1. シナチクとは?

シナチク(支那竹)とは、中国南部・台湾原産の麻竹(マチク)という品種のタケノコを使った加工食品である。古くから中華料理に使われている食品の一つであり、現在の日本ではラーメン・中華そばなどのトッピングに使われていることが多く、味付けしたシナチクをお酒のおつまみにすることもある。なお、日本に出回っているシナチクの多くは中国産・台湾産のいずれかとなっている。
2. シナチク(メンマ)の製造方法

シナチクは、麻竹のタケノコを乳酸発酵させて作る加工食品の一種である。その作り方はメーカーによってやや異なるが、一般的な作り方・工程は以下のようになっている。
- 下ごしらえした麻竹を蒸す
- 1か月程度かけて自然発酵させる
- 発酵後に3~4日程度天日干しする
- 一定の大きさにカット・形成する
- 梱包してから出荷する
3. メンマと呼ばれるようになった理由

シナチクとメンマは混同されることが多いが、この二つは全く同じ食品である。また、現在はシナチクという呼び方をすることは少なくなり、「メンマ」という名称がスタンダードになっている。そこで、シナチクという名前の由来とメンマと呼ばれるようになった理由を紹介する。
シナチクの名前の由来
「シナチク」という名前の由来は、第二次世界大戦以前の日本では中国のことを「志那(シナ)」と呼んでおり、中国(志那)のタケノコを使っていたから「シナチク」と呼んでいた。また、日本に生えていた竹(孟宗竹)とは異なる竹であることを表すために「シナチク」と呼んでいたという。このようにシナチクの名前の由来は、原材料である竹の産地が関係している。
メンマと呼ばれるようになった理由
メンマに名前が変わった理由は諸説ある。最も有力なのは、戦後の中華民国(台湾)から「台湾産の竹なのに、志那(中国)と付くのはおかしい」という抗議を受けた説。これにより当時、台湾からシナチクを輸入していた台湾貿易商(現・丸松物産株式会社)の社長が、麺の上に乗せる麻竹だから「メンマ」と名付けたそうだ(※1)。それ以降、現在ではメンマと呼ぶことが多くなっている。
4. シナチクとタケノコの違いとは?

シナチクの名前の由来で少し説明したが、シナチクに使われている麻竹と日本で食べられている生のタケノコは異なる品種である。また、収穫時期や加工の有無なども異なっている。そこでシナチク(メンマ)とタケノコの違いについても確認しておこう。
違い1.品種が異なる
シナチクに使われているタケノコは、中国南部や台湾などの亜熱帯地域で栽培されている「麻竹」という品種である。一方、日本で売られている生のタケノコは、「孟宗竹(もうそうちく)」をはじめとする品種となっている。また、日本では「淡竹」「真竹」「寒山竹」などの品種も食用とされているが、麻竹はほとんど栽培されていない。このようにまずタケノコの品種が異なっている。
違い2.収穫時期が異なる
シナチクには、7~10月頃の100~120cm程度に成長した麻竹が使われている。一方、日本で食べられているタケノコは、3~4月頃の20~30cm程度に成長した孟宗竹の若芽が使われている。このようにシナチクと生タケノコでは収穫時期が異なっている。なお、旬を過ぎた孟宗竹は立派な竹になってしまい、身が硬くなるため食べられなくなってしまう(※2)。
違い3.加工の有無が異なる
前述のとおり、シナチクとは麻竹を塩漬け・発酵させて作った食品のことである。発酵させることでシャキシャキとした独特な食感を楽しめるようになる。一方、日本で食べられている孟宗竹は、生や水煮などの状態で販売されていることが多い。こちらは柔らかくてジューシーな食感を楽しめることが特徴だ。なお、2018年からは孟宗竹を使った国産メンマが作られるようになっている(※3)。
結論
シナチクは古い「メンマ」の名称であり、シナチクとメンマは全く同じ食品である。ただし、歴史的な背景から、現在では「シナチク」と呼ぶことは少なくなっている。なお、シナチクとタケノコは異なる食品であるので、この2つは混同しないように注意しよう。
【参考文献】
- ※1:丸松物産株式会社「メンマについて」
http://www.marumatsu-mb.co.jp/menma/Origin.html - ※2:JAグループ福岡「タケノコはいつ竹になるの?」
http://www.ja-gp-fukuoka.jp/education/akiba-hakase/002/007.html - ※3:株式会社タケマンのプレスリリース「日本の竹がメンマに変わる!」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000033141.html
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