目次
1. ケサディーヤとは?

ケサディーヤ(Quesadilla)とは、チーズ入りの焼きトルティーヤことで、代表的なメキシコ料理(テクス・メクス料理)の一つ。ケサディーヤをスペイン語で直訳すると「小さなチーズのもの」という意味になるそうだ。サイズには2枚のトルティーヤでサンドした円形の「フル・ケサディーヤ」と、1枚のトルティーヤを半分に折りたたんだ半月形の「ハーフ・ケサディーヤ」などがある。
ケサディーヤに使われる材料は?
ケサディーヤは、トルティーヤと具材(フィリング)でできている。伝統的にはトウモロコシで作ったトルティーヤ(コーントルティーヤ)を使うが、メキシコ北部やアメリカでは小麦粉で作ったトルティーヤ(フラワートルティーヤ)を使うことが多い。また、主な具材はチーズで、伝統的には「オアハカチーズ」が使われる。チーズ以外には肉類・豆類・香辛料などを具材にすることもある。
ケサディーヤの歴史とは?
ケサディーヤが誕生したのは、スペイン植民地時代(16世紀以降)のメキシコだと考えられている。もともとメキシコでは、スペインによる侵略以前からコーントルティーヤを主食としていた。植民地となったあともそれは変わらず、メキシコ人はトルティーヤの食べ方を模索したという。その後、少しずつ変化していきケサディーヤが誕生。今ではメキシコの定番料理の一つになっている。
2. ケサディーヤの主な種類と特徴

メキシコ発祥のケサディーヤではあるが、実は地域ごとにケサディーヤは独自の進化をしている。そこでメキシコ・アメリカ・エルサルバドルのケサディーヤの特徴をそれぞれ紹介する。
その1.メキシコ版ケサディーヤ
ケサディーヤはメキシコ発祥ではあるが、メキシコ国内にもいくつか種類がある。伝統的なケサディーヤを作っているのは中南部地域で、北部地域ではフラワートルティーヤを使うのが主流となっている。また、本来なら具材のチーズが欠かせないのだが、首都・メキシコシティでは「チーズなし」が基本になるため、注文時に「チーズケサディーヤ」を頼む必要があるそうだ。
その2.アメリカ版ケサディーヤ
メキシコの国境に近いアメリカ南西部でもケサディーヤは食べられている。地域ごとにそれぞれバリエーションがあるのだが、オーソドックスなのはフラワートルティーヤにとろけるチーズをたっぷりとかけてから焼き、チーズが溶けたところに挽肉・玉ねぎ・ワカモレ・コショウなどを加えるというもの。アメリカでよく食べられている「グリルドチーズサンド」に近い仕上がりになっている。
その3.中央アメリカ地域のケサディーヤ
中央アメリカの北中部に位置しているエルサルバドルやグアテマラでは、デザート風のケサディーヤが食べられている。トルティーヤというよりは、小麦粉・牛乳・鶏卵・バター・パルメザンチーズなどを使うためパンケーキ(ホットケーキ)に近い生地であることが特徴である。甘めの生地になっているため、コーヒーと一緒にデザート感覚で食べることができる。
3. ケサディーヤの基本的な作り方

ケサディーヤは、トルティーヤがあれば簡単に作ることができる。トルティーヤは以下で紹介しているページを参考にして作るか、スーパーやオンラインショップなどで購入するとよいだろう。トルティーヤを手に入れたら、以下の手順でシンプルなケサディーヤを作ってみよう。
ケサディーヤの作り方と手順
- サラダ油を熱したフライパンにトルティーヤで焼く
- 1分半~2分程度焼いたら、トルティーヤを裏返す
- トルティーヤの上側半分にミックスチーズを乗せる
- チーズが溶けたら半分に折りたたんで完成となる
4. ケサディーヤのアレンジ方法5選

ケサディーヤの具材(フィリング)にはチーズだけでなく、肉類・卵・野菜類なども合う。また、味付け次第で全く違った料理として楽しめる。ここではケサディーヤのアレンジ術を5つ紹介する。
アレンジ1.スクランブルエッグのケサディーヤ
チーズ・スクランブルエッグ・レタスを挟んだケサディーヤは非常に美味しい。シンプルな具材の組み合わせではあるが、それぞれの相性はよいためサンドイッチのような感覚で食べることができる。朝食やランチにもおすすめのケサディーヤだといえるだろう。
アレンジ2.マッシュポテトのケサディーヤ
チーズ・マッシュポテト・ベーコンを挟んだケサディーヤもおすすめ。具材の相性はよく、重量感もあるため、お腹いっぱい食べることができる。また、コショウなどのスパイスを使いパンチのある味付けに仕上げるのもよい。スクランブルエッグのときとは、違った美味しさを味わうことができる。
アレンジ3.ピザ風ケサディーヤ
トルティーヤにトマトソースを塗ってからチーズをかけ焼き上げるのもおすすめ。具材はお好みでよくて、例えばベーコン・海鮮ミックス・ピーマン・玉ねぎなどを挟んでも美味しい。タバスコを少しかけて、ピリッとした味付けにするとよりピザ風のケサディーヤを楽しむことができる。
アレンジ4.和風ケサディーヤ
メキシコ料理であるケサディーヤを和風にアレンジしてもよい。例えば、味噌とマヨネーズを混ぜてソース代わりにしたり、具材に焼き鳥缶を使ったりすれば、それだけで和風テイストのケサディーヤを楽しめるようになる。また、もやしや水菜などの野菜類を使ってみるのもおすすめだ。
アレンジ5.揚げケサディーヤ
通常のケサディーヤは少量の油で焼いて作るが、油の量を多めにして「揚げケサディーヤ」にしても美味しい。通常どおりケサディーヤを準備したら、深さ2cm程度まで油を入れたフライパンで揚げるようにしよう。両面をカリッと揚げれば、中からトロトロのチーズが出てくるケサディーヤの完成だ。
5. ケサディーヤと似ている料理も紹介

トルティーヤを使った料理は数多くあるため、ケサディーヤと似ている料理も少なくない。そこでケサディーヤを学ぶのに合わせて、トルティーヤを使った料理についても知っておこう。
その1.タコス
タコスとは、トルティーヤに焼いたお肉・生野菜・ハラペーニョ・サルサなどを挟んだ「メキシコ版サンドウィッチ」のようなもの。日本での認知度も高く、お店独自のさまざまな種類のタコスを食べることができる。トルティーヤがあれば自宅でも簡単に作ることができる。
その2.ブリトー
ブリトーとは、フラワートルティーヤで牛肉・ソーセージ・野菜類などの具材を巻き込み、ロール状にした料理である。ちょうどケンタッキー・フライド・チキンの「ツイスター」がブリトーである。現地ではブリトー専門店などで扱われており、大きいタイプのものが主流となっている。
その3.チミチャンガ
チミチャンガとは、ブリトーを油で揚げたボリューム満点の料理のこと。アメリカ&メキシコ版の揚げパンのような食べ物だが、中にフライドライスなどが入っていることもある。食べる場合は何人かでシェアするのがおすすめ。また、通常はサルサ・ワカモレ・サワークリームなどを添えて食べる。
その4.エンチラーダ
エンチラーダとは、コーントルティーヤでお肉・チーズ・野菜などの具材をくるりと巻いてから、上に唐辛子ソースをかけてオーブンで焼きあげた料理である。唐辛子ソースを使っているためスパイシーな味付けが特徴だが、チーズもたくさん使っているためマイルドな味付けも楽しむことができる。
6. ケサディーヤに関するよくある質問

ここまでケサディーヤについて詳しく解説してきた。しかし「トルティーヤの違いを知りたい」「1食あたりのカロリーや糖質量を知りたい」などと考えている人もいるだろう。そこで最後に、ケサディーヤに関するよくある質問・疑問に回答する。
Q1.トルティーヤとケサディーヤの違いとは?
トルティーヤとケサディーヤは、文字が似ているため同じものをイメージしている人も多いはず。しかし、トルティーヤはトウモロコシや小麦粉を薄く伸ばして焼いたパンのことであり、ケサディーヤはそのトルティーヤを使ったメキシコ発祥のファストフードのことである。「トルティーヤを使った料理の一つにケサディーヤがある」と理解しておくと2つを混同せずにすむだろう。
Q2.ケサディーヤのカロリーや糖質量はどれくらい?
「日本食品標準成分表」にはケサディーヤの栄養価は収録されていない(※1)。そこでアメリカ農務省のデータベースを参考にすると(※2)、「チーズケサディーヤ(Restaurant, Mexican, cheese quesadilla)」の100gあたりのカロリーは368kcal、炭水化物量は24.1g(食物繊維量は1.7g)となっている。食べる量や食材によりカロリーや糖質量は異なるが、目安として理解しておこう。
結論
トルティーヤはメキシコ生まれの薄パンのことであり、ケサディーヤはトルティーヤを使ったホットサンドイッチのことである。ケサディーヤの主な具材はチーズだが、それ以外にも肉・魚介・野菜なども合う。朝食やランチなどにもピッタリの料理なので、トルティーヤを購入した際はぜひ挑戦しよう。
【参考文献】
- ※1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/ - ※2:U.S. DEPARTMENT OF AGRICULTURE「FoodData Central」
https://ndb.nal.usda.gov/index.html
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