目次
1. ザーサイとは?

ザーサイ(搾菜)とは、アブラナ科アブラナ属の植物で、茎の部分がゴツゴツと肥大化したからし菜の変種である。また、このザーサイの茎部分を使った漬物も「ザーサイ」と呼ばれている。日本でザーサイといえば一般的に「漬物」のほうを指すが、実は日本国内でも野菜のザーサイは生産・流通している。商業生産された一部の生ザーサイは、直売所やオンラインショップなどで購入できる。
ザーサイ漬けの歴史
漬物のザーサイは、1898年に中国重慶市涪陵区で誕生した。名前の由来は漬ける前に野菜の水分を絞り出す必要があったからで、その様子から「搾菜」と呼ばれるようになったという。やがてザーサイ漬けは中国全土へと広がり、また中華料理の漬物として世界中に知られていく。なお、現在の涪陵区のザーサイは「涪陵搾菜(ふりょうざーさい)」という名前の名産品として有名になっている。
ザーサイ漬けの作り方
ザーサイ漬けは最初に水分を抜くことから行うのだが、その方法には主に「風脱水」と「塩脱水」の2つがある。伝統的には生ザーサイを枝に吊るして乾かす「風脱水」のほうが主流ではあるが、最近は塩を使って水分を取り除く「塩脱水」で行うことも増えているそうだ。いずれかの方法で脱水を繰り返したら、塩と唐辛子などの香辛料を加えて本漬けする。こうしてできたのがザーサイ漬けだ。
2. ザーサイの基本的な栄養価

文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」には生ザーサイの栄養価はないものの、ザーサイ漬けの栄養価は収録されている。100gあたりの栄養価は以下のようになっている(※1)。
ザーサイ(漬物)100gあたりの栄養価
- エネルギー:20kcal
- たんぱく質:2.5g
- 脂質:0.1g
- 炭水化物:4.6g
- ビタミン
・ビタミンA:0μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:0.2mg
・ビタミンK:24μg
・ビタミンB1:0.04mg
・ビタミンB2:0.07mg
・ナイアシン:0.4mg
・ビタミンB6:0.09mg
・ビタミンB12:0μg
・葉酸:14μg
・パントテン酸:0.35mg
・ビタミンC:0mg - ミネラル
・ナトリウム:5400mg
・カリウム:680mg
・カルシウム:140mg
・マグネシウム:19mg
・リン:67mg
・鉄:2.9mg
・亜鉛:0.4mg
・銅:0.1mg
・マンガン:0.34mg - 食物繊維:4.6g
(・水溶性食物繊維:0.9g)
(・不溶性食物繊維:3.7g)
カロリーが低くヘルシーだが塩分量に注意
ザーサイ漬けはカロリーが低いヘルシー料理だが、100gあたりのナトリウム量は5400mgと多いので注意が必要だ。塩分相当量にすると約13.7gになるのだが、この数値は「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」に収録されている「漬物」の中でも一番高いものとなっている。成人男性(18歳~64歳)の一日当たりの塩分摂取量は7.5g以下が望ましいので食べ過ぎには注意しよう(※2)。
3. ブロッコリーで作るザーサイ漬けもどき!

日本では生ザーサイの流通量が少ないため、家庭で本物のザーサイ漬けを作るのは難しい。そこで自家製ザーサイ漬けが作りたいなら、見た目や食感が似ているブロッコリーの茎を使うようにしよう。
ブロッコリーザーサイ漬けの作り方・手順
- ブロッコリーの皮を剥いて、薄くスライスしておく
- 電子レンジで加熱して、柔らかくしつつ水分を抜く
- 醤油・ラー油・鷹の爪・ごま油などをかけて和える
- 冷蔵庫で30分程度漬け込めば、ブロッコリーのザーサイ風の完成
4. ザーサイ漬けの美味しい食べ方5選

ザーサイ漬けは漬物としてそのまま食べても美味しいが、料理の材料として使うと中華風の味付けを楽しむことができる。そこでザーサイ漬けの美味しい食べ方を5種類紹介しておこう。
食べ方1.中華風おかゆ
温かくて素朴な味が魅力のおかゆに、刻んだザーサイ漬けを入れると絶品料理に大変身する。ザーサイの味が移ったおかゆを食べれば、トウガラシ・八角・シナモンなどによる中華味が口いっぱいに広がる。ザーサイのコリコリとした食感も美味しいため、一度食べたらクセになってしまうだろう。
食べ方2.中華風スープ
刻んだザーサイ・豆腐・白髪ネギを具材にしたスープもおすすめだ。ザーサイを入れることで中華風の味付けが強くなるため、ベースには鶏ガラスープの素を使うのがよい。そこにザーサイなどの具材を入れれば簡単にスープが完成する。中華料理を食べるときには、ぜひ一緒に作るとよいだろう。
食べ方3.中華風サラダ
刻んだザーサイとみずみずしいレタスにドレッシングを混ぜるだけで、簡単に中華風サラダを作ることができる。ドレッシングは醤油・胡麻油・お酢でよく、あとはザーサイの味がサラダに広がり美味しく仕上がる。ザーサイのコリコリ感とレタスのシャキシャキ感の相性が非常によいのでおすすめだ。
食べ方4.中華風炒め物
ザーサイを炒め物やチャーハンの具材に使うのもおすすめだ。コリコリとした独特な食感が美味しくて、いつもと違った料理を楽しめるようになる。作り方も簡単でほかの食材を油で炒めてから、最後にカットしたザーサイを入れるだけ。これだけで味付けもできて、美味しい中華炒めなどが完成する。
食べ方5.中華風和え物
ザーサイを和え物の具材に使っても美味しく食べられる。下茹でして粗熱を取ったもやしと、千切りにしたザーサイを合わせる。そこに醤油・ごま油を加えて和えれば完成だ。白ゴマなどをトッピングしても美味しい。また、お好みでキュウリやキノコ類などを加えてみるのもおすすめだ。
5. 市販のおすすめザーサイ漬け

生ザーサイは手に入りにくいが、調理済みのザーサイ漬けは簡単に手に入れられる。多くの食品メーカーが製造・販売しているが、その中から特に人気のザーサイ漬けを3つ紹介する。
その1.桃屋「味付ザーサイ」
「味付ザーサイ」は海苔製品の「ごはんですよ!」で有名な桃屋が製造・販売しているザーサイである。風脱水や長期間のカメ漬けなど伝統的な製造方法にこだわり、本場さながらのザーサイを楽しめるようにしている。通常サイズの内容量は100gだが、お徳用の165gも販売されている。
その2.丸善食品「ザーサイ」
「ザーサイ」は各種飲料や加工食品などを製造・販売している丸善食品工業のザーサイである。本来の中国のザーサイを日本人好みに味付けし、食べやすくしているのが特徴。また、他社が製造しているザーサイよりも、少しリーズナブルなのがおすすめポイントとなっている。
その3.酒悦「焼たらこ入り ザーサイ」
福神漬けなどで有名な酒悦からは「焼たらこ入り ザーサイ」が販売されている。ザーサイと香ばしい焼たらこの味がマッチし、通常とは異なる海鮮風味のザーサイを楽しむことができる。また、白いご飯との相性もよくて、おかずとしても美味しく食べることができる。
6. ザーサイのよくある質問に回答

ここまでザーサイ・ザーサイ漬けについて詳しく解説してきたが、まだザーサイについて質問や疑問もあるだろう。そこで最後にザーサイに関するよくある質問・疑問に回答する。
Q1.日本ではいつから有名になった?
日本でザーサイが有名になったのは、戦後になってからといわれている。特に、1968年に桃屋が発売した「味付搾菜(味付ザーサイ)」による影響が大きいようだ。また、当時は「007」をモチーフにしたテレビCMなども打っており、これらがきっかけで日本中に広く知られるようになった。
Q2.ザーサイは家庭菜園で育てられる?
ザーサイの種は市販されているため、家庭菜園で育てることも可能だ。ザーサイは冬が旬の野菜なので、秋頃に種まきすると美味しいザーサイを育てることができる。種まき後50日程度で収穫時期を迎え、その頃にはだいたい全長が60~80cm程度、根部分が20cm程度、重さが3~4kg程度にまで成長している。
Q3.メンマの原材料も野菜のザーサイ?
中華食材のメンマとザーサイ漬けは、原材料・製造方法などさまざまな点で異なる。原材料に関していうと、メンマはタケノコの一種である「麻竹」を使っており、ザーサイ漬けはアブラナ科のザーサイを使っている。また、メンマは自然発酵させてから天日干しして作るが、ザーサイ漬けは乾燥させてから調味料に漬け込んで作る。メンマの詳細は別のページで解説しているので確認してみよう。
結論
約100年前に中国の涪陵区で誕生したザーサイは、今では中華料理を代表する漬物として知られるようになった。ただ、日本などでは漬物としてのザーサイが有名だが、実は使われている食材の名前も「ザーサイ」という。あえて生ザーサイ・ザーサイ漬けと分ける必要はないが、ザーサイには二つのものを指すことがあるのを覚えておくといいだろう。
【参考文献】
- ※1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/ - ※2:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
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