1. 強火・中火・弱火の違いは?

まずは、それぞれがどういった状態を指すのかをおさらいしておこう。なおIHについても言及しているが、温度調節の設定はメーカーや型番などによって異なる。そのためあくまで参考程度にしていただき、詳しくはお使いの商品の取扱説明書を確認していただきたい。
強火
火が鍋やフライパンの底に勢いよく当たっている状態を指すのが強火だ。「ガスを全開にしたときの火力」や「鍋・フライパンの底から炎がはみ出るほどの火力」ではないため気をつけよう。なお、フッ素樹脂加工が施されたフライパンなどは、長時間強火にかけると加工が劣化するものもある。念のため、強火にかける前に取扱説明書を確認しよう。IHでは、10段階調節で7〜9(1000〜2000w)あたりが強火になる。
中火
炎の先端が鍋やフライパンの底に当たる程度の火力を指すのが中火である。炎は立ち上がりやや広がってはいるものの、鍋やフライパンの底よりはひと回り小さい面積を熱している状態だ。IHでは10段階調節で4〜5(500〜1000w)あたりが中火になる。
弱火
炎の先端が、鍋やフライパンの底に届くか届かないか(直接触れていない)程度の火力を指すのが弱火だ。鍋やフライパンの底と、ガスコンロのガス穴との中間あたりに炎がある状態と覚えよう。IHでは10段階調節で2〜3(300〜500w)あたりが目安になる。
とろ火
せっかくなのでとろ火も覚えておこう。とろ火とは弱火よりもさらに弱い火力で、炎が消えるか消えないかくらい弱い火を指す。最近では少なくなってきたが、中には危険防止のためとろ火にできないコンロもある。そのときは背が高い専用の五徳を設置して弱火にかけることで、とろ火と同じような状態にすることも可能だ。IHでは10段階で1〜2(200~300W)が目安になる。
2. 強火・中火・弱火を使い分けるコツ

冒頭でもお伝えしたように、火加減は料理において食材や味付けと同じくらい重要だ。うまく使い分けるには、それぞれどういった特徴がありどんな料理に向いているのかを理解することだ。
強火が向いているのは?
一気に水分を飛ばす、キレイに焼き目を付けるといった場合は強火にするとうまく仕上がる。そのため炒め物の仕上げや、ステーキなどは強火を用いることが多い。ただし肉や魚の場合、冷蔵庫から出してすぐに強火で加熱すると、食材の細胞が急激な温度変化にさらされて硬くなりやすい。また長い時間強火で加熱すると食材の表面のみが焦げてしまい、中まで火が通らないこともある。
中火が向いているのは?
多くの場合、料理のはじめは強火を使うが、ある程度温度が上がれば今度は中火にするのが基本だ。たとえば揚げ物や煮物の具、肉や魚などの中まで火を通すときは中火が適している。フッ素樹脂加工が施されたフライパンを使って炒め物を作る際も中火がおすすめだ。
弱火が向いているのは?
煮物の具にしっかり味を染み込ませたり柔らかくしたりするときは、弱火に長時間かけるとよい。飴色玉ねぎを作ったりホワイトソースを作ったりするときも弱火が適している。冷蔵庫から取り出したばかりの肉や魚を火にかけるときも、弱火が適している。温度変化をゆるやかにすることで食材の急激な変化もおさえられるからだ。弱火か、あるいは弱めの中火などで様子を見ながらの方が仕上がりをコントロールしやすいだろう。
食材の状態や目的で使い分けることも重要
たとえばステーキを焼く際、肉汁を閉じ込めるなら弱火の方がよい。だが、それでは焼き目が付かず、見た目も風味も物足りないと感じるだろう。強火でステーキの表面に焼き目を付けるのは「メイラード反応」を起こし、風味をよくするためである。
食材を焼いたときに表面が茶色くなったり焦げ目が付いたりするのは、メイラード反応(カラメル化反応)と呼ばれる効果によるものだ。糖自身や、糖と結合したアミノ酸が化学反応を起こすことで香ばしさが増すのである。メイラード反応は肉の焼き目のほか、ご飯のお焦げやトーストの焼き色、コーヒーやチョコレートの色にも関わっている。
弱火で水分を閉じ込めて強火で焼き目をつける、これがステーキを焼くときの火加減の基本だ。とはいえこの火加減であれば何でも美味しく仕上がるというわけではない。食材の状態や目的により、強火・中火・弱火を使い分けることが必要だ。
食材を焼いたときに表面が茶色くなったり焦げ目が付いたりするのは、メイラード反応(カラメル化反応)と呼ばれる効果によるものだ。糖自身や、糖と結合したアミノ酸が化学反応を起こすことで香ばしさが増すのである。メイラード反応は肉の焼き目のほか、ご飯のお焦げやトーストの焼き色、コーヒーやチョコレートの色にも関わっている。
弱火で水分を閉じ込めて強火で焼き目をつける、これがステーキを焼くときの火加減の基本だ。とはいえこの火加減であれば何でも美味しく仕上がるというわけではない。食材の状態や目的により、強火・中火・弱火を使い分けることが必要だ。
3. 火加減の指定がないレシピでは「中火」が基本

レシピの中には強火・中火・弱火といった火加減が指定されていないものもある。そんなときは中火を使おう。
中火は料理の基本
強火よりも焦げ付きにくく、弱火よりも火が通りやすい中火は、まさに料理における火加減の基本といってもよい。炒め物でも煮物でも、真っ黒に焦げたり吹きこぼれたりするリスクはゼロではないが低いだろう。そのため、レシピで火加減が指定されていなければ(料理にもよるが)基本は中火を使うとよい。
もちろん、あくまで「基本」というだけであり、中火がすべての調理に適しているというわけではない。中火では強すぎる、または弱すぎると感じれば、ほどよい火加減になるよう微調整を加えよう。
もちろん、あくまで「基本」というだけであり、中火がすべての調理に適しているというわけではない。中火では強すぎる、または弱すぎると感じれば、ほどよい火加減になるよう微調整を加えよう。
結論
強火・中火・弱火についておさらいしてきたが、自分が思っていたことと同じだっただろうか?それぞれの火加減の特徴や向いている料理・向かない料理などを理解し、食材の状態あるいはどういうふうに仕上げたいかなどによって使い分けられるようになろう。