1. 料理における酒の意味
料理に酒を使う意味を考えたことがあるだろうか?酒は、醤油や塩、砂糖などと違い、直接的な味をつけるわけではない。一体何のために入れるのだろうか?効果は数え切れないほどあるが、大きなものは4つ。
酒の役割
まず1つめは、素材の臭みを取る効果。主に肉や魚に利用されることが多い。2つめは、素材を柔らかくする効果。調理前、肉や魚に酒をもみこむのは、この効果を期待してのこと。3つめは時間の短縮。酒を調味の際に入れると、ぐっと味のしみがよくなる。結果として時間が短縮できる。4つめは風味づけ。直接の効果はなくとも、酒を加えるとアミノ酸の効果でコクがぐんとUPするのだ。
酒を使うタイミング
酒を使うタイミングは、役割によって違う。臭みを取る、柔らかくする場合は、調理の前。マリネや、下味に使うといい。そのほか味のしみをよくするには調理中。コクや風味づけには、調理の最終段階に使おう。その場合はあらかじめ、火を入れてアルコール分をしっかり飛ばしておいてから加えるといい。
2. 料理酒と日本酒と焼酎
料理酒と日本酒の違い
もっとも大きな違いは、塩分の有無にあると言われている。料理酒は、塩を添加しているので、飲用の酒を見なされず、酒税がかからない。結果として安価で販売ができる。さらに酒類の販売許可がない店でも販売が可能だ。対して、日本酒はあくまでも飲用のもの。味わいについても料理酒に比べるとクリアで雑味がない。
料理酒と焼酎の違い
料理酒は、日本酒がベース。日本酒は醸造酒。これは果実や穀物を原料に酵母によって、発酵させたお酒のこと。麦を原料としたビール、ぶどうを原料としたワインなどもこれに当たる。対して焼酎は、蒸留酒。蒸留酒とは、簡単にいうと醸造酒をさらに蒸留して、アルコール度数を高めたお酒のこと。米焼酎は原理的には、日本酒を蒸留したものということになる。
3. 上手な使い分け
料理酒か日本酒か
例えば、レシピ本に酒と記載がある場合、料理酒ではなく、日本酒を指す場合が多い。どちらでも問題ないだろう、と思われがちだが、実は大きな違いが生ずる。前述の通り、料理酒には塩が含まれているので、そのほかに加える塩や醤油などの塩分量に違いが出てくるのだ。塩分の含まれた料理酒を使う場合は、ほかの味付けに使う調味料を少し減らすといい。
料理酒か焼酎か
焼酎は、料理酒の代用というよりは、角煮など、焼酎を使うべきレシピで使用するのが基本。料理酒がなく、緊急で代用する場合は、量を少し控えめにするといい。ただ焼酎は、日本酒に比べて旨味が少なく、クセがあるので、煮込み料理などに利用するとよいだろう。だしなどをやや強めるとバランスがいい。
焼酎を料理に使うなら
料理にやむ負えなく料理に焼酎を使う場合は、くせのないものを選ぶのがおすすめ。米焼酎ならば安心だ。くせのある芋焼酎などを使うと料理の邪魔になってしまう場合も。沖縄料理であれば泡盛を使うのもいいかもしれない。
結論
毎日の料理に使う酒。地味なように思われるが、使うのと使わないのとでは、まるで味が異なる。料理の腕をあげるには、欠かせない存在だ。まずは、料理酒を選ぶのか、日本酒を選ぶのか?ここを精査し、焼酎は緊急時用の代替えアイテムと捉えるとよさそうだ。