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京野菜とは?昔から変わらない伝統野菜の特徴・品種・買い方を紹介!

京野菜とは?昔から変わらない伝統野菜の特徴・品種・買い方を紹介!

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 中山沙折(なかやまさおり)

鉛筆アイコン 2021年12月23日

野菜のブランドの中でも特に有名な「京野菜」。九条ネギや京たけのこのような京都の良質な土地・気候で育った野菜の総称であり、普段目にする普通の野菜とは異なる特徴を持つものが多い。今回は、そんな京野菜の基本や特徴を説明してから、有名な京野菜の特徴を一つ一つ紹介する。また、京阪神以外に住んでいる人におすすめの京野菜の買い方についても解説する。

  

1. 京野菜とは?

京野菜
京野菜に関する明確な定義はなく、JA京都のサイト内には「京都府内で取れた野菜は全て京野菜と総称されています」と書かれている(※1)。しかし、かつては京都府内でほとんど取れないユリ根なども含まれており問題となっていた。現在では京都府農林水産部が定めた「京の伝統野菜」や京野菜の中から厳選された「京のブランド産品」などを指すことが多くなっている(※2)。

2. 京の伝統野菜と京のブランド産品

京野菜
京野菜は京都府内で取れた野菜の総称であるが、現在は京野菜というと「京の伝統野菜」や「京のブランド産品」のことを指すことが多くなっている。それぞれの特徴について確認しておこう。

京の伝統野菜とは?

京都府は京都府立大学名誉教・高嶋四郎氏の協力の下、1988年3月に京の伝統野菜の定義を設けた。それによれば京の伝統野菜とは「明治以前に導入されたもの」「京都府内全域での生産品が対象」「野菜類にタケノコは含む」「キノコ・シダは含めない」「絶滅した品種は含む」の五つを満たすものを指すそうだ。この定義に当てはまる野菜類は37品目あり、うち2品目は絶滅した品種である。

【京の伝統野菜(京野菜37品目)】

青味だいこん、うぐいす菜、えびいも、大内かぶ、桂うり、賀茂なす、辛味だいこん、京うど、京せり、京たけのこ、京みょうが、九条ねぎ、茎だいこん、くわい、佐波賀かぶ、佐波賀だいこん、鹿ケ谷かぼちゃ、じゅんさい、聖護院かぶ、聖護院きゅうり、聖護院だいこん、すぐき菜、田中とうがらし、時無だいこん、畑菜、柊野ささげ、伏見とうがらし、堀川ごぼう、舞鶴かぶ、松ヶ崎浮菜かぶ、みず菜、壬生菜、もぎなす、桃山だいこん、山科なす/郡大根、東寺かぶ(50音順)

京のブランド産品とは?

京の伝統野菜とは別に、公益社団法人京のふるさと産品協会による「京のブランド産品」という認証制度もある。こちらは京都府内で取れた全ての農林水産物を対象としており、2021年6月時点では31品目が認定されている。認定を受けた農林水産物には「京マーク」が付与されており、美味しさと信頼性が保証されている。京野菜などを購入する際には、目印にするとよいかもしれない(※3)。

【京のブランド産品(京野菜23品目)】

えびいも、花菜、賀茂なす、京 夏ずきん、京こかぶ、京たけのこ、京みず菜、京山科なす、京壬生菜、京都府産 丹波大納言小豆、京都府産黒大豆 新丹波黒、金時にんじん、九条ねぎ、くわい、鹿ヶ谷かぼちゃ、聖護院かぶ、聖護院だいこん、丹波くり、伏見とうがらし、堀川ごぼう、万願寺甘とう、紫ずきん、やまのいも(50音順)

3. 京野菜の特徴とは?

京野菜
京野菜は全国的に売られている野菜と同じ品種でも、独特なものが多い。なぜこのような特徴が生まれたのだろうか。京都の土地の特徴や歴史的な背景などから京野菜の特徴を学ぼう(※4)。

特徴1.料理に合うよう改良されてきた

京都は内陸のため海が遠く、魚介類は干物や一塩物が多く食べられていた。そのような魚介類をより美味しく食べるために、野菜と一緒に炊き合わせるといった工夫が行われていたそうだ。また、野菜も美味しく食べるために農家が改良を重ねた結果、京都特有の伝統野菜が誕生する。幸い京都は都市として栄えていたため、京都の農業が廃れるということもなく京野菜として根付いていくのだ。

特徴2.西洋野菜が掛け合わされていない

京の伝統野菜の定義に「明治時代以前のもの」がある理由は、実は明治以降の日本には西洋野菜が多く輸入されたことが関係している。明治以降の野菜には生産性向上などの観点から日本の土着種と掛け合わされたものが多くある。一方、京野菜は12世紀ごろまでに伝わったものが多く、京都の土地にあった進化を遂げてきた。このことからほかの品種とは異なる京都ならではの野菜となっている。

特徴3.色・見た目・味の全てがよい

京野菜は「まるで芸術品だ」といわれることがあるくらい見た目が美しいことが特徴である。また、野菜としての味が濃厚で、香りやアクが強いことも珍しくない。これは土地的にキレイな水に恵まれており、盆地であり冬場の厳しい冷え込みで野菜の味が引き立つからだ。旬がはっきりとしており通年出回っていないものが多いという欠点はあるものの、野菜自体の魅力は高く非常に人気がある。

4. 代表的な京野菜13種類

京野菜
京野菜の中でも「京の伝統野菜」と「京のブランド産品」の両方に当てはまるものが13品目ある。そこで13品目全ての京野菜について紹介しておこう。

その1.みず菜(京みず菜)

京みず菜は、青々とした葉っぱと白くて細い葉柄(葉と茎をつないでいる部分)が特徴である。従来の京みず菜は4kg程度の大株になるまで育てて、濃い味と歯ごたえを楽しむものだった。しかし、現在はおひたしやサラダに使えるくらいの小株サイズで収穫されることが多くなっているそうだ。大株の京みず菜を使った料理としては、クジラ肉と煮込んだハリハリ鍋などが有名である。

その2.壬生菜(京壬生菜)

壬生菜(みぶな)はみず菜の変種で葉先が丸く、みず菜よりクセがあり苦味と辛味が特徴である。名前の由来は壬生地区で多く作られていたからで、現在は主に南丹市などで作られているそうだ。かつては千枚漬けの添え物として重宝されてきたが、現在は煮物・和え物・サラダなどに使えるようにと小株のものが人気になっている。

その3.九条ネギ

九条ネギは青ネギ(小ネギ)の代表品種であり、全国的に知名度が高い野菜である。京都の九条でよく栽培されていたことが名前の由来だが、現在は八幡市・京都市・南丹市・京丹後市などで作られている。強い香りや甘味、柔らかい食感が特徴で、薬味として欠かせない野菜として知られている。鍋料理・煮物・和え物などとの相性もよくて、これらの料理を一段と上品な味わいにしてくれる。

その4.京たけのこ

京たけのこは色白の見た目とえぐみの少なさが特徴で、「白子たけのこ」と呼ばれる高級たけのこの一種である。特に京都の西側に位置している西山はたけのこの産地であり、山で繋がっている亀岡市篠町は名産地として知られている。肉厚で柔らかく甘味があるため、刺身にしても美味しく食べることができる。天ぷら・若竹煮・木の芽和えなどにするのもおすすめだ。

その5.賀茂なす

賀茂なすは北区上賀茂で多く栽培されており、収穫期になると直径12~15cm程度、重さ250~300g程度になる大型丸ナスの一種である。別名「なすの女王」と呼ばれており、色味・形・味のすべてにおいて一級品とされている。皮は柔らかいのに肉質はしっかりと締まっているため、煮込んでも煮崩れしくい。なすの田楽やなすの揚げ出しなどにして食べることが多いそうだ。

その6.伏見とうがらし

伏見とうがらしは元々、伏見エリアで多く栽培されていた細長い見た目をした唐辛子である。その細長い見た目から別名「ひもとう」と呼ばれており、長いものだと全長20cm程度になることもあるそうだ。唐辛子ではあるが辛さがないため、普通の野菜としてさまざまな料理に使うことが可能。一般的には焼き物・炒め物・煮物・揚げ物などにして食べることが多い。

その7.山科なす(京山科なす)

京山科なすは主に山科地区で栽培されていた卵型のナスの一種である。ほかのナスに比べると皮が薄く、肉質が柔らかいなど料理にすれば非常に美味しいものの、栽培・流通には向いておらず生産量は少なくなっていた。現在は品種改良が重ねられて、品質が安定したものを栽培しているという。焼き物・煮物・漬物などにすると、京山科なす本来の味を楽しむことができる。

その8.鹿ヶ谷かぼちゃ

鹿ヶ谷かぼちゃはヒョウタンの形が特徴のかぼちゃで、一般的な日本かぼちゃの突然変異として誕生したといわれている。そのため、食用としてはもちろん、観賞用としても親しまれている。もともとは鹿ヶ谷地区で多く栽培されていたが、現在は綾部市が主な生産地となっているそうだ。調理する場合には、普通のかぼちゃと同じように煮物や揚げ物などにすると美味しく食べることができる。

その9.えびいも

えびいもはエビのように湾曲している見た目と縞々模様が特徴の里芋の一種である。品種ではなく特殊な栽培技術によって、その特徴的な見た目にしているそうだ。肉質が緻密なため煮崩れしにくいことが特徴で、味は京野菜の中でも随一といわれている。京都では棒だら(マダラの干物)と一緒に煮込んだ「いもぼう」が有名であり、京都の家庭料理としても定番の一品となっている。

その10.堀川ごぼう

堀川ごぼうは長さ80cm程度、直径5~6cm程度になる極太のごぼうである。その大きさになるまでに2年以上の年月を必要とするため、生産が難しく高級食材の一種となっている。しかし、その見た目とは異なり食感は非常に柔らかく、煮物・鍋料理などにすると中までしっかりと味が染み込む。内部に空洞があるのが特徴で、肉やエビのすり身を詰めた煮物料理なども有名である。

その11.聖護院かぶ

聖護院かぶは収穫期になると重さ2~5kg程度になる国内最大級のかぶ。元々は聖護院地区で作られていたが、環境的に亀岡市のほうが適していたため現在はこちらが産地となっている。きめ細かく引き締まった肉質とシャキシャキとした歯切れのよさが特徴で、京都では千枚漬けに使われていることで有名だ。また、千枚漬け以外ではサラダ・スープ・かぶら蒸しなどにしても美味しい。

その12.聖護院だいこん

聖護院だいこんは聖護院かぶと同じく、聖護院で作られていた丸型の大根である。円筒形の見た目をした青首大根と異なり、白くてまん丸の見た目が特徴となっている。肉質がよく引き締まっており煮崩れしにくいため、煮物やおでんの具材などによく使われている。また、煮込めば煮込むほど味が良く染み込むため、ふろふき大根などにすると非常に美味しく食べることができる。

その13.くわい

くわいはその見た目から「芽が出ますように」という意味が込められた縁起物とされており、正月のおせち料理には欠かすことができない食材となっている。元々は染め物の材料としても使われていたため生産量が多かったが、現在はその用途がなくなり京都市内での生産量はかなり少なくなっているそうだ。ほろ苦さと甘みが特徴で、煮物や揚げ物などにして食べることが多い。

5. 京野菜を買う方法とは?

京野菜
京野菜は京阪神地域のスーパーや八百屋で多く見られるが、そのほかの地域だとあまり目にしないことも多い。もし京野菜を入手したいなら、ネット通販や地域の京野菜取扱店などを利用するといいだろう。また、ふるさと納税を利用して京野菜を手に入れるという方法もある。

その1.ネット通販(JAタウンなど)

より簡単に京野菜を手に入れたいなら、JA(農協)が運営している「JAタウン」などを利用するのがおすすめだ。ここでは京野菜をはじめ、全国の農産物・特産品を購入することができる。自宅に居ながら新鮮な京野菜を探せるので、すぐに京野菜がほしいときには利用してみよう(※5)。

その2.実店舗(百貨店の京野菜コーナーなど)

京野菜の普及活動などを行っている京のふるさと産品協会では「ほんまもん京野菜取扱店」という認定制度も行っており、首都圏と近畿圏に京野菜の専門店を設けている。主に百貨店やデパートなどに「京野菜コーナー」があるので、そこで旬の京野菜を購入することが可能だ(※6)。

その3.ふるさと納税

ふるさと納税の返礼品として、京野菜を手に入れるのもおすすめだ。自治体によって取り扱っている種類などが異なるほか、単品か、詰合せかなどの違いもある。また、京野菜を使った加工食品が多いのも魅力の一つである。ふるさと納税を利用する機会があるならぜひ京野菜もチェックしてみよう。

結論

ここでは13種類の京野菜を詳しく紹介したが、現存する京の伝統野菜はあと22種類ある。いずれも京都の良質な土地で育った野菜なので、普段食べている野菜よりも美味しいと感じるものが多い。京阪神以外の地域では中々目にする機会は少ないが、ネット通販や百貨店内の京野菜コーナー、ふるさと納税などで入手できるので気になる野菜があればぜひ探して見るといいだろう。
(参考文献)
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インフォメーションマークアイコンオリひとを楽しむための注意事項はこちら
  • 公開日:

    2020年3月12日

  • 更新日:

    2021年12月23日

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