1. 香り高い清流の女王「鮎」

鮎といえば、古くから料理のほかにも、絵画や詩歌などで親しまれてきた、清流の女王とも呼ばれる日本の淡水魚。その名の語源は、古語の「あゆる」(落ちる、川を降りる)からで、孵化した稚魚は川から海へ下り、春になると川を遡上し、秋に産卵する。近年は養殖ものも多く出回るが、天然ものの照り輝く姿の美しさ、青くすっとした特有の香りが、多くの人々を魅了してやまない。
2. 容姿端麗で美味な初夏の若鮎

年魚といわれるように、一年間にメダカほどの大きさから体長20~30cmほどに成長する鮎。最も美味しい時期はいつかというと、成長しきらない初夏の若鮎が最も美味しいという説もある。たとえば、希代の美食家・北大路魯山人は「鮎ははらわた」という文章の中で、「鮎の美味いのは大きさから言うと、一寸五分ぐらいから四、五寸ぐらいまでのものである。それ以上に大きく育ったものは、第一香気が失われ、大味で不味い。卵を持ち始めると、そのほうへ精分を取られるためか、香気を失うばかりでなく、肉が粗野になり、すべてに下品になる。」
と綴り、鮎のどの部分が一番美味かと言えば"はらわた"を持った部分だと続ける。1寸は3cmほどだから、魯山人が好んだのは、体長が15cm程に成長した初夏の若鮎だろうか。菜種鮎と呼ばれる4月頃までは様々なものを餌とする鮎は、5月頃からは岩苔のプランクトンを主に食す。清流が育む青々とした苔を食すことで、はらわたまで美味を誇る鮎となるのであろう。
と綴り、鮎のどの部分が一番美味かと言えば"はらわた"を持った部分だと続ける。1寸は3cmほどだから、魯山人が好んだのは、体長が15cm程に成長した初夏の若鮎だろうか。菜種鮎と呼ばれる4月頃までは様々なものを餌とする鮎は、5月頃からは岩苔のプランクトンを主に食す。清流が育む青々とした苔を食すことで、はらわたまで美味を誇る鮎となるのであろう。
結論
お父さん世代になって、だんだんそのうまさが解ってくる食材がある。鮎もそのひとつ。日本酒を飲みながら、今年こそ、天然ものの若鮎の塩焼きのアツアツを、存分にほおばってみたいものだ。