1. あさりの定番料理を格上げ
あさりの砂抜き
あさりは購入後、砂抜きが必須である。せっかく旨みが強いあさりでも、じゃりっと砂を噛んでいては美味しさも半減だ。砂抜きのポイントは、塩加減と明るさにある。買ってきたあさりは、まず水で洗い、海水程度と言われる3%の塩分濃度で作った塩水につける。このとき、重ならないようバットなどを使用するとよい。水分の量は、あさりの頭が少し出る程度。あさりは砂の中に暮らしているので、暗くすると活発になる。そのため、バットにはラップと新聞紙を重ねてかぶせ、冷蔵庫に入れておくとよい。ただ、冷たすぎると砂抜きできないケースがあるので、冬なら冷蔵庫に入れなくてもよいだろう。スーパーのものであれば、2、3時間かけて砂抜きすればOKだ。
あさりの味噌汁を格上げ
普段なら、事前に出汁を用意する必要のある味噌汁も、あさりなら必要なし!格上げのポイントは、砂抜きしたあさりの殻同士を擦り合わせて、しっかり汚れを取り除くこと。さらに、あさりと昆布を水に入れて、ゆっくりと火を通すこと。この2点が重要だ。沸騰したら昆布は取り除いて、あさりの口が開いてから味噌を溶き入れる。あさりから強い出汁が出るので、味噌はいつもより控えめでよい。菜花やスナップエンドウ、絹さやなど、春野菜を合わせるとさらにランクアップできる。
あさりの酒蒸しを格上げ
酒蒸しも、あさりを代表する料理だ。酒蒸しはあさりだけで作るものと思っている人も多いようだが、実はほかの具材を一緒に蒸し上げると、あさりの旨みを吸って、さらに旨くなる。特に野菜は相性がよい。おすすめはキャベツやきのこ、ブロッコリー、じゃがいもなど。残り野菜でもぐんと旨くなる。春雨を入れて汁を吸わせてもよいだろう。
2. あさりの和風アレンジ料理
あさりの炊き込みご飯
旨みたっぷりのあさりは、その出汁を余すことなく使えるかが腕の見せどころ。炊き込みご飯は、あさりの出汁をたっぷりと吸い込んだご飯がなんとも旨い。ポイントは、いったんあさりを酒蒸しにして、その出汁をベースにご飯を炊き上げることだ。あさりは殻からはずして最後に加えると、縮むことなく、ぷりっとした食感を楽しむことができる。木の芽を飾れば、いっそう美味しそうなルックスに。
あさりと青菜の煮浸し
煮浸しも、あさりの出汁を吸い込ませるのにうってつけのアレンジ料理だ。こちらも酒蒸しにしたあさりをいったん、火からおろし、殻から外したものを使い、その出汁をベースに炊き上げていく。小松菜や、ほうれん草などの青菜で作るとよいだろう。
3. あさりの各国アレンジ料理
あさりのパエリア
洋風炊き込みご飯にも欠かすことができない、あさり。パエリアは米を洗わずに、炒めてから炊き上げるのがポイント。パエリア専用鍋でなくとも、フライパンで十分に作ることができるのでご安心を。こちらは、白ワインで蒸したあさりを使用する。和風のアレンジ料理同様、ワイン蒸しの出汁をベースに米を炊き上げていく。エビやホタテ、イカなどを合わせて使うと、さらに旨みが倍増。この場合、魚介類はあさりと一緒にフライパンでさっと炒めてワイン蒸しにし、米が炊き上がる少し前に加えよう。
あさりのフォー
フォーは、ベトナムでよく食べられている米麺のこと。あっさりしたフォーは、あさりの出汁と相性バツグンだ。作り方は、あさりと水、酒を火にかけて、あさりが開いたらスープが完成。ナンプラーを加えて味を整え、あとは茹でたフォーにかけるだけ。ネギやパクチー、レモンなどを飾ると、より本格的に仕上がる。ビーフンやうどんで代用してもなかなか旨い。
結論
あさりは価格も比較的リーズナブルで、扱いもほかの魚介類に比べるととても楽である。魚介類のなかでもデイリー向きの食材だと言えるだろう。下ごしらえの砂抜きと、定番の料理を習得すれば、バリエーションがどんどん広がることがわかっていただけただろうか。あさりの旨みを活かしたアレンジ料理は、現代人に不足しがちな亜鉛摂取にも効果を発揮してくれそうだ。