1. 先人たちが賢く利用してきた「カビ」のチカラ

日本人にもっとも豊かな恩恵をもたらしてくれるカビは、ニホンコウジカビ(麹菌)、学名「Aspergillus oryzae (アスペルギルス・オリゼ)」。その名の通り麹を作るのに使われるカビだ。デンプンをブドウ糖に、タンパク質をアミノ酸に分解する酵素の働きが強く、ほかの微生物と連携しながら、独特の甘味や旨味を生成。味噌や醤油、本みりん、日本酒、焼酎など、日本を代表する調味料や酒には、すべてこのコウジカビの働きが利用されている。
一方、日本料理に豊かな風味を加える鰹節も、カビで美味しくなるものの1つ。最後の工程として何度もカビ付けを行うことで、カビの菌糸が中心部から水分を吸収して乾燥させ、酵素の働きが脂肪やタンパク質を分解して旨味に変えるのだ。
一方、日本料理に豊かな風味を加える鰹節も、カビで美味しくなるものの1つ。最後の工程として何度もカビ付けを行うことで、カビの菌糸が中心部から水分を吸収して乾燥させ、酵素の働きが脂肪やタンパク質を分解して旨味に変えるのだ。
2. あのチーズも「カビ」の働きでできていた!

西洋に目を向けると、カビは風味豊かなチーズを作るために利用されている。そのうち「チーズの中」に青カビを繁殖、熟成させ、ピリッとした濃厚な味と風味を付けるのが青カビタイプ。ゴルゴンゾーラ(イタリア)、スティルトン(イギリス)、ロックフォール(フランス)が「世界三大ブルーチーズ」と呼ばれている。
一方、「チーズの表面」に白カビを付け、熟成させるのが白カビタイプ。ねっとりクリーミーなのが特徴で、ブリーやカマンベール、バラカなどが有名だ。これらのチーズの多くに使われるのが「Penicillium(ペニシリウム/アオカビ)属」のカビ。ちなみに世界最初の抗生物質「ペニシリン」が抽出されたのも、このカビの仲間からだ。
一方、「チーズの表面」に白カビを付け、熟成させるのが白カビタイプ。ねっとりクリーミーなのが特徴で、ブリーやカマンベール、バラカなどが有名だ。これらのチーズの多くに使われるのが「Penicillium(ペニシリウム/アオカビ)属」のカビ。ちなみに世界最初の抗生物質「ペニシリン」が抽出されたのも、このカビの仲間からだ。
結論
2013年にユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」。カビは、そのベースの部分に深く関わっている。日本の国花は桜、国鳥は雉、国蝶はオオムラサキとされているが、2006年には、日本醸造学会によって麹菌が「国菌」に認定された。ただ、こうした有用なカビは特別で、多くのカビは人間の体にはよくない。カビ毒は加熱でも分解されず、菌糸は内部まで入り込んでいるので、カビの生えた食品は潔く諦めよう。