1. ささみとは?
鶏ささみとは、ムネ肉の内側にあり胸骨に沿った部分に位置している筋肉で、牛や豚でいう「ヒレ」に相当する部分を指す。名前の由来は見た目が「笹の葉」に似ているから。肉類の中ではたんぱく質が多く脂肪が少ないため(※2)、ヘルシー食品としてダイエッターを中心に人気がある。また、鶏肉のほのかな甘みと淡白な味わいが特徴で、蒸し物・茹で物などにしてあっさりと食べることが多い。
2. ささみの基本的な栄養価
「日本食品標準成分表」には、生のささみについて「若どり」と「親」の2種類の栄養価が収録されている。このうち以下で紹介しているのは、一般的に食べられている「若鶏肉」の100gあたりの栄養価である。
ささみ(生)の100gあたりの栄養価
- エネルギー:98kcal
- たんぱく質:23.9g
- 脂質:0.8g
- 炭水化物:0.1g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:0.17g
・一価不飽和脂肪酸:0.22g
・多価不飽和脂肪酸:0.13g - ビタミン
・レチノール:5μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:0.7mg
・ビタミンK:12μg
・ビタミンB1:0.09mg
・ビタミンB2:0.11mg
・ナイアシン:12.0mg
・ビタミンB6:0.62mg
・ビタミンB12:0.2μg
・葉酸:15μg
・パントテン酸:2.07mg
・ビオチン:2.8μg
・ビタミンC:3mg - ミネラル
・ナトリウム:40mg
・カリウム:410mg
・カルシウム:4mg
・マグネシウム:32mg
・リン:240mg
・鉄:0.3mg
・亜鉛:0.6mg
・銅:0.03mg
・マンガン:0.01mg
・ヨウ素:0μg
・セレン:22μg
・クロム:0μg
・モリブデン:4μg - 食物繊維:0g
3. ささみがダイエットにおすすめの理由
ささみは、ダイエッターやトレーニーに人気の食品の一つである。その理由はいくつかあるが、栄養面でいうと「炭水化物や脂質が少なくて低カロリーであること」「良質なたんぱく質を含んでいること」などが関係している。それぞれについて詳しく確認しておこう。
カロリー量は低く、糖質量はほぼゼロ
鶏ささみのカロリー量は100gあたり98kcalであり、同じく低カロリーとして知られている「鶏ムネ肉(若どり/皮なし)」の105kcalよりも低い数値となっている(※2)。また、成分表に糖質量の記載はないが、炭水化物の含有量が0.1gであることを考えると相当少ないといえそうだ。ほかにも脂質量も少ないため、カロリー制限や糖質制限をしている人にとっておすすめの食品だといえる。
良質なたんぱく質とバランスのいいアミノ酸
鶏ささみは100gあたり23.9gのたんぱく質量を含んでいる。成人男性(18~64歳)の1日あたりのたんぱく質の推奨量は65gであるため(※3)、鶏ささみを100g食べれば一食分のたんぱく質量を摂ることができる。また、鶏ささみはアミノ酸のバランスがよいのも特徴(※1)。必須アミノ酸はもちろん、非必須アミノ酸もバランスよく含むため、トレーニーにもおすすめである。
4. 重さ別のささみのカロリーと糖質量
生のささみ100gあたりのカロリーは98kcal程度、糖質量は0.1g程度であるが、市販のささみは1本あたり100g以下であることが多い。そこで「大きいサイズ」「普通サイズ」「小さいサイズ」の3種類のささみのカロリーと糖質量を以下にまとめておく。
ささみの大きさ・重さ別のカロリーと糖質量
- 大きいサイズ(70g程度): カロリー69kcal、糖質量0.1g
- 普通サイズ(55g程度):カロリー54kcal、糖質量0.1g
- 小さいサイズ(40g程度):カロリー39kcal、糖質量0g
5. 調理方法別のささみのカロリーと糖質量
「日本食品標準成分表」には、ゆで・焼き・ソテー・天ぷら・フライのように調理方法別のささみの栄養価も掲載されている。そんな調理方法別のささみの100gあたりのカロリー・糖質量は、それぞれ以下のとおりである。
ささみの調理方法別のカロリーと糖質量
- ゆで:カロリー量121kcal、糖質量0g
- 焼き:カロリー量132kcal、糖質量0g
- ソテー:カロリー量186kcal、糖質量0.1g
- 天ぷら:カロリー量192kcal、糖質量6.2g
- フライ:カロリー量246kcal、糖質量6.7g
6. ささみのヘルシーで簡単な蒸し方
鶏ささみをヘルシーなまま食べたいなら、蒸し物か、茹で物のいずれかで食べるのがおすすめだ。それぞれの調理方法はいくつかやり方があるが、ジューシーに美味しく食べたいなら以下で紹介している「電子レンジを使った蒸し方」を試してみるとよいだろう。
電子レンジでできる簡単なささみの蒸し方
- 冷蔵品は5分ほど常温下に置いておく(冷凍品は解凍しておく)
- 耐熱皿にささみを並べて、塩・酒(または水)を少量まぶす
- ラップをふんわりとかけて、電子レンジで2分ほど温める
- 全体が白くなっていたら、取り出してラップをかけたまま蒸す
※ピンク色が残っていたら、10秒ずつ追加で温め直すとよい - 粗熱が取れたら中まで蒸せているので完成である
7. 低カロリーのささみを活かした料理3選
低カロリーのささみは蒸したり茹でたりしてそのまま食べるのがおすすめだが、通常の肉料理の代替品として使うのもおすすめだ。しっかりとした肉感を楽しみながらも、ほかの肉料理よりカロリーを抑えることが可能だ。ここでは、低カロリーのささみを活かしたおすすめ料理を3種類紹介する。
料理1.ささみカツ
ガッツリとボリューム感のある料理を食べたいなら、衣をつけてからサクッと揚げてささみカツにするのがおすすめだ。豚ロースを使った普通のトンカツは100gあたり350kcal程度であるが、ささみの場合は100gあたり200kcal程度で抑えることが可能だ。しかも1本(50g程度)に換算すると100kcal程度となっている。そのため、ほかよりもヘルシーに揚げ物を楽しむことができる。
料理2.ささみステーキ
ささみを焼いて食べたいなら、ジューシーな食感を活かしてステーキにするのがおすすめ。牛サーロイン(赤肉/生)は100gあたり294kcalであるが、ささみであれば100gあたり98kcalとなっている。また、小麦粉やソースなどを加えても、ささみステーキは1食分(150g程度)で290kcal程度である。サーロインを150g食べたら約440kcalなので、ささみのほうが低カロリーでヘルシーといえる。
料理3.サラダチキン
ダイエッターやトレーニーに人気のヘルシー料理の一つである「サラダチキン」にもささみを使ってみよう。ささみのカロリーは100gあたり98kcalであり、通常のサラダチキンに使われている鶏ムネ肉の100gあたり105kcalよりも低カロリーとなっている。そのため、わずかであるがカロリーオフすることが可能だ。また、ささみのほうがたんぱく質量は多いので、その点でもメリットがある。
8. ささみに関連するよくある質問
ここまで主にささみのカロリーについて詳しく解説してきたが、まだささみについて疑問や質問などがあるだろう。そこで最後にささみに関連するよくある疑問・質問に回答しておこう。
Q1.ささみは1日にどれくらい食べていい?
前述のとおり、成人男性(18~64歳)の1日あたりのたんぱく質の推奨量は65gである。そのため、単純にたんぱく質の摂取量だけを見れば、「ささみを270~280g程度食べればよい」ということになる。しかし「食事バランスガイド」によれば(※4)、主菜(肉料理など)の目標量は3~5SV(たんぱく質量18~30g相当)となっている。つまり、食事全体で見ると「130g程度」で十分といえる。
Q2.ささみを大量に保存しておくには?
ささみは生鮮食品であるため、劣化しやすいという欠点がある。そのため、すぐに食べるなら冷蔵保存で問題ないが、長期保存したいなら「冷凍保存」がおすすめだ。冷凍保存のやり方には、食品用ラップで包んでからそのまま冷凍する方法や、加熱してほぐしたものを保存袋に入れて冷凍する方法などがある。
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結論
鶏ささみは低カロリー・高たんぱくであるため、ダイエッターやトレーニーをはじめとするさまざまな人におすすめの食品である。ただし、いくらカロリーが低いといっても、大量に油を使う揚げ物や炒め物にするとカロリーは高くなってしまう。また、当然食べ過ぎればカロリーオーバーになる可能性は高くなる。調理方法や食べる量などにも気をつけながら、上手にささみを食べるようにしよう。
【参考文献】
- ※1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/ - ※2:農林水産省「鶏の部位図鑑」
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2009/pdf/aff2009_02_poster05.pdf - ※3:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf - ※4:農林水産省「「何を」「どれだけ」5つの料理グループで理解」
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/about/group.html
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