1. アラの正体

定義は?
アラは魚をさばいた後に残る、頭部や骨、鱗やそれらに付着した魚肉などのこと。部位は、様々で同じものが売られていることはほとんどないといって良い。骨がついているので、旨味が多く、出汁が出ることでも知られている。鰓蓋から胸びれまでを指すカマもアラの一種。
お手頃価格
アラは、お得な価格も人気のポイント。スーパーではもちろん、デパードであっても良心的な価格で販売されている。美しい形の切り身ではないが、味は切り身同様美味しいので、上手な下処理を覚えれば、お得に美味しい魚が食べられるということになる。また、アラを置いているお店は、その場で魚をさばいている可能性が高い。これは信頼の証。魚屋選びにも一役買ってくれそうだ。
魚のアラとは別物
今回のテーマであるアラは粗と書く。たまにアラ=「アラという名の魚」と混同されることがあるので注意しよう。ちなみにアラは市場に出回ることの少ない高級魚。大きければ大きいほど味が良いと言われている。
2. 下処理3か条

塩使いを極める
アラを扱う際に問題になるのが、その臭い。切り身よりも血合いなどが多い分、臭みが強い。その臭いを撃退する手助けとなるのが塩である。塩をあらかじめ振って、しばらく置いておくことで、浸透圧の関係で魚の内側から水分が出てくる。この水分をしっかりと洗い流すことで、臭みはぐっと軽減される。ちなみに塩を振ったら、網状のバットやザルの上に魚を置いておこう。こうすると出てきた水分に魚が浸ってしまうこともない。
霜降りって何?
日本料理でよく使われる霜降りという作業。これは熱湯をかけたり、さっと熱湯にくぐらせたりするものである。こうすることで表面の汚れがさっと浮き上がるのだ。熱湯処理した後は、流水や氷水につけて、汚れをきちんと洗い流そう。引っかかる部分や血合いを取り除くと美味しさがさらに引き立つ。
水分撃退
上記までの工程が終わったら、必ずキッチンペーパーなどで水気をしっかりと拭き取ること。前述の通り、余計な水分は臭みをもたらす原因になる。調理前にしっかりと水気を拭き取っておくことで、ぐっとクリアな味わいになる。
3. アラ料理のコツ

煮物
アラは煮物にぴったり。アラは水から煮るのが正解だ。さらに酒をたっぷりと入れることで、臭みはさらに減り、奥深い味わいになる。生姜やネギなど、香味野菜を上手に使うとより臭みが減る。ごぼうやレンコンなど、香りの強い野菜と一緒に煮るとさらに臭みは軽減される。いつもよりやや甘めに煮付けるのがオススメだ。
汁物
アラは出汁がしっかりと出るので、椀物や汁物にもおすすめ。昆布と酒を入れた水に下処理をしたアラを入れて、火を通していく。味付けは潮汁であれば、塩とほんの少しの醤油。味噌汁なら、味噌だけで十分だ。最後にネギやミツバなど、香りのある野菜をトッピングすることもお忘れなく。
洋風にも!
実は洋風の煮物にも魚のアラを使うことができる。おすすめはブイヤベース。下処理したアラをニンジン、玉ネギ、トマトなどで煮ていくだけである。可食部分が少ないアラの場合は、裏ごしして、旨味だけいただくのもあり。セロリやベイリーフなど、香りの高い野菜やハーブを一緒に煮込もう。アサリなどを入れても美味しい。
結論
基本さえ押さえれば、美味しく食べることのできる魚のアラ。魚の種類によって味わいも様々である。まずは淡白でどんな料理とも相性よく合わせられる真鯛のアラなどからチャレンジしてみてはいかがだろう。