シングルビーンズのチョコレートの違いは？カカオ豆の品種別に解説！

シングルビーンズは、シングルオリジンとも言われることがある。シングルビーンズと聞いてもピンとこない人が多いと思うが、シングルオリジンと言えば、コーヒー好きならわかる人もいるかもしれない。

コーヒーでシングルオリジンといえば、単一産地の豆だけを使ったコーヒーのことで、さらにいえば、同じ種類の苗木からとった豆を使ったコーヒーのことである。チョコレートの場合のシングルオリジン、シングルビーンズもこれと似ており、単一産地のカカオ豆だけを使って作られたチョコレートのことを言う。

カカオ豆は、品種、産地によってテロワール（味わい、香り、口どけ、余韻のこと）が大きく異なる。チョコレートを作る際には、様々な産地のカカオ豆をブレンドすることが多いが、シングルビーンズのチョコレートは、産地ごとのカカオの違いをダイレクトに楽しむことができる。

そのため、単にチョコレートとして食べるだけでなく、ワインのように他との違いを感じながら味わうことができる。
最近ではシングルビーンズを大々的に掲げているチョコレート店も増えているので、食べ比べを楽しんでみよう。

では、カカオ豆の産地はどのような場所にあるのだろうか。
カカオは、赤道の南北緯度20度以内、年間の平均気温が27度以上で年間を通した変動幅が小さい高温多湿の場所でしか生息できない熱帯植物である。そのため、西アフリカ、東南アジア、中南米といった限られた地域でのみ栽培されている。
しかし最近日本でも、国産カカオ豆でのチョコレート商品化しようとする動きが生まれ、小笠原諸島や石垣島などで小規模ながら栽培され始めているようだ。

チョコレートの味は、カカオの産地（土壌や気候）、種類などによって異なる。
そこで、現在栽培されているカカオの中でも源流と言われている3種類を紹介する。

文字としての記録が存在する前から、中央アメリカや西部ベネズエラ、メキシコなどに生育していた種類のカカオだ。特に、メキシコ南部からニカラグアの地域に多かったが、病害虫に大変弱く、多くが病害で死滅してしまった。そのため、現在生産されているのはベネズエラ、メキシコなどのみだが、それもごくわずかである。
栽培はとても難しいが、品質が高く、ブレンド豆としては貴重な存在である。また、独特の香りがあるため、フレーバービーンズとしても珍重されている。豆自体は苦味が少ないのが特徴だ。豆の形は丸く、ポッドと呼ばれる外側の殻の色は、成熟すると赤や黄色になる。

原産地は南アメリカのオリノコ渓谷、アマゾン渓谷などである。
成長が比較的早く病害虫へ耐性が強いため、栽培が簡単であり世界のカカオの主流となっている種だ。現在栽培されているのは西アフリカや東南アジアなどである。
豆は扁平型で、ポッドは緑、成熟すると黄色に変化する。豆自体は苦味が強いのが特徴だ。
フォラステロ種には、ガーナ、ブラジル、ナイジェリア、コートジボワールといった品種がある。これらはまとめてアマゾンフォラステロとも呼ばれている。
派生種には、花のような香りと称されるエクアドル（アリバ）がある。

クリオロ種とフォラステロ種を交配し、いいとこ取りをしたハイブリッド種だ。
栽培は簡単なものの質が高いので、ブレンド豆としては不可欠な存在である。
栽培地はトリニダッド、ベネズエラやその他の中南米地域だ。

これらの原種をもとに、味や栽培のしやすさ、病気への耐性、収穫量がより向上するように、各地で研究が行われており、派生種は数多くある。
メーカーは商品によって使うカカオを選び、いくつかの豆をブレンドして製造することが多い。

シングルビーンズは、単一の産地でとれたカカオを使って作ったチョコレートであり、産地による香りや味わいの違いを楽しむことができる。チョコレートはお酒ともよく合うので、どのシングルビーンズチョコレートとどのお酒が合うのか、お気に入りの組み合わせを見つけて楽しんでみよう。