1. 重箱の基礎知識

重箱とは
重箱は、料理を盛るために使われる容器のこと。蓋がついているところが大きなポイントで、昔から日本で使用されてきた保存容器ともいえる。形は方形、円形がメインだ。古来のものはおもに漆器であったが、現在では材質もさまざま。段数は、四季を表す4段を中心に、五段、二段、三段などがある。
重箱の起源
そもそも重箱は、いつ頃から日本に存在しているのだろう。おせちのルーツとなる節会が振舞われるようになったのは奈良時代ともいわれているが、この頃はまだ重箱は使われていなかったようだ。文献に登場するのは室町時代になってから。一般に広く使われるようになったのは、江戸後期から明治初期といわれている。
漆塗りの重箱
重箱のなかでも別格の存在感を放つのが、漆塗りの重箱。艶めくその質感は、ほかのものとは一線を隠す豪華さである。さらに蒔絵が施されたものは、ため息が出るほどの美しさ。蒔絵とは金や銀、さまざまな色の粉を蒔いて文様を描く技法で、日本を代表する伝工芸品でもある。熟練した職人の手なくしては作ることができないため、いまでも高価な代物として珍重されている。
2. おせちと重箱

重箱に詰める意味
おせち料理を重箱に詰めるのには、理由がある。ひとつは福や幸せを重ねるという意味になぞらえたもの。また重箱は縦に重ねるので、場所を取らない。さらに多くの食材を詰め、蓋ができるとあり、保存容器としても重宝されてきた。さっと食卓に出すだけで、すぐに食べることができるので、客人に出すときもスマートである。
詰めるもの
本来の重箱は、4段重ねが基本。おせちに関しては、詰めるものも段ごとにおおかたの決まりがある。上から一の重、二の重、三の重、与の重と呼ばれるのが一般的で、四という漢字が使われないのは、死を連想させるからともいわれている。一の重には祝い肴と呼ばれる黒豆や田作り、かまぼこなど。二の重にはエビなどの焼き物。三の重には酢の物や口取りと呼ばれる数の子や紅白なますなど。与の重は煮物だ。ただ、これは地域によってもしきたりが異なる。
3. 重箱の選び方

重箱とお弁当
重箱は、お正月にしか出番がないという人もいるようだが、重箱はいわばお弁当箱の一種。運動会や行楽など、多くの人が一緒に食事をするときに活躍してくれる存在である。江戸時代にも狩りや花見に弁当箱として持っていくことがあったそうだ。
基本は三段
家庭用の重箱は、現在では三段がベーシック。大きさは、6.5寸と呼ばれるものが主流と言われているが家族や使う人数に合わせてチョイスするといい。おせち料理を盛り付けることを基本とするのなら、高価な漆器を購入する選択もあるが、お弁当箱としての要素を備えたいのであれば、もう少しモダンなものをセレクトするのがおすすめ。シンプルなカラーリングで合えば、より現代の食卓や食材に合わせやすい。仕切りがついているものもある。
素材を重視
もし、これから買い求めるのであれば、キャラクタータイプは避けるのが無難。キャラクタータイプにはプラスチック製が多いこと、そしてどうしても飽きがやってきてしまう。木、漆など、本物志向の素材を選ぶことで、ぐっと料理も映える。
結論
古くから日本で、保存容器として、お弁当箱として愛用されてきた重箱。お正月をきっかけにその秘めたパワーを再確認してみるのもいいかもしれない。
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