1. スパゲッティとパスタの違い

スパゲッティとパスタは同じものと考えられがちだが、実際は別の意味をもつ。また、日本でも規格により分類されている。スパゲッティ、パスタがそれぞれどのようなものを指すのか、特徴や違いについて見ていこう。
スパゲッティとは
ひと昔前まで、スパゲッティというとパスタと同意義で使われることが多かったが、現在ではパスタという言葉が浸透したこともあり、本来の意味で使われるようになってきた。スパゲッティの本来の意味は、パスタの種類を指す。細く、長いロングパスタの一種で、直径が2mmほどのものが基本である。
パスタとは
パスタの本当の意味をご存知であろうか?パスタとは、本来はイタリア語で麺類を指す言葉。ただ、イタリアでは小麦粉を水や卵で練り上げて作られる食品の総称として使われている。ちなみにパスタには、麺類だけでなくマカロニなども含まれる。
スパゲッティとパスタの違いとは?
パスタとは、ロングパスタやショートパスタ含め、デュラムセモリナ粉を卵や水で捏ねて作った食品の総称。対してスパゲッティは、そのパスタの一種というのが正しい解釈だ。スパゲッティは、ロングパスタの中でも最もポピュラーで、スーパーなどで広く販売されているものだ。
JAS規格での分類
日本においては、製品としての乾燥パスタは、JAS規格(日本農林規格)において、以下のように定めている。
「マカロニ」:2.5mm以上の太さの管状又はその他の形状(棒状又は帯状のものを除く)に成形したもの
「スパゲッティ」:1.2mm以上の太さの棒状又は2.5mm未満の太さの管状に成形したもの
「バーミセリー」:1.2mm未満の太さの棒状に成形したもの
「ヌードル」:帯状に成形したもの
「マカロニ」:2.5mm以上の太さの管状又はその他の形状(棒状又は帯状のものを除く)に成形したもの
「スパゲッティ」:1.2mm以上の太さの棒状又は2.5mm未満の太さの管状に成形したもの
「バーミセリー」:1.2mm未満の太さの棒状に成形したもの
「ヌードル」:帯状に成形したもの
日本での呼び方の違い
かつて、国内ではスパゲッティという呼び方が主流だった。一般家庭でスパゲッティが食べられるようになったのは1955年以降からである。当時普及していたパスタはスパゲッティ、マカロニの2種類のみだった。そもそも種類が少なかったこともあり、パスタという言葉が使われる場面がなかったのである。
国内でパスタという言葉が使われはじめたのは、バブル期から平成に入る頃だ。イタリアンブームの影響でさまざまな種類のパスタが流行したことで、パスタという言葉が広まったのである。スパゲッティやマカロニも含む総称という本来の使い方だけではなく、スパゲッティのことをパスタと呼ぶ風潮も同時に広まったのだ。
国内でパスタという言葉が使われはじめたのは、バブル期から平成に入る頃だ。イタリアンブームの影響でさまざまな種類のパスタが流行したことで、パスタという言葉が広まったのである。スパゲッティやマカロニも含む総称という本来の使い方だけではなく、スパゲッティのことをパスタと呼ぶ風潮も同時に広まったのだ。
2. スパゲッティやパスタの種類

スパゲッティやマカロニなど見慣れたもののほかにも、パスタにはさまざまな種類がある。その数は、650種類以上にもなるという。日本では見慣れない形状、聞き慣れない名称のパスタも数多い。どのような種類があるのか、詳しく見ていこう。
パスタの種類
非常に多くの種類をもつパスタだが、次のように大きく3つに分けることができる。
- ロングパスタ
- ショートパスタ
- その他
ロングパスタとショートパスタは、長さに応じて分類される。さらに、それぞれ太さや形状の違いにより、細かく分けられている。また、「その他」とは、ロングパスタにもショートパスタにも分類できないような、特殊な形状のパスタのことだ。板状のラザニアもその一つである。3つに分類されるパスタには、それぞれどのようなものがあるのだろうか。代表的な種類について、名称や特徴、用途などを紹介していく。
ロングパスタの種類
長い麺状のパスタは、ロングパスタとして分類されることが多い。長さは通常25cmに揃えられている。太さや断面の形状はさまざまあり、それぞれの境界は非常に曖昧でもある。
断面が円形
- カペリーニ:直径1.0mm以下の極細のロングパスタ。語源はイタリア語で「髪の毛」を意味する。冷製パスタやスープの具として使うことが多い。
- スパゲッティーニ:「スパゲッティ」よりも細く、直径1.3mm前後のもの。あっさりしたソースやオイル系などに適している。
- バーミセリ:「ヴェルミチェッリ」とも呼ばれるスパゲッティより細いロングパスタ。南イタリアではスパゲッティより太いものを指すこともある。イタリア語で「細長い虫」を意味する語がその名の由来。軽めのソースやボンゴレパスタなどに適する。
- スパゲッティ:日本もなじみ深いパスタで、どんなソースにも合わせやすい。イタリア語の「紐」が語源となっている。一般には直径1.6~1.9mm前後のものを指す。
- リングイーネ:「舌」が語源。断面が楕円形をしたロングパスタ。 バジルと松の実のジェノヴァ風ではこのリングイーネを使う場合が多い。
断面が平たいもの
- タッリアテッレ・フェットチーネ:「タッリアテッレ」とは、イタリア北部で主に呼ばれる名称で、中部から南部では「フェットチーネ」と呼ばれる。主にクリーム系のソースやボローニャ風と呼ばれるミートソースに合わせることが多い。
- タッリオリーニ:タッリアテッレ・フェットチーネの幅が狭くなったもので、幅5~10mm前後。ほうれん草やその他の野菜のペーストを練り込んだものも数多くある。
ショートパスタの種類
ショートパスタには、ソースが絡みやすいように形成しているユニークな形のものも多い。
筒状ショートパスタ
- マカロニ:直径3~5mm。グラタンやサラダなど用途も広い。
- リガトーニ:イタリア語で「すじ」が語源となっている。直径8~15mm前後で表面に溝が入っている。 トマトソースやクリームソースなど重めのソースに合う。
- ペンネ:「ペン先」を意味する。円筒状の両端をペン先のように斜めにカットしている。唐辛子入りのトマトソースで合わせた「ペンネ・アラビアータ」が有名。
その他の形状のショートパスタ
- ファルファッレ:ユニークな蝶の形をしているパスタ。中心部分は歯ごたえがあるのに対し、羽根の薄い部分は柔らかいという独特の食感が楽しめる。
- ラヴィオリ:30mm前後の詰め物入りの生パスタ。肉やチーズ等の詰め物をし、オーブンで焼いて食べたり、スープの浮身にすることが多い。
- コンキリエ(貝殻)、メローネ(メロン)、ステリーネ(星)、クォレッティ(小さなハート)といった、さまざまな形状のものがあり、スープの浮き身として使ったり、煮込み料理に使う。
その他のパスタの種類
- ブカティーニ:直径が2~3mm前後の管状のロングパスタ。 語源は「穴」という意味。濃厚なソースによく合わせる。
- ラザーニェ:日本では「ラザニア」と呼ばれる板状のパスタ。その形状がすでに料理名にもなっている。
- キタッラ:断面が四角のロングパスタ。長方形の箱に針金が張ってありギターのような道具を使って作ることから「ギター」という語を語源としている。アブルッツォ地方の郷土パスタで仔羊の煮込みソースで和える伝統的な料理に使われる。
3. 日本独自のパスタ文化

日本では、本場イタリアとは異なる独自のパスタ文化が広まってきた。日本人のパスタの食べ方を見て、イタリア人が驚くことも珍しくないようだ。日本では当たり前の食べ方や調理の仕方でも、本場のものとはかけ離れているのである。
本場ではスプーンを使わない?
スパゲッティなどのロングパスタを食べるとき、日本ではフォークとスプーンを使ってくるくると巻いてから口に運ぶ人が多い。しかし、本場イタリアではフォークのみを使用して食べるのが一般的なのだ。スプーンを使用するのは、フォークの扱いに慣れておらず上手にパスタを巻き取れない幼児のみである。
スプーンを使う食べ方が日本で広まった理由には諸説ある。一つは、アメリカでスプーンを使用してパスタを食べる文化が流行し、日本にも伝わったという説だ。また、たらこスパゲッティを作る際にスプーンを調理器具として使用したことが関係しているという説もある。さらに、1990年代のイタリアンブームも背景にあるといわれる。当時、とくに若い男女を中心にパスタが流行し、イタリアンの店がデートスポットとして人気を集めた。デート中に慣れないパスタを上品に食べるために、スプーンを使用する食べ方が広まったのだ。
スプーンを使う食べ方が日本で広まった理由には諸説ある。一つは、アメリカでスプーンを使用してパスタを食べる文化が流行し、日本にも伝わったという説だ。また、たらこスパゲッティを作る際にスプーンを調理器具として使用したことが関係しているという説もある。さらに、1990年代のイタリアンブームも背景にあるといわれる。当時、とくに若い男女を中心にパスタが流行し、イタリアンの店がデートスポットとして人気を集めた。デート中に慣れないパスタを上品に食べるために、スプーンを使用する食べ方が広まったのだ。
日本独自のパスタ
海外の食品であっても、日本では独自にアレンジして食べられることが多い。本場イタリアの料理を再現しているつもりであっても、じつは日本特有の食べ方であることは珍しくないだ。また、パスタの扱い方も本場とは異なる点がある。
パスタの調理の仕方
パスタの茹で方をアルデンテにこだわるのは日本特有の考え方で、イタリアでは各家庭の好みで茹で具合を決める。また、日本ではカルボナーラに生クリームを入れることが多いが、イタリアでは使用しない。パスタにタバスコを添えるのも日本独自のスタイルだ。
独自メニュー
定番メニューであるたらこパスタは、東京のスパゲッティ専門店「壁の穴」発祥の料理だ。また、ナポリタンは横浜の「ホテルニューグランド」が考案したものである。納豆スパゲッティや名古屋名物のあんかけスパゲッティも、本場イタリアには存在しない。
結論
パスタは、スパゲッティをはじめマカロニやラザニアを含む、デュラムセモリナ粉で作られた食品の総称である。パスタはいまや日本でも一般的な食品だが、まだ見慣れない種類のものも多いのではないだろうか。珍しい種類のパスタを試してみるのもおすすめだ。また、本場での扱い方や食べ方を知ることも大切だが、あまり形にこだわりすぎず、パスタ、スパゲッティの美味しさを楽しもう。
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