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酸味の正体や酸味料の成分を紹介!コーヒーの酸味の正体は?

酸味の正体や酸味料の成分を紹介!コーヒーの酸味の正体は?

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 岩切千晃(いわきりちあき)

鉛筆アイコン 2021年8月23日

酢の物や梅干しは苦手、そんな読者も多いことだろう。しかし、酸味の効いた料理は、塩分を控えることができるので身体にもいい。今回は、酸味が苦手な人に向けて、美味しく食べられるコツをレクチャーしていこう。気になるコーヒーの酸味についてもリサーチしていきたい。

  

1. すっぱい!酸味の正体とは

人間が感じる味は、甘味、塩味、苦味、酸味、旨味の5つに大きく分けられ、舌にある味蕾という器官で感じ取られ、神経細胞を通して脳で知覚するといわれている。酸味は、そのうちのひとつ。「酸っぱい」と形容されるもので、英語では「sour」「tart」。食材としては、酢や梅干しのようなものから、ヨーグルトのようなものまで幅広い。

酸味の成分や違い

酸味物質の本体となるのは、水素イオン。厳密には、水に溶け、電離し、水素イオンを生じる物質のことを指す。そしてこの水素イオンの濃度を表すものがpHである。水素イオンは、値が小さいため、1〜14の対数が用いられ、真ん中の7が中性。値が小さくなるほど、酸性の度合いが高くなる。酸味はレモンをはじめとする柑橘や梅に含まれるクエン酸、一般的な酢に含まれる酢酸、ヨーグルトに含まれる乳酸などに分けることができる。(※1、※2、※3)

酸味を感じる仕組み

梅干しやレモンを見ると唾液が出てきた、そんな経験がある人も多いだろう。これは身体に備わった味覚、唾液反射反応の一つ。酸味の強い食品を口にすると、身体は唾液を多く分泌し、酸を中和して薄めようとするのだ。また歯のエナメル質を酸が溶かすので、それを保護しようとする効果もある。思わず口をすぼませてしまうのは、頬の筋肉を収縮させ、唾液腺を刺激し、唾液分泌を促すためだ。実際に人が食べてすっぱいと感じるpHは、酸味の種類によって異なる(※4)。ちなみに酸っぱいと感じるのは、味蕾が化学物質を感知し、電気信号として脳に伝達。そこで初めて味として知覚する。舌の場所によって、味への感度は異なるといわれており、酸味は舌の両側で感じやすい(※2)。

酸味は腐敗の味!?

人間の味覚は、甘味はエネルギー、塩味はミネラル、旨味はアミノ酸のシグナルとして受け取られる。残りの酸味と苦味は学習効果により求められるようになるとされている。そもそも酸味は、腐ったものや未熟なものを示す味と認識されるもの。同様に苦味は毒物警告のシグナル。有害なものを体内に入れないために発展したのが、苦味と酸味なのだ。子ども達が苦味の強い野菜や酸味の強い食べ物を敬遠するのは、本能的に正しいのだ。

酸味のある食材や調味料

ここでは酸を感じる代表的な食材、調味料とその酸味物質をリサーチしていこう。
米酢、穀物酢→酢酸
リンゴ酢→酢酸、リンゴ酸
ワインビネガー→酢、d-酒石酸
梅、柑橘類→クエン酸、アスコルビン酸
ヨーグルト、漬物→乳酸(※2)

2. 添加物の「酸味料」とは

酸味料は、添加物の一種。食品に酸味をつけたり、その調整、味の調和を目的に使われるものだ。どんな種類があるのか、チェックしていこう。

クエン酸

上記で確認した通り、クエン酸は柑橘類に含まれる酸。これらの風味をつけたり、pH調整の目的でクエン酸酸味料を使うことがある。原料は糖蜜やデンプン。発酵法で作られ、主に清涼飲料水や菓子などに用いられる。

乳酸

乳酸は、ヨーグルトや漬物に含まれることが多く、発酵や体内の糖代謝によって生成されるものだ。乳酸酸味料は、コクと渋みを添加するために使われる。原料はアルデヒド類。主に清涼飲料水や漬物、酒類などに用いられる。

L-酒石酸

酒石酸は、ぶどうに含まれる酸の一種。ワイン製造の際に出る副産物である酒石を原料に製造される。クエン酸、リンゴ酸などと併用されるのが一般的。こちらも主に清涼飲料水や菓子などに用いられる。

3. 酸味と料理の関係

酸味を効果的に使うと料理が格段に美味しくなる。身体に嬉しい効果を含めて、酸味と料理の関係について、調べていこう。

酸味で食欲増進

「夏バテには、酸っぱいものを食べるといい」そんな話を聞いたことがある人もいるのではないだろうか?実は酸味には、食欲増進効果がある(※5)。適度な酸味は、さっぱり感をもたらし、甘味や塩味などを引き立てる効果がある(※6)。さらに唾液の分泌を促す効果もあり、食欲増進にも繋がるというのだ。唾液の分泌が増える分、消化吸収がよくなるともいわれている(※7)。

酸味で殺菌・防腐

酸味は、殺菌・防腐にも効果を発揮する(※8)。そもそも腐敗とは、微生物が繁殖して食品が食べられなくなること(※9)。発酵とメカニズムは同じだが、人間にとっていいのか、悪いのかで名前が異なる。そんな腐敗を抑えるために、殺菌効果のある酸味を用いることがある。微生物の暮らしやすい環境は、pHで表すと7。ちょうど中性だ。ここから、酸度が上がっていくごとに微生物が生活しづらい環境になっていく(※8)。ピクルスなどの酢漬けが、長持ちするもこのメカニズムによるものである。

酸味で肉を柔らかくする

酸味には、肉を柔らかくする効果がある。pHの低い酸性の液体に肉を漬けることで筋繊維の間に隙間ができ、保水性が高まる。結果、筋繊維にあるタンパク質が分解されやすくなり、柔らかくなるのだ。逆に魚は、そもそも身が柔らかいので、酸味に漬けると身が締まる。これは、江戸前寿司の技法のひとつ、酢締めを思い浮かべるとわかりやすい。

4. 酸味の健康への効果

酸味は健康効果があることでも知られている。ここでは詳しい効果について学んでいこう。

鉄分の吸収を助ける

慢性的なミネラル不足といわれる現代人。ミネラルが減ると体内での鉄分の吸収もとても悪くなり、身体全体が効率的に機能しなくなる。まさに悪循環だ。そんな時、活躍してくれるのがクエン酸をはじめとする果実酸である。果実酸にはミネラルを包み込んで身体に吸収しやすい状態に変化させる働きがあるので、鉄分の多い食品と一緒に摂ると効果的だ。

血圧を下げる

近年、酢をはじめとする酸味を摂取することで、血圧が下がるという研究結果が数多く発表されている(※10)。なんとなく、酸味は身体にいいという風潮は、科学的に立証されつつあるのだ。メカニズムとしては、酢酸が代謝する際、生成されるアデノシンという物質が大きく関係しているらしい。この物質が血管壁に作用し、血管が拡張するのだ(※11)。消費者庁の許可を得た特定保健用食品には、「血圧が高めの方に適する」と明記することができる(※12)。また適度な酸味は塩気とのバランスがよく、両者のバランスがよいと美味しく感じられる。これが塩梅だ。血圧を上げる可能性のある塩分を控えるのにも間接的に関係しているといえるだろう。

5. コーヒーの酸味の正体とは?

コーヒーの酸味には、大きく分けて豆のもつ個性としての酸味と劣化や誤った抽出方法による悪い酸味が存在する。その違いを見分けるために、酸味の強いコーヒーについて学んでいこう。

酸味の強いコーヒー

コーヒーはそもそも果実を乾燥させたもの。よって、適度な酸味もまたコーヒーの美味しさのひとつである。さわやかさを感じさせる上品な酸味は、癖になる人も多い。キリマンジャロやモカ、グァテマラなどは、酸味のあるコーヒーとして人気だ。また、浅煎りのものを選ぶとより際立った酸味を楽しむことができる。

酸味の少ないコーヒー

コーヒーにおいて、酸味と対になる味わいが苦味であろう。苦味が前面に出ているコーヒーは、酸味を感じにくい。とくに深煎りのものは、苦味が前面に出るので酸味は少なめ。マンデリンやコロンビア、ヨーロピアンブレンドなどが、それに当たる。

コーヒーの酸味を消す方法

買ってきてたコーヒーが、思ったよりも酸味が強かった。そんな経験がある人もいるだろう。劣化による酸味ではなく、コーヒーの個性としての酸味であれば、アレンジ次第で美味しく飲むことができるかもしれない。一番のおすすめは、アイスコーヒーにすること。シロップやアイスなど、甘みを加えてもいいだろう。またはトニックウォーターで割って、コーヒーソーダにするのもありだ。さわやかな酸味は、実は夏向きの味わいなのだ。また、抽出方法によっても酸味をある程度、抑えることが可能である。ポイントは細かい挽き具合にして、高温でゆっくりと抽出すること。こうすると苦味が出やすい。

6. 酸味の代表・酢を美味しく食べる方法

酸味が苦手な人にとって、酢を毎日摂り入れることには抵抗があるだろう。ここでは、苦手な人でも比較的手にとりやすい、酢の選び方や摂り方を伝授する。これで苦手意識がなくなることにつながれば幸いだ。

本物を選ぶ

食酢には、醸造酢と合成酢が存在する。醸造酢は口当たりがまろやか、それに対して合成酢はしびれるような酸っぱさ。苦手な人にこそ、本物の醸造酢を選んでほしい。国産の米を使用した古くからの作り方で作られたものは、酸味がまろやかで美味しいものが多い。そのほか、リンゴをはじめとする果実酢も取り入れやすい。

洋物酢にチャレンジ

バルサミコ酢、シャンパンビネガー、白ワインビネガーなど、洋物の酢もおすすめ。まろやかな味わいのものが多く、サラダなどで味わうと原料であるぶどうの風味がほのかに香り、フレッシュな味わいに。バルサミコ酢は、炒め物に使うのがオススメ。鶏肉を野菜などと炒め、最後にバルサミコ酢を加え、少し煮詰めると酸味は、とても和らぎ、甘ささえ感じる。

MY合わせ酢

二杯酢、三杯酢、甘酢など、酢には合わせ酢が存在する。ちなみに二杯酢は醤油と酢。三杯酢はそれにみりん。甘酢は砂糖と塩と酢など、基本が決まっているが、自分好みの味で合わせ酢を作っておくと酢の物やドレッシングのベースとして重宝。我が家では、みりん1カップを半量に煮詰め、そこに酢を1/2カップ、塩小さじ1を入れたものを常備。この甘酢でピクルスから、酢の物までなんでも作れてしまう。

7. すっぱすぎ!酸味を抑える・飛ばす方法

思わず、酢を入れすぎてしまったときやトマトの酸味が強すぎるなんてときは、加熱をして酸味を飛ばすのがおすすめだ。生食調理の場合は、砂糖や蜂蜜で甘みを加えるといいだろう。どうしても酸味が強すぎて食べられないという場合には、別の料理にアレンジするのもひとつの手だ。

結論

適度な酸味は身体にいいといえるだろう。酢を毎日大さじ1~2杯継続的に摂取すると血圧を下げる効果がある、という研究結果も出るほどだ。苦手意識を克服して、毎日の食事に上手に酸味を取り入れたい。コーヒーの酸味は、劣化や誤った抽出方法が影響していることもある。本当に美味しい酸味の効いたコーヒーを一度、専門店で味わってみるのもおすすめだ。
(参考文献)
※1出典:「酸!」の不思議を解明|大学共同利用機関法人自然科学研究機構生理学研究所
http://www.nips.ac.jp/sp/release/2008/06/post_34.html
※2出典:酸味|関西色文化研究所
http://www.food-culture.jp/event/regular/130616_sanmi/report01.html
※3出典:有機酸|一般財団法人食品分析開発センター
http://www.mac.or.jp/technical/organicacid/index.htm
※4出典:酸味を感じる仕組み|バイオミディア 株式会社ミツカングループ中央研究所
https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9005/9005_biomedia_5.pdf
※5出典:嗜好性の向上|株式会社モリタ食材開発研究所
http://www.ajizukuri.co.jp/taste/sanmi.html
※6出典:酸味〜おいしさの秘密〜|特定非営利活動法人日本成人病予防協会
https://www.japa.org/tips/kkj_1104/
※7出典:酸味を考える|福井県立大学論集
https://core.ac.uk/download/pdf/61336351.pdf
※8:出典:なぜ食べ物を腐敗から守れるのか?|イミダス
https://imidas.jp/science/?article_id=k-051-004-10-08-g385
※9出典:腐敗と発酵、腐敗と食中毒はどう違うのか?|財団法人食品分析開発センター
http://www.mac.or.jp/mail/100701/02.shtml
※10出典:高めの血圧が気になる方!毎日約大さじ1の食酢で改善!?|ミツカン
https://www.mizkan.co.jp/health/sunochikara/totonoeru/03-2.html
※11出典:酸味〜おいしさの秘密 〜|特定非営利活動法人日本成人病予防協会
https://www.japa.org/tips/kkj_1104/
※12出典:特保とは?|消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/160630premiums_9.pdf
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  • 公開日:

    2018年3月18日

  • 更新日:

    2021年8月23日

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