1. なぜ砂糖には賞味期限がないの?

本来、加工食品には賞味期限(消費期限)を記載する必要がある。しかし、砂糖は品質が安定している食品であり「品質の変化が極めて少ないもの」として、賞味期限や保存方法の記載を省略できるように決められている。この例外は2015年に内閣府より発令された「食品表示基準」に記載されている(※1)。そのため、ルール上は記載する必要がないため、賞味期限が書かれていないことが多い。
2. 砂糖の正しい保存方法と保存時のコツ

砂糖の正しい保存方法は、開封・未開封を問わず「密閉容器に入れた状態で常温保存する」というものだ。未開封の砂糖を密閉容器に入れる理由は、砂糖の袋に空いた微細な空気穴(ピンホール)から水分が入り込んでしまう可能性があるからだ。また、虫が袋を食い破って入り込むなどのリスクもあるという(※2)。そのことから砂糖は、密閉容器に入れた状態で常温保存するのがよいのだ。
コツ1.ニオイのするものと一緒に保存しない
砂糖はニオイの吸着が起こりやすい調味料でもあるため、保存時はニオイが強いものを遠ざけておいたほうがよい(※3)。また、料理や調味料だけでなく、生活用品(シャンプーや石鹸など)のニオイも移る可能性があるので注意しよう。一般的に砂糖はキッチンで保管されることが多いが、できればニオイ移りが起こらない冷暗所などで保存するのがおすすめだ。
コツ2.冷蔵保存ではなく常温保存をしよう
砂糖は原則として常温保存が基本である。中には砂糖を冷蔵保存している人もいるが、冷蔵保存をすると結露により溶けてしまうリスクがある。これは日常的に冷蔵庫をよく開閉するからであり、それにより湿度変化が生じることが関係している。また、砂糖は冷えると蜜膜の粘性が高まり、ダマになりやすくなるといわれている。そのため、砂糖は冷蔵保存ではなく常温保存するのが基本なのだ。
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3. 砂糖が使用可能かどうかを判断するポイント

前述のとおり、砂糖には賞味期限が設けられていない。そのため、適切な保存をすれば長期間使用することが可能だ。一方で不適切な方法で保存してしまうと、砂糖が劣化することもある。そこで現在の砂糖の状態から使用可能か、使用不可能かを判断するようにしよう。
ポイント1.全体的に黄色くなる程度の変色なら食べられる
長期保存していた上白糖が、全体的にうっすらと黄ばんでしまうことがある。しかし、このようなムラのない変色であれば、砂糖の品質に問題はないとされている。この砂糖の変色はメイラード反応と呼ばれる、砂糖に含まれるアミノ酸と糖が反応することで生じる。このようにうっすらと黄ばむ程度の変色であれば自然現象であるため、そのまま使用したり、保存したりすることが可能である。
ポイント2.カチカチに固まっているだけなら食べられる
長く置いておいた砂糖はカチカチに固まってしまうことがある。しかし、これは乾燥が原因で砂糖の結晶同士がくっついただけなので、砂糖の品質に問題はないとされている。砂糖が固まる理由は、砂糖の粒の表面に付いている「蜜膜」が乾燥によって溶けだして結晶化する。また、結晶化した砂糖の粒同士がくっつき固まってしまう。そのため、使い勝手は悪くなるが、そのまま使うことが可能だ。
ポイント3.溶け出しているもの、部分的に変色しているものは捨てる
水分(湿気)を吸収して溶け出している砂糖や、部分的に染まっている砂糖は捨てるほうがよい。溶け出している砂糖は、劣化している可能性が高いといわれている。また、部分的に変色している砂糖は、砂糖内に何かが入り込んでいる可能性が考えられる。このように自然現象とは異なる変化が見られる砂糖は、食べたりせずに捨てるようにしよう。
4. カチカチに固まった砂糖をサラサラに戻す裏ワザ

乾燥によりカチカチに固まった砂糖は、適量の水分を与えることで元通りサラサラの状態に戻すことができる。戻し方はいくつかあるので、以下で詳しく紹介しておこう。なお、水分を与えすぎてしまうと溶けだして劣化の原因になってしまうので、使用する水分量には最大限注意するとよい。
戻し方1.湿ったキッチンペーパーを張り付ける
湿ったキッチンペーパーを密閉容器のフタの内側に張り付けておく方法で戻すことが可能だ。
- キッチンペーパーを適当な大きさにカットする
- キッチンペーパーを軽く湿らせて、しっかりと絞っておく
- 湿ったキッチンペーパーを密閉容器のフタの内側に張り付ける
- 砂糖がサラサラになるまで数時間そのままにしておく
※サラサラになったらキッチンペーパーを取り外しておく
戻し方2.千切った食パンを入れておく
砂糖が入った密閉容器の中に食パンを入れておくだけでサラサラの状態に戻すこともできる。
- 食パン1枚を適当な大きさにカットする
- 密閉容器の中にカットした食パンを入れておく
- 砂糖がサラサラになるまで数時間そのままにしておく
※サラサラになったら丁寧に食パンを取り除いておく
結論
砂糖の袋・パッケージに賞味期限や保存方法が記載されていない理由は、砂糖が安定しており長期保存が可能であるからだ。しかし、間違った方法で保存すると溶けたり、変色したりして使えなくなってしまうこともある。砂糖を劣化させないためにも、ここで紹介した正しい保存方法を行おう。
【参考文献】
- ※1:内閣府「内閣府令第十号」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/pdf/food_labeling_cms101_200716_18.pdf - ※2:農畜産業振興機構「お砂糖豆知識[2003年9月]」
https://sugar.alic.go.jp/tisiki/ti_0309.htm - ※3:農畜産業振興機構「砂糖に関するFAQ」
https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_000075.html