1. 江戸時代から続く伏見甘長とうがらし

ししとうはもともと、南蛮とうがらしと呼ばれて日本にはポルトガル人によって伝えられたといわれている。清らかな水源を持つ京都府の伏見で栽培されたししとうが、伏見甘長とうがらしなのである。その歴史を見てみよう。
江戸時代の書物に存在を残す伏見甘長とうがらし
1600年代に記されたとされる『雍州(ようしゅう)府志(ふし)』には、当時すでに伏見の地で南蛮から到来したししとうが栽培されていたことがわかっている。これが伏見甘長とうがらしの先祖とされている。とうがらしは本来辛味のある食べ物であるが、伏見の地で育つししとうには辛味がない。大ぶりで甘みがあるししとうとして、人気を誇る。
京野菜の代表的な食材である伏見甘長とうがらし
400年近い歴史を誇る伏見甘長とうがらしは、現在では重要な京野菜のひとつに数えられている。原産地である京都の伏見区は、京都の南部に位置している。
初夏、伏見甘長とうがらしは伏見のあたりから収穫が始まる。季節が進むにつれ、収穫値は少しずつ北部に移動する。現在は、京都府全域で栽培されている伏見甘長とうがらしは、盛夏の京を彩る食材となるのである。一年を通して購入できるが、やはり夏の風物詩として人気が高い。和洋中、いかようにも調理可能であることも人気の要因であろう。また、葉の部分を京都では「きごしょう」と呼び、じゃこなどとともに炒めて食される。
初夏、伏見甘長とうがらしは伏見のあたりから収穫が始まる。季節が進むにつれ、収穫値は少しずつ北部に移動する。現在は、京都府全域で栽培されている伏見甘長とうがらしは、盛夏の京を彩る食材となるのである。一年を通して購入できるが、やはり夏の風物詩として人気が高い。和洋中、いかようにも調理可能であることも人気の要因であろう。また、葉の部分を京都では「きごしょう」と呼び、じゃこなどとともに炒めて食される。
2. 細長い伏見甘長とうがらしの特徴は?

細長い形状と甘さが特筆すべき特徴とされているのが、伏見甘長とうがらしである。全国的に人気が高まっているこのししとう、名前を変えて栽培も各地に広がりつつある。大きさや味わいなど、伏見甘長とうがらしの特徴についてみてみよう。
ししとうの中では長いタイプ
伏見甘長とうがらしには、「伏見甘」や「ひもとう」という別名がある。その名のとおり、ししとうの中ではもっとも細長く成長するタイプに属する。約10~15cmの長さに育ち、すらりとした外観が特徴である。この特徴は、伏見のししとうとアメリカ大陸のとうがらしの交雑種「万願寺ししとう」にも受け継がれている。果肉は柔らかく、焼いても煮ても揚げても美味しいありがたい野菜である。
甘さはししとう以上、青臭さもなし
ごくまれに辛味の強いものがあるものの、伏見甘長とうがらしはさわやかな甘さをもつししとうである。熟して赤くなるとさらに甘くなるが、緑色のまま収穫されるものが大半である。通常のししとうより甘く、ピーマンと比較すると青臭さがないことから、現在はその人気が全国に普及しつつある。京都以外で栽培されるこのししとうは、「甘長ピーマン」などの名が与えられている。
伏見甘長とうがらしを購入するときには、全体にハリとツヤがあるものを選ぶのが原則である。乾燥を避けるために、購入後はキッチンペーパーなどにくるんで保管するのが望ましい。
伏見甘長とうがらしを購入するときには、全体にハリとツヤがあるものを選ぶのが原則である。乾燥を避けるために、購入後はキッチンペーパーなどにくるんで保管するのが望ましい。
3. 伏見甘長とうがらしのさまざまなレシピ

京野菜の代表的な食材として知られる伏見甘長とうがらしは、種ごと食べられるししとうであるため、まるごと揚げたり焼いて食べられる。お膝元の京都では、じゃこと組み合わせて炒めることが多い。さっと炒めた伏見甘長とうがらしに、おかかをどっさりとのせて食べるのも京風である。子どもが食べる場合には、ベーコンや豚肉と調理するのが向いている。夏バテが心配される季節、伏見甘長とうがらしを豚肉でくるんで塩コショウだけの味付けで食べてみよう。食欲も進み、栄養面でも文句なしの一品となる。
結論
京の食文化に根付いている伏見甘長とうがらしは、細長い形状とさわやかな甘みをもつししとうである。京のおばんざいにも欠かせない夏の食材として、伝統的なレシピも多い。京都の伏見原産とされるししとうであるが、昨今では全国的に栽培が普及しつつある。食欲が落ちる夏の救世主として、今後も注目されそうである。
この記事もCheck!