1. 干し野菜にすると変わる栄養
干し野菜は、生野菜に比べて保存性に優れ、うまみが濃縮されるほか、栄養面でもメリットがあると言う。具体的な栄養価の変化を見てみよう。
干し野菜で増える栄養
野菜を天日干しすると、もともと含まれるビタミンD・ビタミンB群といったビタミンと、カルシウム・鉄分・ナイアシンといったミネラルが増えるとされている。ビタミンDは、精神安定につながる栄養素であり、カルシウムの吸収を高める効果もある。人間が日光浴することでも体内で増えると言われているが、いつも日光浴ができるわけではないので、干し野菜を食べることで効率的に摂りたいものである。栄養価がどのくらい変わるのか、生の大根と切り干し大根で比べてみよう。生大根と、同じ重さに戻したと仮定する切り干し大根(生大根の1/4量)を比較すると、鉄が3倍、食物繊維は4倍、カルシムは5倍にもなる。
干し野菜の中で変化する栄養
しいたけには、エルゴステロールという成分が含まれている。この成分は紫外線を浴びると、ビタミンDに変化する。また、野菜の中にある酵素であるアミラーゼは、天日干しすることで活性化し、ブドウ糖を作り出す。これが野菜の甘みになる。
干し野菜で減る栄養
水溶性の成分、例えばビタミンCなどは、天日干しすることで減ってしまう。これらの栄養分は、生の野菜や果物から補給することを考えよう。
2. 干し野菜にすることでカロリーに変化はあるのか?
切り干し大根の場合
さきほど、生大根と、同じ重さに戻したと仮定する切り干し大根(生大根の1/4量)の栄養価を比較した。同じようにカロリーを比べてみると、切干し大根のカロリーは、生大根の4.3倍となる。切干し大根と生大根では、三大栄養素の量にも違いがある。切干し大根は、タンパク質は生大根の5倍。脂質は、生大根では0なのに対し、切り干し大根では微量発生。炭水化物については、切り干し大根は4.3倍ほどになっている。もはや、別の食べ物かと思えるほど変化がある。
干ししいたけの場合
もうひとつ、干ししいたけと生しいたけを比べてみよう。これも戻し率4倍として、生しいたけの1/4量の干ししいたけとのカロリーを比べている。カロリーは、干ししいたけが生しいたけの2.2倍となる。三大栄養素の量も比べてみよう。干ししいたけは、タンパク質が1.5倍、脂質は2倍、炭水化物については4倍、生しいたけより多い。
切り干し大根も干ししいたけも、炭水化物の増加率が共に目立っている。これは、アミラーゼがブドウ糖を生成しているせいだろう。さらにこのことが、カロリーアップにもつながっている。
切り干し大根も干ししいたけも、炭水化物の増加率が共に目立っている。これは、アミラーゼがブドウ糖を生成しているせいだろう。さらにこのことが、カロリーアップにもつながっている。
3. 干し野菜を使って料理をカロリーオフする食べ方
栄養価が増すという干し野菜を使うと、どうカロリーオフする食べ方につながるのだろうか。
干し野菜でカロリーオフする食べ方1
家庭でつくる干し野菜は、からからに乾いたものではなく、半干しくらいのイメージのものになる。干し野菜は生野菜に比べてうまみが増していて、味が濃くなるので、調味料がそれほど要らなくなる。また、水分が抜けて味が染み込みやすいことも、調味料カットにつながる。水分で味がだれないので調理がしやすい。
干し野菜でカロリーオフする食べ方2
加熱する際に野菜の水分が少ないため、べちゃっとならず、炒め物が成功しやすい。水分が抜けているので、炒める際に油を多く使う必要がない。油が少なくて済むので、カロリーカットになる。また、野菜を干すことで歯ごたえがアップし、咀嚼の回数が増えることで、ダイエット効果につながることも考えられる。
結論
干し野菜は、カットしてざるに天日干しするだけで、簡単に作ることができる。何日もかけて干す時間がなくても、数時間干してセミドライにしただけでも、生野菜とは違う魅力が生まれる。これを知れば、やってみたくなるだろう。栄養価が上がるのはもちろんのこと、干し野菜にすることでカロリーオフにつながる点は、とても魅力的な情報と言えるのではないだろうか。