには「グリーンキウイ(緑肉種)」と「ゴールデンキウイ(黄肉種)」の2種類があり、文部科学省の「日本食品標準成分」にはそれぞれの栄養価が収録されている(※1)。まずは基本的な「グリーンキウイ」の100gあたりの栄養価を確認しよう。
グリーンキウイの100gあたりの栄養価
- エネルギー:51kcal
- たんぱく質:1.0g
- 脂質:0.2g
- 炭水化物:13.4g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:0.02g
・一価不飽和脂肪酸:0.03g
・多価不飽和脂肪酸:0.12g - ビタミン
・βカロテン:53μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:1.3mg
・ビタミンK:6μg
・ビタミンB1:0.01mg
・ビタミンB2:0.02mg
・ナイアシン:0.3mg
・ビタミンB6:0.11mg
・ビタミンB12:0μg
・葉酸:37μg
・パントテン酸:0.31mg
・ビオチン:1.4μg
・ビタミンC:71mg - ミネラル
・ナトリウム:1mg
・カリウム:300mg
・カルシウム:26mg
・マグネシウム:14mg
・リン:30mg
・鉄:0.3mg
・亜鉛:0.1mg
・銅:0.1mg
・マンガン:0.09mg
・ヨウ素:0μg
・セレン:1μg
・クロム:0μg
・モリブデン:Tr - 食物繊維:2.6g
(・水溶性食物繊維:0.6g)
(・不溶性食物繊維:2.0g)
2. キウイの特徴的な栄養素や成分
キウイフルーツは、ビタミン類・ミネラル類・食物繊維などを多く含んでいる。また、前述の栄養価の一覧にはないが、ポリフェノールやアクチニジンなども含んでいることが知られている。このようなキウイフルーツに含まれる特徴的な栄養素・成分についても確認しておこう。
その1.ビタミンC
キウイフルーツは、100gあたり71mgのビタミンCを含んでいる。ビタミンCには正常な毛細血管の維持や活性酸素の除去などの働きがある。成人男性(18~64歳)の1日当たりのビタミンCの推奨量は100mgであるため(※2)、キウイフルーツ1個食べれば70%程度を補うことが可能だ。ただし、体内に貯めておけないため、ビタミンCは定期的に摂る必要がある。
その2.ビタミンE
キウイフルーツはビタミンEも豊富で、100gあたり1.3mg含んでいる。ビタミンEはビタミンCと同じで、高い抗酸化作用を有している。また、脂質の酸化を防ぎ、細胞膜・たんぱく質・核酸の損傷を防止する役割などもある。成人男性(18~64歳)の1日あたりの摂取目安量は6.0~7.0mgであるため、キウイフルーツを100g食べれば20%前後を補うことができる(※2)。
その3.カリウム
キウイフルーツは、100gあたり300mgのカリウムを含んでいる。カリウムは必須ミネラルの一種で、細胞の浸透圧の調整や筋肉の収縮などの役割を担っている。成人男性(18~64歳)の1日あたりのカリウムの摂取目安量は2,500mg、摂取目標量は3,000mgとなっている(※2)。
その4.食物繊維
キウイフルーツは、100gあたり2.6g程度の食物繊維を含んでいる。食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があるが、キウイフルーツは水溶性を0.6g、不溶性を2.0gとバランスよく含んでいる。食物繊維には、腸の蠕動運動を改善する働きなどがある(※8)。成人男性(18~64歳)の1日あたりの目標量は21g以上となっている(※2)。
その5.ポリフェノール
前述の栄養価の一覧にはないが、キウイフルーツは「フィトケミカル」の一つであるポリフェノールを含むことでも有名だ。日本食品科学工学会誌によれば、100gあたり70~80mg程度のポリフェノールを含んでいるという(※3)。ポリフェノールはワインなどで有名だが、体内では抗酸化物質として活性酸素の排出などに役立つといわれている(※4)。
その6.アクチニジン
グリーンキウイは、特有のたんぱく質分解酵素である「アクチニジン」という成分も含んでいる。アクチニジンという名前はキウイフルーツの学名である「Actinidia」から名付けられた。たんぱく質分解酵素とあるとおり、肉類と一緒に漬け込むとお肉を柔らかくする働きがある(※5)。
3. キウイの栄養素を上手に摂る方法
ビタミン類・ミネラル類・食物繊維などが豊富なキウイフルーツだが、実はこれらの栄養素を効率よく摂るには「皮ごと食べる」とよいとされている。また、栄養価は優れているが、食べ過ぎはNGであり1日1個程度にするのがよい。そんなキウイフルーツの栄養素を上手に摂る方法を確認しよう。
その1,皮ごと食べるようにしよう
ゴールデンキウイなどは皮ごと食べるほうが、食物繊維やビタミンを多く摂れる。キウイフルーツを皮ごと食べるときは、皮を軽く洗っておくことが大切。また、柔毛が多い場合はアルミホイルなどで表面をこすると食べやすくなる。なお、皮ごと食べる場合は、ワックスや防腐剤などを使っていないものを選ぼう。
その2.1日1個程度を目安にする
キウイフルーツの1日の上限量は明確には決められていないが、農林水産省などが定めている「食事バランスガイド」によれば1個分(1SV)程度にするのがよいとされている(※7)。キウイフルーツは低カロリーではあるが、栄養バランスの偏りを防ぐためにも食べ過ぎには注意しよう。
4. キウイの栄養に関するよくある質問
ここまでキウイフルーツの栄養価・栄養素について説明してきたが、まだキウイフルーツの栄養に関する疑問や質問などもあるだろう。そこで最後にキウイフルーツに関するよくある質問に回答する。
Q1.ゴールデンキウイの栄養面の特徴とは?
キウイフルーツには、果肉が黄色の「ゴールデンキウイ(黄肉種)」と呼ばれる品種もある。グリーンキウイよりも炭水化物、ビタミンEやビタミンCなどのビタミン類、カリウムなどのミネラル類を多く含んでいる一方で、食物繊維や「アクチニジン」などは少ない。ただし、糖質は多いため、強い甘みが特徴となっている(※1)。
Q2.キウイフルーツのイガイガ感の理由は?
キウイフルーツを食べたときにイガイガを感じることがある。これにはアレルギーが関係している可能性が高いため、自己判断で食べることは控えたほうがよい。特に天然ゴムによりアレルギー症状(ラテックスアレルギー)が出てしまう人は、キウイによるラテックス・フルーツ症候群を発症する可能性が高いといわれている(※8)。もし不安があればかかりつけ医などに相談しよう。
Q3.キウイフルーツの平均的な大きさは?
キウイフルーツの100gあたりの栄養価は前述のとおりだが、実際の栄養価はキウイフルーツの大きさにより異なる。キウイフルーツの大きさの規格は、農林水産省「果実の全国標準規格」によれば以下のようになっている(※9)。なお、可食部は重量に対して85%となっている(※1)。
キウイフルーツの大きさ・サイズ
- 3L:145g以上(可食部:123g以上)
- 2L:130~145g(可食部:111~123g)
- L:115~130 g(可食部:98~111g)
- M:103~115g(可食部:88~98g)
- S:95~103g(可食部:81~88g)
結論
キウイフルーツはビタミン類・ミネラル類・食物繊維を多く含むため、栄養バランスを整えるのに役立つ食品といえる。また、皮を剥くのが面倒と思っている人も多いが、実は皮ごと食べることも可能である。柔毛が気になる場合は、柔毛が少ないゴールデンキウイなどを食べるのもおすすめだ。
【参考文献】
■※1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/
■※2:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
■※3:日本食品科学工学会誌「キウイフルーツの生育中および追熟後のペクチン、アスコルピン酸、ポリフェノール、ペクチンエステラーゼ活性の変化」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk1962/31/1/31_1_31/_pdf/-char/ja
■※4:厚生労働省e-ヘルスネット「抗酸化物質」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html
■※5:日本食品科学工学会誌「アクチニジン(キウイフルーツタンパク質分解酵素)による筋肉構成タンパク質の分解」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk1962/38/9/38_9_817/_pdf/-char/ja
■※6:ゼスプリ インターナショナル「よくあるご質問」
https://www.zespri.com/ja-JP/faq
■※7:東京都福祉保健局「果物は 1日2つ(SV)」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/tousyo/shiryou/syokucard.files/A13-16.pdf
■※8:厚生労働省「ラテックス・アレルギー注意喚起」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000158833.pdf
■※9:農林水産省「果実の全国標準規格」
http://www.library-archive.maff.go.jp/index/200016657_0001
■※1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/
■※2:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
■※3:日本食品科学工学会誌「キウイフルーツの生育中および追熟後のペクチン、アスコルピン酸、ポリフェノール、ペクチンエステラーゼ活性の変化」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk1962/31/1/31_1_31/_pdf/-char/ja
■※4:厚生労働省e-ヘルスネット「抗酸化物質」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html
■※5:日本食品科学工学会誌「アクチニジン(キウイフルーツタンパク質分解酵素)による筋肉構成タンパク質の分解」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk1962/38/9/38_9_817/_pdf/-char/ja
■※6:ゼスプリ インターナショナル「よくあるご質問」
https://www.zespri.com/ja-JP/faq
■※7:東京都福祉保健局「果物は 1日2つ(SV)」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/tousyo/shiryou/syokucard.files/A13-16.pdf
■※8:厚生労働省「ラテックス・アレルギー注意喚起」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000158833.pdf
■※9:農林水産省「果実の全国標準規格」
http://www.library-archive.maff.go.jp/index/200016657_0001
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