1. 配膳の基本形とは?

和食の基本形は「一汁三菜」といわれている。一汁三菜とはご飯、汁物、料理(おかず)3品という料理の組み合わせ(膳立て)のことで、一般的に室町時代に誕生し、江戸時代に発展したといわれている。そんな一汁三菜の配置も決まっており、基本的には以下のように置くのがルールである。
一汁三菜の場合の配膳の位置
・茶碗:左手前
・汁椀:右手前
・主菜:右奥
・副菜:左奥
・副々菜:中央奥
・汁椀:右手前
・主菜:右奥
・副菜:左奥
・副々菜:中央奥
2. 地域で配膳の位置は異なる

配膳の位置やルールは、基本的に全国どこでも同じとなっている。しかし、Jタウン研究所の調べによると(※1)、「汁物(味噌汁)を左奥に置く」という割合は39.3%であった。また、地域別に見ると関西地方から中国地方でこの傾向が強く見られ、特に大阪府・京都府・兵庫県の関西3府県では70%を上回った。この汁椀を左奥に置くという場合の配膳方法は以下のようになっている。
汁椀を左奥に置く場合の配膳の位置
・茶碗:左手前
・汁椀:左奥
・主菜:右手前
・副菜:右奥
・副々菜:中央奥
・汁椀:左奥
・主菜:右手前
・副菜:右奥
・副々菜:中央奥
3. それぞれの配膳の位置の考え方

前述のとおり、基本的な配膳では左手前にご飯を置き、右手前に汁物を置くことが多い。また、一部地域では左奥に汁物を置くこともある。それではなぜこのような配置になっているのだろうか。一般的にいわれている、それぞれの配置の理由についても確認しておこう。
基本の配膳の位置の考え方
左手前にご飯を置き、右手前に汁物を置くという配膳方法には、日本の伝統礼法である「左上位(左上右下)」という考え方が関係しているという。日本人にとって白米はとても重要な食べ物であったため、ご飯茶碗を左側に置くようになり、茶碗と対になる汁椀を右側に置くことになったそうだ。
汁椀を左奥に置く場合の考え方
左奥に汁物を置く(メイン料理を右手前に置く)という配膳方法には、「メイン料理の見栄えがよくなる」「メイン料理が食べやすくなる」などのメリットがある。そのため、特に商人気質が強い関西人は、あえて配膳の基本形を崩して、料理の見栄えのよさや食べやすさなどを重視したのではないかと考えられている。また、左奥に汁物を置くと「左手で汁椀を取りやすい」などの意見もある。
4. 配膳の位置に関するよくある質問

ここまで配膳の位置について詳しく解説してきた。しかし中には「飲み物やフルーツはどこに置いたらいいか」や「洋食の配膳はどうしたらいいのか」などが気になる人もいるだろう。そこで最後に、配膳の位置に関するよくある質問・疑問に回答する。
Q1.飲み物やフルーツの配膳位置は?
食卓には一汁三菜以外にも、飲み物やフルーツ・デザートなどを配膳する場合もある。これらの配膳位置もある程度決まっていて、飲み物は右手(利き手)で取りやすいよう右奥に置き、フルーツやデザートはその対になるよう左奥に置く。飲み物やフルーツなどを配膳する際には意識してみよう。
Q2.一汁一菜の場合はどうなるの?
和食の基本形は一汁三菜といわれているが、忙しい現代人は一汁一菜(ご飯、汁物、おかずという組み合わせ)になることも少なくない。この場合でも基本は左手前にご飯、右手前に汁物を置いて、中央奥におかずを置くようにすればよい。一汁三菜のときと同じ要領で食事を置くようにしよう。
Q3.洋食の配膳位置はどうなるの?
洋食や中華料理などの配膳位置も、基本的には和食と同じでよいとされている。そのため、パンやパスタといった主食を左側に置き、スープを右側に置けばよい。なお、中華料理の場合にはラーメンとご飯の組み合わせなどもある。この場合はメイン料理であるラーメンを左側に置き、ご飯を右側に置くこともある。基本のルールを守りつつも、その食卓に合う配膳位置を選ぶとよいだろう。
結論
配膳の基本形は、左手前にご飯を置き、右手前に汁物を置くというものだ。しかし、これには地域差があり、あえて左奥に汁物を置き、右手前にメイン料理を置いている場合もある。基本的な配膳位置があることだけでなく、地域によって違いがあることも覚えておくとよいだろう。
(参考文献)
- ※江原絢子『次世代に伝えたい和食(日本人の伝統的な食文化)の魅力』?
https://www.maff.go.jp/hokuriku/safe/monthly/pdf/1_h28_siryou.pdf - ※1:Jタウンネット「しっくりくるみそ汁の位置、「左奥」は関西ローカルと思いきや」
https://j-town.net/2018/03/02256621.html?p=all
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