1. 焼き:ふり塩を極める

スーパーや鮮魚店へ夕方行くと、時折、天然物の鯛の切り身が特価になっていることがある。天然物の鯛は、昔から祝いの席やハレの日を、その美しい桜色の姿と上品な美味しさで彩ってきた。
大ぶりの一尾丸ごとは高価な時が多いが、切り身は比較的入手しやすい、日常の御馳走。ぜひ買い求めて、日本料理ならではの「焼き」に挑戦してみて欲しい。本職の料理人でも、何年もかかると聞く魚の美味しい焼き方は、実際に何度も何度も焼いてみて、タイミングを感覚的に掴む必要があるそうだ。なかでも鯛のふっくら感を引き立てる、ふり塩の塩梅はけっこう難しい。魚を焼くことは、シンプルゆえに一筋縄ではいかないのだ。
大ぶりの一尾丸ごとは高価な時が多いが、切り身は比較的入手しやすい、日常の御馳走。ぜひ買い求めて、日本料理ならではの「焼き」に挑戦してみて欲しい。本職の料理人でも、何年もかかると聞く魚の美味しい焼き方は、実際に何度も何度も焼いてみて、タイミングを感覚的に掴む必要があるそうだ。なかでも鯛のふっくら感を引き立てる、ふり塩の塩梅はけっこう難しい。魚を焼くことは、シンプルゆえに一筋縄ではいかないのだ。
【鯛の切り身の焼き方】
材料/鯛の切り身、塩
- 鯛の切り身をザルに載せ、30cmほど上から塩を表裏に均等にまんべんなくふる。
- 20分ほど置くと、水分が出てくるので、ペーパ-でふき取る。
- 魚焼き用のグリルや網で焼く。皮の方を最初に焼き、焼き目を入れたらひっくり返し、もう片方を焼く。
焼き過ぎにはくれぐれも注意を。じっくり集中して取り組みたい。
2. 漬ける:サクから切る鯛茶漬け

切りゴマたっぷりの鯛茶漬けは、これまたとびきりの御馳走。料亭のランチタイムで食した経験などをもとに、ぜひ作ってみたい。その際、パックで売られている鯛の刺身を用いても良いのだが、少し上級を目指すなら、サクから皮を引くところから始めてみよう。切り立ての刺身は新鮮さが違う。プリプリで、得もいわれぬ美味しさで、好みで少々厚めに切ることができるのも利点だ。包丁をしっかり研いで、まな板もピカピカに磨いて、練習に臨みたい。
【鯛茶漬けの作り方】
材料/鯛上身、ご飯、海苔、白ゴマ、ワサビ、お茶
- 頭部の方から、鯛の皮を引く。皮をひっぱりながら少しずつ。
- 好みの厚さに刺身状に切る。
- ゴマを香ばしく炒って切りゴマを作り、醤油、味醂を足したかけ汁を作り、鯛を漬ける。
- 器にご飯を盛り、鯛を載せ、かけ汁もかける。
- もみのり、ワサビを天盛りにする。
- 熱いお茶を添えていただく。
半分くらいは白いご飯と鯛のマッチングを楽しんで。それからたっぷりのお茶を回しかけて蓋をし、1分~2分蒸らすと、これまた美味しい。
3. おすましに:新鮮なアラで作る潮汁

イキの良い鯛のアラが手に入ったら、ぜひ作って欲しいのが「潮汁」だ。新鮮な材料を用い、出来上がりが美しく澄んでいることが必須。春の時季のおもてなしにも絶好なので、レパートリーに加えよう。
【鯛の潮汁の作り方】
材料/鯛のアラ、カイワレ、木の芽、昆布
- 頭や中骨にやや強めの塩をして半時間程置く。
- たっぷりの熱湯にさっとくぐらせ、冷水に取り、水の中で血合いや鱗、ぬめりを取り除き、水気を切る。
- 鍋に水と昆布を入れ、アラを入れて中火にかけ、沸騰直前に昆布を取り出す。
- アクや泡をすくい取り、弱火で気長に煮る。
- 最後に少々の塩で調味する。好みで酒や薄口醤油でも良い。
- 椀に入れ、カイワレをつまにあしらい、木の芽を吸い口に添えて完成。
アクや泡を引き寄せ、汁を透明にする昆布。この昆布を引き上げるベストタイミングを図るのは非常に難しいといわれる。会得するまでぜひ挑戦を続けてほしい。
結論
祖父の誕生日には毎年懇意の魚屋から、立派な鯛のお頭付きが届いたものだ。そんな食卓の風景は昭和で終わりかもしれないが、伝統の祝い魚・鯛を調理する時は、少し背筋がしゃんとする。納得いくひと皿ができたとき、その味わいに心が晴れやかになっていくだろう。