1. ものすごい技術の結晶

金箔は常識では理解できないレベルの薄さである。それそのものが芸術品といっていい。熟練の職人が作っており、製造過程は極めて緻密だ。
薄さは0.1ミクロン
あまりの薄さに表現が難しいが、0.1ミクロンは1ミリの1万分の1の厚さだ。約2gの金で10円玉の約半分量だが、これを畳「一畳分」の広さまで、破らないように広げた薄さと考えてほしい。そこまでの薄さに金を打ち広げる職人の技術と、金箔づくりに適した気候が必須になる。
石川県金沢市が一大名産地
加賀百万石時代から約400年も続く、金沢の特産品だ。日本の金箔の98%以上を金沢で生産している。金箔は極限まで薄く延ばすので、乾燥や静電気は禁物となる。年間を通して湿度の高い金沢は、気候が金箔づくりに最適だったのだ。江戸時代は贅沢品として製造を禁止されたが、職人の技術が失われることを恐れた伝統工芸の細工所で密かに作り続けられた。
2. 伝統品から食用まで

主に九谷焼や輪島塗、加賀蒔絵といった伝統工芸に使われていた
金箔。口にしはじめた理由はなんだったのだろうか?
金箔。口にしはじめた理由はなんだったのだろうか?
食用金箔は安全な「添加物」
金箔は見た目が華やかなため、仕上がりの見た目を重視する和食に彩りを添えるために、昭和に入ってから使われ始めたようだ。食品衛生法では「着色料」として扱われている。伝統工芸に使う金箔と食用金箔は金属成分がやや異なっており、基本的に食用はまったく無害である。工芸用の金箔は金の他、銀と銅の合金だ。食用金箔には指定添加物として銅が入ることもあるものの、ほぼ金と銀のみで構成されている。
金属だけど食べてもいいの?
金(および銀)は非常に安定性の高い金属だ。金歯・銀歯に代表されるように、生体に無害な金属として有名である。無味無臭で胃液にも影響されず強酸に耐え、消化されないためそのまま排泄される。消化されないので、栄養学的にはまったくなんの影響もない。
3. 金箔の入った食品いろいろ

金箔は「装飾」、トッピングの扱いとなる。華やかさや目出度さを演出するのにぴったりだ。古くから和食や酒、最近では輝きを活かしてケーキや洋菓子にも使われている。
金沢は金箔メニューのメッカ
普段食べないものなので想像もつかないが、金箔の名産地はさすがに違い、金沢には豊富な金箔メニューがある。和菓子なら金箔葛切り、金箔ぜんざい。椀の水面を金箔が覆ったビジュアルは雅である。ケーキやドリンクはもちろん、なんと金箔がソフトクリームのクリーム部分を全体的に覆ったびっくりスイーツまである。お値段は普通のソフトより高いが、そのインパクトは一度食べてみたい輝きだ。
料理にデザートに大活躍
金箔は体に害がないため、自由な発想で使うことができる。何より綺麗なトッピングとしての価値が高いので、魚や肉の上、色の濃いソースの上などに映える。お祝い事や記念日に、自宅で作った料理やデザートに食用金箔を添えてみてはいかがだろうか。贅沢感も演出できるし、お祝いムードが一気に高まるので、特別感を出したい時は使ってみよう。
結論
金箔は原料が金や銀のため、値段の張る食材だ。しかし、少量なら十分手頃な価格で入手できる。ちなみに、食用金箔の栄養価や健康効果は特に認められていない。消化されないのだから当然である。金が帯びているイオンによる健康効果説や美容効果説もあるが、あくまで食用金箔の効果は見た目の演出だけと思った方がいいだろう。
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