1. 魚の骨が喉に刺さる状態とは?

魚の骨などの異物が喉に引っかかってしまう状態は、専門的には「咽頭異物(いんとういぶつ」などと呼ばれている。咽頭異物による主な症状には、喉の痛みや違和感などがある。また、魚の骨が刺さり続けていると、感染症を引き起こして炎症が生じることもあるという。小さな魚の骨であれば自然に抜けることが多いといわれているが、太い魚の骨などは抜けにくいので注意が必要だ(※1、2)。
2. 喉に魚の骨が刺さったときの対応方法

もし喉に魚の骨が刺さってしまったら、採るべき行動は「自然に抜けるのを待つ」か「耳鼻咽喉科を受診する」かのいずれかである。それぞれの対応方法について詳しく確認しておこう。
対応法1.自然に抜けるのを待つ
一般的に魚の骨が喉に刺さってしまったとしても、小さなものであれば自然に抜けることが多い。そのため、一晩くらいは特に何もせずに様子を見てもよいとされている。ただし、タイなどの大きな骨が刺さった場合は早めの受診が必要になる。必要に応じて、救急安心センター事業(#7199)を使ったり(※3)、救急外来を受診したりしよう。
対応法2.耳鼻咽喉科を受診する
一晩経っても喉に痛みがある、違和感があるというときは、耳鼻咽喉科(耳鼻いんこう科)を受診しよう。耳鼻咽喉科は、喉などを専門に診療している診療科であるため、基本的には喉の状態を確認する検査機器や喉の異物を取り除くための治療機器が用意されている。一般的な内科(子どもなら小児科)でも対応してもらえる可能性はあるが、機器がない場合は耳鼻咽喉科を紹介されることも多い。
3. 喉に魚の骨が刺さるトラブルの予防方法

喉に魚の骨が刺さるのを防ぐには、「最初から魚の骨を取り除いておく」「魚の骨をよく噛んでから飲み込む」といった方法がおすすめ。そんな喉に魚の骨が刺さるのを防ぐポイントを確認しよう。
予防法1.骨を取り除いてから食べる
ひとつ目が、魚の骨を箸で取り除いてから食べるというもの。特に骨が大きい場合は、簡単に取り除けるのでおすすめ。また、焼き魚の場合は、マナーどおりに食べれば大きい骨を口に運ぶ心配が少なくなる。タイ・アジ・サケ・サバ・サンマ・ホッケなどを食べるときには試してみよう。
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予防法2.よく噛んでから飲み込む
ふたつ目が、よく噛んでから飲み込むというもの。よく噛むことで魚の骨を砕いたり、身に隠れた骨を発見できたりしやすくなる。また、この方法は小魚にも有効となっている。慌てて飲み込むと喉に引っかかりやすくなるため、魚料理を食べるときはゆっくりと咀嚼することを意識しよう。
4. 喉に刺さった魚の骨に関するよくある間違い

世間には「喉に刺さったときには○○したらいい」といった情報が多くある。しかし、中には間違いも多く、返ってトラブルが大きくなったり、治療が難しくなったりするケースも少なくない。そこで最後に世間一般でいわれている、喉に魚の骨が刺さったときのよくある間違いについて紹介する。
間違い1.ご飯の丸飲みはとても危険!
昔から「魚の骨が喉に刺さったらご飯を丸飲みすればいい」といわれている。しかし、現在はこの方法は間違いとされており、魚の骨が取れないどころか、深く刺さってしまい症状を悪化させるリスクもあるという。そのため、魚の骨が刺さったからといって、ご飯を丸飲みしてはいけない。また、世間一般でいわれている「水を飲む」「ツバを飲む」なども同様に危険とされている。
間違い2.自分でピンセットで取るのも危険!
世の中には「喉に刺さった魚の骨をピンセットや箸で取り除く」という人もいるようだ。しかし、この方法も危険であり、誤って喉の粘膜を傷つけたり、骨の先端部だけが残ったりしてしまうこともある。また、中には嘔吐反射が強くて、喉にピンセットを入れると「オエッ」としてしまう人もいる。「確実に見えるなら問題ない」とする意見もあるが、基本的には避けたほうがよさそうだ。
間違い3.魚の骨が溶けることはない!
「喉に魚の骨が刺さっても自然に溶けるから問題ない」といわれることもある。しかし、これも間違いで、口から出る消化酵素では魚の骨を溶かすには至らないといわれている。そのため、喉に魚の骨が刺さり痛みや違和感が続くなら、そのまま放置せずに、早めに耳鼻咽喉科を受診するのが大切だ。
結論
正確な症例数は分かっていないものの、日本人は魚の骨が喉に刺さりやすく、異物咽頭で医療機関を受診している人も少なくないという。一般的に魚の骨が刺さっても自然に抜けることが多いが、中には抜けずに残ってしまうケースもある。魚の骨が喉に刺さってしまったときは、無理して自分で抜いたり、我慢したりせずに、早めに耳鼻咽喉科などの医療機関を受診しよう。
【参考文献】
- ※1:日本耳鼻咽喉科学会「のどの異物」
http://www.jibika.or.jp/citizens/kids_entqa/nodo_ibutsu.html - ※2:日本気管食道科学会「異物」
http://www.kishoku.gr.jp/public/disease01.html - ※3:総務省消防庁「救急安心センター事業(#7119)ってナニ?」
https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/appropriate007.html
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