1. 冷蔵庫の温度の基礎知識

冷蔵庫の室温は、JIS規格によって「4℃以下」になるよう決められている(※1)。また、冷凍庫の室温は「-18℃以下」になるよう設定されている。なお、冷蔵庫のタイプによっては、通常の冷蔵室や冷凍室のほかに、野菜室、パーシャル室、チルド室などを備えている場合もある。それぞれの温度は冷蔵庫の種類によって異なるため、付属の取扱説明書やメーカーの公式サイトなどで確認しよう。
2. 冷蔵庫の部屋の種類と使い方

冷蔵庫によっては、冷蔵室や冷蔵室以外にも、野菜室、パーシャル室、チルド室、冷蔵室などのような特定冷蔵室が設けられていることがある。以下では、それぞれの特徴や使い道などを紹介する。
その1.冷蔵室|約3~6℃
冷蔵室は冷蔵庫のメインスペースのこと。冷蔵庫の種類にもよるが約3~6℃となっており、卵、ヨーグルト、豆腐、清涼飲料水、酒類など、日常的に使う食品・飲料を冷やすために使われている。一般的にドアポケットよりも吹き出し口のほうが低温で、上段よりも下段のほうが低温という特徴がある。
その2.野菜室|約3~8℃
野菜室は、野菜類やフルーツなどを冷やすための冷蔵室のこと。温度は一般的に約3~8℃となっており、冷蔵室に比べると密閉構造になっているのが特徴だ。そのため、低温障害や乾燥などから野菜やフルーツなどを守ってくれる。なお、常温保存がおすすめの野菜もあるので注意しよう。
その3.パーシャル室|約-3~-1℃
パーシャル室は、肉類や魚介類、作り置き料理などを低温保存するための冷蔵室のこと。一般的に-3~-1℃と低温に設定されており、食材をわずかに冷凍させた状態で保存することができる。冷凍室と異なり完全には凍っていないため、冷蔵庫から取り出した食材はすぐに調理することが可能だ。
その4.チルド室|約0~2℃
チルド室は、チルド食品などを低温保存するための冷蔵室のこと。温度は約0~2℃となっており、パーシャル室より若干高いのが特徴だ。主にゆで麺、練り物、乳製品、発酵食品などの保存に向いている。また、パーシャル室を備えていない場合は、肉類や魚介類などを保存するのにもおすすめだ。
その5.冷凍室|約-20~-18℃
冷凍室は、冷凍食品を保存するためのスペースのこと。温度は約-20~-18℃となっており、食品を長期保存することができる。冷凍食品やアイスクリームのほかにも、食パンや肉類、魚介類、干物、野菜類なども冷凍することが可能だ。なお、冷凍室はたくさん詰めることで冷凍効率が高まる。
3. 冷蔵庫の温度変化を少なくするコツ

冷蔵庫で食品を正しく冷却したり、冷蔵庫の電気代を節約したりするには、冷蔵庫の温度変化を少なくすることがポイントになる。以下のようなポイントを意識するとよいだろう。
その1.ドアの開閉回数を少なくする
冷蔵庫の開閉回数が多かったり、長時間開けたりしていると、庫内の温度が上がってしまう。対策としては「冷蔵庫の中を整理しておき食材をすぐに取り出せるようにしておく」「作りたい料理を確認しておき一度に全ての食材を取り出す」などがある。できる限り冷蔵庫の開閉回数を減らそう。
その2.冷蔵庫に物を詰めすぎない
冷蔵庫に物を詰めすぎると冷却効率が下がってしまう。そのため、できれば収納率は5~7割以下にしておくのがおすすめだ。また、吹き出し口の前を塞いでしまうこともNGとなっている。「普段から冷蔵庫内を整理しておくこと」と「吹き出し口の前に物を置かないこと」を意識しておこう。
その3.温かいおかずを冷蔵庫に入れない
温かいおかずをそのまま冷蔵庫に入れると、冷蔵庫内の温度が上がってしまう。そのため、できる限り粗熱を取ってから冷蔵保存するのがおすすめだ。そのまま常温に置いておくことも可能だが、素早く冷やすなら「保冷剤を敷いた金属トレーの上におかずを並べてからラップをする」のがよい。
その4.冷蔵庫カーテンを取り付ける
冷蔵庫を開けたときに冷気が逃げないよう、冷蔵庫カーテンを取り付けるのもおすすめだ。冷蔵庫カーテンはECサイトや100円ショップなどでも販売されていることが多い。冷蔵庫カーテンを購入する際は、サイズが合っているか、中が見えやすいか、通気穴が開いているかなどを参考に選ぼう。
4. 冷蔵庫の温度に関するよくある質問

ここまで、冷蔵庫の温度について詳しく解説してきた。しかし、中には「冷蔵庫の温度はどのように測ればいいのか」や「季節に合わせて冷蔵庫の設定温度を変えるべきか」などが気になる人もいるだろう。そこで最後に、冷蔵庫の温度に関するよくある質問・疑問に回答する。
Q1.冷蔵庫の温度はどのように測ればいいのか?
冷蔵庫内の温度は、ドアの開閉などの影響もあって変化しやすい。そのため、正確に測定するには専用の冷蔵庫用温度計などを使用する必要がある。また、より簡単に測定する方法として「冷蔵庫に水を入れたコップを置いておき、そこに温度計を3時間程度さしておく」というものがある。この方法であれば外気の影響を受けにくいため、食品に近い温度を確認できるようになる(※2)。
Q2.冷蔵庫の温度は「強弱」でどの程度変わる?
一般的な冷蔵庫には、冷蔵機能の強弱を調整するためのツマミが付いていることが多い。あくまでも目安であるが、「強」に設定すると通常よりも2~3℃程度低くなり、「弱」に設定すると通常よりも2~3℃程度高くなる。普段は「中」にしておき、必要に応じて「強」や「弱」に切り替えるとよいだろう。特に小型冷蔵庫は周囲温度の影響を受けやすいため、適宜、温度調節をする必要がある。
Q3.季節に合わせて冷蔵庫の温度は変えるべき?
冷蔵庫内の温度は周囲温度の影響を受けるため、季節に応じて切り替えるのが望ましい。一般的には暑い夏の時期は「強~中」に設定し、寒い冬の時期は「中~弱」に設定しておくとよい。なお、冷蔵機能が強すぎると、冷蔵庫内の食品が凍ってしまう可能性もある。もし食品が凍ってしまうなら、冷蔵の設定を見直すようにしよう。
結論
JIS規格によると、冷蔵庫の設定温度は「4℃以下」となっている。しかし、これは基準であり、部屋の種類や冷却機能の強弱などによって実際の温度は変わってくる。また、開閉回数が多すぎたり、物を詰めすぎたりしていると、庫内の温度が高くなってしまう可能性があるので注意しよう。
(参考文献)
- ※1:日本産業標準調査会「データベース検索」
https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISSearch.html - ※2:東芝ライフスタイル株式会社「庫内温度の計りかた」
https://faq-toshiba-lifestyle.dga.jp/faq_detail.html?id=776
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