1. パストラミとは?
パストラミとは、東欧地域(トルコ・ルーマニア)が発祥の肉の燻製料理の一つ。ブロック肉に調味料や香辛料(コショウ・塩・ニンニクなど)、ハーブなどをまぶしてから燻製させて作っている。本来は、牛肉の保存性を高めるために使われていたが、現在は豚肉・鶏肉・カモ肉といった肉類が使われることも多い。そのままでも美味しいが、ニューヨークでは「パストラミサンド」が有名だ。
2. パストラミビーフの特徴や魅力
パストラミにはさまざまな肉類が使われるが、定番は牛肉を使った「パストラミビーフ」である。ここではそんなパストラミビーフの特徴や魅力について詳しく解説する。
その1.刺激感とうま味を楽しめる
スパイスやハーブをたっぷりと使うパストラミは、ピリリッとした刺激を楽しめる料理だ。また、牛肉をはじめとする「肉類」のうま味も楽しめる。赤身の部分を使えば肉感が楽しめて、脂身の部分を使えばジューシーな甘みを楽しむことが可能だ。使うハーブやスパイス、肉類によって味の変化を楽しめるのもパストラミの魅力の一つだろう。
その2.程よい歯ごたえを楽しめる
パストラミには牛肉・豚肉・鶏肉・カモ肉など、さまざまな肉類が使われる。これらはうま味やコクなどが変わるが、食感も大きく違う。また、牛肉ひとつとっても、赤身が多い「肩肉」なら歯ごたえを感じられるし、サシが入る「肩ロース」ならジューシーさを楽しめる。そんな使う肉の種類によって違った食感が楽しめることもパストラミの魅力の一つだ。
3. パストラミの基本的な栄養価
文部科学省の「日本食品標準成分表」には、パストラミの栄養価は収録されていない(※1)。そこでアメリカ農務省のデータベースを参考に(※2)、パストラミビーフ(Beef, cured, pastrami)100gあたりの主な栄養価を紹介する。意外にヘルシーなパストラミの栄養価を確認しよう。
パストラミ100gあたりの栄養価
- カロリー:147kcal
- たんぱく質:21.8g
- 脂質:5.82g
- 炭水化物:0.36g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:2.68g
・一価不飽和脂肪酸:2.12 g
・多価不飽和脂肪酸:0.145g - 食物繊維:0g
4. パストラミビーフの基本的な作り方
パストラミは、家で作ることも可能だ。必要なものは、肉(牛肉など)、塩、コショウ、砂糖、ニンニク、醤油・酒(赤ワイン)、みりん、ローリエ、タイム、ローズマリーなどだ。これらの食材を用意したら以下の手順で自家製パストラミビーフに挑戦してみよう。
パストラミビーフの下ごしらえ
- 醤油・酒・みりんは一煮立ちさせ冷ましておく
- 竹串で刺した牛肉に、砂糖と塩をすり込む
- (2)の牛肉に香辛料やハーブ類をまぶす
- 保存袋に(1)の調味液と(3)の牛肉を入れる
- 空気を抜いて口を閉じ冷蔵庫で10日ほど寝かせる
パストラミビーフの作り方・手順
- 10日寝かせた牛肉にたっぷりとコショウを付ける
- 食品用ラップで包み、さらにアルミホイルで包む
- お湯を沸かした鍋に牛肉を入れて15分ほど茹でる
- 15分ほど茹でたら、お湯が冷めるまで放置する
- お湯が冷めたら取り出し、切り分けたら完成
【パストラミビーフを美味しく作るポイント】
- 噛み応えを重視したいなら「肩肉」を選ぶ
- 柔らかさを重視したいなら「肩ロース」を選ぶ
- 水が入らないようラップなどは2、3重に巻く
- 茹でるときはお皿を重し代わりにするとよい
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5. パストラミビーフの美味しい食べ方
パストラミはそのままでもご飯のおかずやお酒のおつまみになるが、サンドイッチや丼物、サラダ、マリネ、炒め物などの具材として使うのもよい。ここでは、そんな中からおすすめの料理を2種類紹介しておこう。
食べ方1.パストラミサンド
パストラミを使った定番料理といえば、ニューヨーカーが大好きな「パストラミサンド」。サンドイッチ用の食パンに、スライスしたパストラミビーフをたっぷりと入れれば、ボリューム感のあるサンドイッチが完成する。また、具材を変えて「BLT風(レタス+トマト)」にしたり、ロールパンに変えたりするのもおすすめだ。パン+パストラミビーフを基本に色々なサンドイッチを楽しもう。
食べ方2.パストラミのマリネ
パストラミを使って、マリネを作るのもおすすめだ。作り方は、キュウリやトマトといったお好みの野菜をカットし、パストラミも一口大にカットしておく。それからお酢やオリーブオイルなどで作ったマリネ液と具材を和えれば完成だ。ちょっとしたデリ感が楽しめるのもポイントとなっている。
6. パストラミに関するよくある質問
ここまでパストラミについて詳しく解説してきた。しかし、まだ「パストラミの名前の由来は何か」「パストラミビーフにはどの部位を使うべきか」といった疑問・質問もあるだろう。そこで最後にパストラミに関するよくある疑問・質問に回答する。
Q1.パストラミの名前の由来とは?
パストラミ(Pastrami)は、19世紀後半にアメリカで付けられた料理名であり、もともとはルーマニア語で「パストラマ(Pastramă)」と呼ばれていた。また、パストラマの語源はルーマニア語で「維持する、保持する」という意味がある「パストラ(păstra)」とされている。ただし、このパストラ自体も、ラテン語かギリシャ語に由来するのではないか考えられている。
Q2.どの部位の肉を使うのがいい?
パストラミに使う牛肉は、歯ごたえで選ぶのがおすすめだ。一般的に、赤身が多い「肩肉」は歯ごたえが楽しめて、脂肪が多い「肩ロース」は柔らかさが楽しめる。また、よりジューシーな味わいを楽しみたいなら、サシが入った「モモ肉」を使ってみるのもよい。初めてなら柔らかくて食べやすい肩ロースで作ってみるとよいだろう。
Q3.鮮度のいい牛肉の見極め方は?
パストラミビーフを作るときは、できる限り新鮮な牛肉を使うのがポイント。精肉店ではお店の人に聞くのがよいが、スーパーなどで購入するなら以下のポイントを参考にしてみよう。
- ドリップ:赤色の肉汁・水分が出ていない
- 赤身:全体的に淡い赤色をしている
- 脂肪:乳白色で、赤身との境界が分かる
- サシ:まだらに細かく入っているもの
結論
パストラミは、冷蔵技術がなかった時代から使われている肉の燻製料理のこと。その基本であるパストラミビーフでは、牛肉ならではのうま味と食感、それにスパイスやハーブの刺激感を楽しむことができる。また、そのまま食べても美味しいが、サンドイッチやサラダなどに使っても美味しい。家でも作れるので、お好みのお肉と食材で自家製パストラミに挑戦するのもよいだろう。
【参考文献】
- ※1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/ - ※2:U.S. DEPARTMENT OF AGRICULTURE「FoodData Central」
https://ndb.nal.usda.gov/index.html
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