1. 山菜とは?

山菜とは、一般的に野山に自生している食べられる植物のことである。スーパーや八百屋などで売られている野菜とは違い、多くの山菜は独特の風味や強いアクがある。また、自生しているため時期によって収穫できる山菜が異なるのも特徴だ。なお、一般的に野山に自生しているものを山菜と呼ぶことが多いが、里山・水辺・海岸などに自生している食用の植物も「山菜」と呼ぶことがある。
2. 日本で採れる代表的な山菜10種類

日本で自生してる山菜は数多くあるが、特に有名なのが農林水産省の「特用林産物生産統計調査」でも統計がとられているワラビ・乾ぜんまい・タラの芽・ふき・ふきのとうなどの10種類の山菜である(※1)。まずは日本で有名なこれらの山菜について確認しておこう。
その1.わらび
・コバノイシカグマ科/時期:3~6月頃
日本全国に自生している山菜で、特に山地や平地の日当たりのいい場所に多い。春から初夏にかけての若芽を食用とする。アクが強いため食べるときにはアク抜きは必須となっている。アク抜きしたワラビは、おひたし・煮物・炒め物・和え物・混ぜご飯の具などにして食べること多い。
日本全国に自生している山菜で、特に山地や平地の日当たりのいい場所に多い。春から初夏にかけての若芽を食用とする。アクが強いため食べるときにはアク抜きは必須となっている。アク抜きしたワラビは、おひたし・煮物・炒め物・和え物・混ぜご飯の具などにして食べること多い。
その2.ぜんまい(乾ぜんまい)
・ゼンマイ科/時期:4~5月頃
日本全国の野山に自生している山菜であり、渓流や水路など水辺のそばに多く見られる。食用となるのは綿毛が付いている若い芽で、アクが強いため食べるときにはアク抜きを必ず行う。アク抜きしたぜんまいはおひたし・和え物・煮物などにするほか、日干しして「乾ぜんまい」にすることも多い。
日本全国の野山に自生している山菜であり、渓流や水路など水辺のそばに多く見られる。食用となるのは綿毛が付いている若い芽で、アクが強いため食べるときにはアク抜きを必ず行う。アク抜きしたぜんまいはおひたし・和え物・煮物などにするほか、日干しして「乾ぜんまい」にすることも多い。
その3.タラの芽
・ウコギ科/時期:4~5月頃
日本全国の野山に自生している山菜で、「山菜の王様」と呼ばれることもある。食用は若芽部分であり、モチモチとした食感と山菜特有の風味が楽しめるため非常に人気が高い。そのまま天ぷらや唐揚げにしたり、下茹でしてからおひたし・和え物などにしたりするのが定番となっている。
日本全国の野山に自生している山菜で、「山菜の王様」と呼ばれることもある。食用は若芽部分であり、モチモチとした食感と山菜特有の風味が楽しめるため非常に人気が高い。そのまま天ぷらや唐揚げにしたり、下茹でしてからおひたし・和え物などにしたりするのが定番となっている。
その4.ふき
・キク科/時期5~8月頃
北海道から沖縄県まで幅広い地域に自生している山菜で、主にふきの若葉が茂ってからすぐの柔らかい葉柄部分を食用としている。アクが強いため下茹では必要で、下茹でしたものは皮を剥いて料理に用いる。主にきゃらぶき(佃煮)・煮物・炒め物などにして食べることが多くなっている。
北海道から沖縄県まで幅広い地域に自生している山菜で、主にふきの若葉が茂ってからすぐの柔らかい葉柄部分を食用としている。アクが強いため下茹では必要で、下茹でしたものは皮を剥いて料理に用いる。主にきゃらぶき(佃煮)・煮物・炒め物などにして食べることが多くなっている。
その5.ふきのとう
・キク科/時期3~4月頃
ふきと同じく北海道から沖縄県まで全国に自生している山菜で、開ききっていないつぼみ部分のことである。雪解けの地面から生えてくる春を告げる山菜として有名だ。ふきのとうは天ぷらにして塩で食べるのが定番となっている。また、胡麻和えやふき味噌なども美味しいので人気となっている。
ふきと同じく北海道から沖縄県まで全国に自生している山菜で、開ききっていないつぼみ部分のことである。雪解けの地面から生えてくる春を告げる山菜として有名だ。ふきのとうは天ぷらにして塩で食べるのが定番となっている。また、胡麻和えやふき味噌なども美味しいので人気となっている。
その6.つわぶき
・キク科/時期:一年中(春のものが美味しい)
福島県西部から九州まで自生している山菜で、主に海岸近くの岩場に生えている。観賞用として用いられることも多いが、九州地方などでは葉柄や若葉を食用としている。アクが非常に強いため下処理(下茹で)が必須となっている。下茹で後に皮を剥いてからキャラブキ(佃煮)にして食べる。
福島県西部から九州まで自生している山菜で、主に海岸近くの岩場に生えている。観賞用として用いられることも多いが、九州地方などでは葉柄や若葉を食用としている。アクが非常に強いため下処理(下茹で)が必須となっている。下茹で後に皮を剥いてからキャラブキ(佃煮)にして食べる。
その7.うわばみ草(ミズ)
・イラクサ科/時期:5~9月頃
北海道から九州まで幅広く自生している山菜で、谷間の湿地など主に湿った場所に生えている。柔らかな茎部分を食べる。茹でておひたし・和え物・炒め物・煮物などにすることが多い。また、独特な粘り気があるため、茹でたものを包丁などで細かく叩くとトロロのように食べることも可能である。
北海道から九州まで幅広く自生している山菜で、谷間の湿地など主に湿った場所に生えている。柔らかな茎部分を食べる。茹でておひたし・和え物・炒め物・煮物などにすることが多い。また、独特な粘り気があるため、茹でたものを包丁などで細かく叩くとトロロのように食べることも可能である。
その8.くさそてつ(こごみ)
・コウヤワラビ科/時期:4~5月頃
日本全国の野山に自生している山菜である。観賞用として庭先に飢えられていることも多いが、食用として栽培されていることも少なくない。アクが少なく柔らかいため、下茹でしなくても食べることが可能。天ぷら・唐揚げ・おひたし・和え物・サラダなどにすると美味しく食べられる。
日本全国の野山に自生している山菜である。観賞用として庭先に飢えられていることも多いが、食用として栽培されていることも少なくない。アクが少なく柔らかいため、下茹でしなくても食べることが可能。天ぷら・唐揚げ・おひたし・和え物・サラダなどにすると美味しく食べられる。
その9.コシアブラ
・ウコギ科/時期:4~5月頃
日本全国の野山に自生している山菜で、タラの芽の対として「山菜の女王」と呼ばれている。クセは少なく柔らかいため、タラの芽に比べると食べやすい。タラの芽と同じく天ぷらにして食べることが多いが、アク抜きをしてからおひたし・和え物・炊き込みご飯などにすることも多くなっている。
日本全国の野山に自生している山菜で、タラの芽の対として「山菜の女王」と呼ばれている。クセは少なく柔らかいため、タラの芽に比べると食べやすい。タラの芽と同じく天ぷらにして食べることが多いが、アク抜きをしてからおひたし・和え物・炊き込みご飯などにすることも多くなっている。
その10.もみじがさ(しどけ)
・キク科/時期:4~5月頃
日本全国の野山に自生しており、特に樹木の下などの湿ったところに群生している。山菜特有のクセがあり、食べるときには下茹でが必要になる。軽く茹でてしたもみじがさは、おひたし・胡麻和え・酢の物などにすると美味しい。また、下茹でせずに天ぷらや唐揚げなどにするのもおすすめだ。
日本全国の野山に自生しており、特に樹木の下などの湿ったところに群生している。山菜特有のクセがあり、食べるときには下茹でが必要になる。軽く茹でてしたもみじがさは、おひたし・胡麻和え・酢の物などにすると美味しい。また、下茹でせずに天ぷらや唐揚げなどにするのもおすすめだ。
3. 季節ごとに採れる山菜の種類

前述した10種類の山菜のほかにも、日本では季節ごとにさまざまな山菜を採ることができる。そこで春夏秋冬の季節別に採取可能な山菜の種類をまとめて紹介しておこう。
春(3~5月)の山菜の種類
- ウド
- 行者にんにく
- セリ
- タケノコ
- つくし
- ノビル
- ヒメウコギ
- みつば
- よもぎ
- ワサビ
夏(6~8月)の山菜の種類
- いわたばこ
- シオデ
- シソ
- チシマザサ
- ドクダミ
- マタタビ
- ヤブカンゾウ
- ヤマモモ
秋(9~11月)の山菜の種類
- アケビ(果実)
- 銀杏
- サルナシ
- サンショウ
- ヤマボウシ
冬(12~2月)の山菜の種類
- ナズナ
- クコの実
- ユリ根
4. 山菜採りのマナーと注意点とは?

山菜採りは基本的に誰でもできるが、行うにあたってはマナーや注意点などがある。これらを守らないと翌年以降に山菜採りができなくなったり、ケガやトラブルなどの原因になったりする。また、林野庁発行の「山菜摘みで守ってほしいルールとマナー」というパンフレットも参考にしよう(※2)。
その1.根元から採らないようにする
山菜採りでは採り方に注意しよう。むやみに根っこから引き抜いてしまうと、翌年には自生できなくなってしまう。そのため、根元から抜くのはマナー違反となる。基本的には素手(軍手をする)で採るようにし、必要に応じてナイフやハサミでカットなどを使うようにしよう。
その2.立ち入り禁止区域や私有地には入らない
山菜採りは、必ず立入可能な場所で行うようにしよう。一見野山に見えても私有地であったり、ガケなどがあり危険だったりする場合もある。また、立入可能エリアであっても、草木を傷つけたり、穴を掘りっぱなしにしたりするのはNG。きちんと自然を守るように心がける必要がある。
その3.山菜採りに慣れた人と一緒に行動する
山の中に入るときには、必ず誰かと一緒に行動しよう。地域によっては、熊やイノシシなどの野生動物がいる場所があったり、携帯電話が圏外になったりすることも珍しくはない。また、毒草かどうかの判断が難しいこともある。そのため、できれば山菜採りに詳しい人と一緒に入るようにしよう。
結論
最近はスーパーや八百屋などでも山菜を目にすることが増えているが、新鮮で美味しい山菜を食べたいなら山菜採りに行くのが一番だ。また、山菜には数多くの種類があり、春夏秋冬季節によっていろいろなものを楽しむことができる。もし機会があったら山菜採りに出かけてみるとよいだろう。
※私有地や許可のないエリアでの山菜の採取は控えましょう。
※私有地や許可のないエリアでの山菜の採取は控えましょう。
【参考文献】
- ※1:農林水産省「特用林産物生産統計調査」
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tokuyo_rinsan/ - ※2:林野庁「山菜摘みで守ってほしいルールとマナー」
https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/86358.pdf
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