1. カラマンダリンとは?
カラマンダリンとはミカン科ミカン属の一種であり、尾張系温州みかんとキングマンダリンを交配して作られた果物である。色鮮やかなオレンジ色とやや扁平形の見た目が特徴で、重さは130~170g程度で温州みかんと同じくらいの大きさである。また、味わいは強い甘みと程よい酸味が特徴で、水分が多くジューシーな食感を楽しめる。皮はやや厚めだが、手で剥くことは可能となっている。
カラマンダリンの誕生と由来
カラマンダリンは1915年にカリフォルニア大学で誕生した柑橘であり、1935年に同大学のフロスト博士により「カラ」という名前が付けられた。また、日本には1955年に農学者の田中長三郎氏によって導入される。しかし当時は酸味が強くて、病気にも弱かったため商業化は難しかった。その後、味の見直しがされたり、病気対策も実現したりしたため、カラマンダリンの栽培が進んでいく。
カラマンダリンの旬と主な産地
カラマンダリンは一般的に3~4月頃に収穫されるが、その後に減酸が行われるため4~5月頃に出回る。また、カラマンダリンは日本でも栽培されており、特に愛媛県で多く作られている。農林水産省の「特産果樹生産動態等調査」によれば(※1)、2017年のカラマンダリン(カラ)の収穫量は2780トンで、多い順に愛媛県(1914トン)、三重県(421トン)、和歌山県(401トン)となっていた。
2. カラマンダリンの栄養価は?
文部科学省の「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」にはカラマンダリンの栄養価は収録されていない(※2)。そこで伊藤農園の「みかんな図鑑」を参考に、カラマンダリン100gあたりの栄養価を紹介しておこう(※3)。
カラマンダリン100gの栄養価
- エネルギー:65kcal
- たんぱく質:1.2g
- 脂質:0.1g
- 炭水化物:14.9g
- ビタミン
・ビタミンD:0μg
・ビタミンB6:0.1mg
・ビタミンB12:0μg
・ビタミンC:35mg - ミネラル
・ナトリウム:1mg
・カリウム:130mg
・カルシウム:17mg
・マグネシウム:11mg
・鉄:0.1mg - 食物繊維:0.7g
(・水溶性食物繊維:0.3g)
(・不溶性食物繊維:0.4g)
3. 美味しいカラマンダリンの見分け方
カラマンダリンの生産量はそこまで多くないものの、時期があえば普通のスーパーや八百屋などでも見かけることがある。もしカラマンダリンを見かけたら、以下のポイントを参考に美味しいものを選ぶようにしよう。
- 色味:全体的に濃いオレンジ色のもの
- 重さ:持ったときに重量感があるもの
- 浮き皮:外皮と果肉に隙間ができていないもの
なお、カラマンダリンは外皮がデコボコしていることが多いが、これはカラマンダリンの特徴なので気にする必要はない。また、外皮にデコボコがあっても果肉はみずみずしく、甘みたっぷりであることも多くなっている。基本的には、上記で説明した色味・重さ・浮き皮で判断するようにしよう。
4. カラマンダリンの基本的な食べ方
カラマンダリンは温州みかんに比べると皮はやや厚めだが、手で皮を剥いて食べることが可能だ。また、カラマンダリンのジョウノウ(薄皮)は薄いため、そのまま房ごと食べられる。ただし、カラマンダリンの果肉にはタネは多め。そのまま食べるのは可能だが、食べる際にはタネに注意をしよう。
5. カラマンダリンの美味しい使い道2選
カラマンダリンはそのまま食べても美味しいが、その爽やかな香りや濃厚な甘みを料理に活用するのもおすすめだ。特にジャム・マーマレード・ケーキ・ゼリーなどに使うと、より美味しく食べることができる。このうち、ここではカラマンダリンの美味しい食べ方を2種類紹介しておく。
食べ方1.ジャム
カラマンダリンの甘い果肉を使ってジャムを作るのもおすすめだ。作り方は、ホーロー鍋などに外皮を取り除いたカラマンダリンを入れてから、砂糖(カラマンダリンの重さの20~30%程度)をふりかけて15分程度置いておく。それから煮詰めていき、全体が透き通るくらいになったら完成だ。作ったジャムは煮沸消毒したキレイなビンに入れて、冷蔵庫で保管するようにしよう。
食べ方2.ゼリー
カラマンダリンを使ってゼリーを作っても美味しい。ゼリーを作るときは、まずカラマンダリンの果肉を取り出してから絞っておこう。それから鍋に果汁・オレンジジュース・砂糖を入れて加熱。砂糖が溶けたら火を止めて、ゼラチンを加える。その後、ゼラチンが完全に溶けたら容器に移して、冷蔵庫で冷やして固めれば完成だ。カラマンダリンの甘みと香りが楽しめるゼリーとなる。
6. カラマンダリンの上手な保存方法
カラマンダリンは比較的日持ちしやすい果物であり、一般的には5日~1週間程度は保存が可能といわれている。保存は、涼しい時期なら風通しのよい冷暗所などで問題ないが、温かくなってきたら冷蔵庫で保存するほうがよい。また、冷蔵庫に入れるときは乾燥を防ぐために、ビニール袋などに入れておくのがおすすめだ。なお、時間が経つと鮮度が落ちてしまうため、できる限り早めに食べよう。
結論
濃厚な甘みとジューシーな食感が魅力のカラマンダリン。生産量が少なく流通時期も限られているため中々入手しにくいが、4~5月頃にはネット通販で購入できたり、スーパーや八百屋などに並んでいたりすることもある。もしカラマンダリンを見つけたら、一度その美味しさを味わってみてはいかがだろうか。
【参考文献】
■※:University of California Riverside「Kara mandarin」
https://citrusvariety.ucr.edu/citrus/kara.html
■※1:農林水産省「特産果樹生産動態等調査」
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tokusan_kazyu/
■※2:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm
■※3:伊藤農園「カラマンダリン」
https://www.ito-noen.com/dictionary/mikan/%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%AA%E3%83%B3/
■※:University of California Riverside「Kara mandarin」
https://citrusvariety.ucr.edu/citrus/kara.html
■※1:農林水産省「特産果樹生産動態等調査」
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tokusan_kazyu/
■※2:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm
■※3:伊藤農園「カラマンダリン」
https://www.ito-noen.com/dictionary/mikan/%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%AA%E3%83%B3/
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