1. エチオピア原産の「ゲイシャ」種

花のように甘く香るアラビカ種と苦味が強いロブスタ種。米にジャポニカ米とインディカ米があるように、コーヒーにもこのような栽培品種がある。その中のひとつが、近年にわかに注目を集めている「ゲイシャ」種。1930年代にエチオピアの「ゲシャ」村で発見された豆で、コーヒーの原種ともいわれているそうだ。ゲイシャという名は、もちろん「芸者」ではなく、「ゲシャ」という村の名が発祥。1950年代に南米へ渡ったゲイシャ種だが、当初、生産性が低かったこの種を植える農園は少なかった。その後一躍注目を集めるようになったのは、2004年のこと。パナマのエスメラルダ農園が品評会で賞をとり、世界的なブレイクを果たしたのだ。
2. シングルオリジンで味わいたい香りと風味

ゲイシャ種が希少種扱いされるのは、栽培が難しく、1本の樹にあまり多くの果実が実らないことも一因。しかし、その分栄養が一粒一粒にゆき渡り、ひときわ華やかで奥行きのある風味を作り出すとか。これまではざっくりと生産国で豆を選ぶ傾向にあったが、近年のコーヒーブームでは、生産者や農園、精製方法にまでこだわるほど奥深く、豆本来のクオリティが重視されている。その潮流の中でゲイシャは、単一農地&品種の豆を焙煎する「シングルオリジン」でこそ、その特色を遺憾なく発揮できる特別な存在といえよう。フルーティなフレーバーとフローラルな香り、その奥に秘められたニュアンスを、ワインを飲むように存分に味わってみてほしい。
結論
ゲイシャと一口にいっても農園の気候や栽培技術によって様々。ぜひコーヒー専門店で試飲などして、これぞというゲイシャを見つけてほしい。普通のコーヒーにはない格別な味わいが、開花したての花を思わせる匂いと共に、身体いっぱいに駆け巡ることだろう。