1. めざしとは?

めざし(目刺)とは特定の魚のことではなく、マイワシやカタクチイワシといったイワシ類を乾燥させた加工品(干物)のこと。昭和の頃の代表的なおかずであり、「白いご飯に梅干しやめざしなどを乗せた弁当」などは有名である。一般的に焼いて食べることが多いが、南蛮漬けや煮物などにしても美味しい。名前の由来には、製造過程で目に竹串などを刺すことが関係している。
イワシとは?
めざしの原料となるイワシとは、ニシン目ニシン亜目の小魚の総称である。日本ではマイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシの3種類が多く食べられている。イワシにはたんぱく質・ビタミン類・ミネラル類を多く含んでいるほか、不飽和脂肪酸のEPAやDHAなども豊富となっている(※1)。刺身をはじめ、寿司、塩焼き、フライ、天ぷらなどさまざまな料理で美味しく食べられる。
2. めざしの基本的な製造工程

めざしは、イワシ類を乾燥させた干物のことである。そんなめざしは、一般的にどのように作られているのだろうか。そこでめざしの基本的な製造工程・加工工程を紹介する。
めざしの製造工程の大まかな流れ
- イワシの目をくりぬきウロコを洗い流す
- 下処理したイワシを塩水に浸けおく
- 塩水に浸けたイワシをザルに上げて水を切る
- 吊るせるようイワシの目の部分に竹串を通す
- 竹串に吊るした状態でイワシを天日干しする
- 数日天日干しを行ったらめざし(丸干し)の完成
3. めざしの基本的な栄養価

めざしはイワシから作られているため、たんぱく質・ビタミン類・ミネラル類・不飽和脂肪酸といったイワシ由来の栄養素を多く含んでいる。そこで文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」を参考に(※)、めざし(生)の100gあたりの栄養価を確認しよう。
めざし(生)100gあたりの栄養価
- エネルギー:206kcal
- たんぱく質:18.2g
- 脂質:18.9g
- 炭水化物:0.5g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:4.33g
・一価不飽和脂肪酸:3.05g
・多価不飽和脂肪酸:3.17g - ビタミン
・ビタミンA(レチノール):77μg
・ビタミンD:11μg
・ビタミンE:0.3mg
・ビタミンK:0μg
・ビタミンB1:0.01mg
・ビタミンB2:0.21mg
・ナイアシン:10mg
・ビタミンB6:0.37mg
・ビタミンB12:15μg
・葉酸:34μg
・パントテン酸:1.27mg
・ビオチン:-
・ビタミンC:Tr - ミネラル
・ナトリウム:1100mg
・カリウム:170mg
・カルシウム:180mg
・マグネシウム:31mg
・リン:190mg
・鉄:2.6mg
・亜鉛:1.2mg
・銅:0.1mg
・マンガン:1.04mg
・ヨウ素:-
・セレン:-
・クロム:-
・モリブデン:- - 食物繊維:0g
4. めざしの美味しい焼き方3選

めざしの定番の食べ方の一つが「焼き」。魚焼きグリルで焼くのがおすすめだが、フライパンやオーブントースターでも簡単に焼くことができる。また、オーブントースターであればオイル焼きやガーリック焼きなども楽しめる。なお、焼き時間が長くなると、硬くなってしまうので注意しよう。
その1.魚焼きグリルで焼く方法
- 食用油を塗ったグリル網にめざしを並べる
- 余熱しておいたグリルに入れて中火で焼く
※片面焼きのグリルの場合は途中で裏返す - めざしに好みの焼き目が付いたら完成
その2.フライパンで焼く方法
- テフロン加工のフライパンにめざしを並べる
- 中火で焼いて焼き目が付いたら裏返す
- めざしの裏面にも焼き目が付いたら完成
その3.オーブントースターで焼く方法
- アルミホイルを敷いた天板にめざしを並べる
- トースターに入れて焼き目が付くまで加熱したら完成
【アレンジアイデア】めざしのガーリック焼き
- 耐熱容器にめざしを並べておく
- めざしにすりおろしニンニクとオリーブオイルをかける
- 乾燥バジル・ローズマリー・黒コショウをふりかける
- オーブントースターで焼き目が付くまで加熱したら完成
5. 焼き以外のめざしの食べ方3選

めざしは焼いて食べることが多いが、南蛮漬け・煮物・炒め物などにしても美味しい。また、洋食として食べたいならマリネやアヒージョなどにするのもおすすめだ。ここではそんな焼き以外のめざしの美味しい食べ方を3種類紹介する。
食べ方1.めざしの南蛮漬け
めざしを揚げ焼きにしてから甘酢を絡めて「南蛮漬け」にするのもおすすめだ。手順を簡単に紹介しておくと、事前に薄切り玉ねぎ・千切り人参・細切りピーマンと甘酢を合わせておきタレを作る。そして、めざしには小麦粉をまぶしておき、サラダ油を引いたフライパンでカリッと焼き上げる。最後に揚げ焼きしためざしをタレに漬けて、冷蔵庫で30分程度なじませたら完成となる。
食べ方2.めざしの煮物
めざしから出るうま味を使って「煮物」を作るのもよい。作り方は、まず醤油・砂糖・和風だし・水を合わせて「煮汁」を作っておく。また、めざしは半分にカットして酒を振っておき、大根や人参といった根菜は乱切りにする。そして、鍋に煮汁と下ごしらえした食材を入れて、味が染みるまで煮れば、うま味たっぷりの「めざしの煮物」の完成だ。
食べ方3.めざしのマリネ
焼いためざしをマリネ液で漬けて「マリネ」にしても美味しい。作り方は、しめじ・パプリカ・サヤインゲンなどを適当な大きさにカットする。そして、オリーブオイルを引いたフライパンでめざしを焼いてから、野菜・キノコを加えて一緒に加熱する。食材に火が通ったら、水・お酢・黒コショウなどで作ったマリネ液で漬ければ完成だ。めざしをさっぱりと美味しく食べることができる。
6. めざしに関するよくある質問

ここまでめざしについて詳しく解説してきた。しかし、まだめざしやイワシについて知りたいこともあるだろう。そこで最後にめざしに関するよくある質問や疑問などに回答する。
Q1.めざしとイワシの違いとは?
おさらいにはなるが、イワシとはニシン目の魚の総称のことであり、めざしとはイワシ加工品の一種である。そのため、めざしという魚は存在しない。また、めざしは干物であり、うま味と塩味、はらわたの苦味が特徴的となっている。一般的には、ほかの干物と同じで焼き魚にすることが多いが、南蛮漬けや煮物、マリネ、アヒージョなどにしても美味しく食べることができる。
Q2.イワシの加工品には何がある?
イワシは、さまざまな加工品に使われている。有名なものには、小さなカタクチイワシなどを使った「煮干し」や、マイワシとカタクチイワシの稚魚である「しらす」などがある。このほか、オイルサーディンやアンチョビなどにもイワシ類が使われている。
Q3.めざしを選ぶときのポイントとは?
めざしは、新鮮なイワシを手早く加工して作られている。しかし、大きさはまちまちなので、作りたい料理に合わせて「大きさ」で選ぶようにしよう。おやつ感覚で食べる場合は小さめのもの。オイル煮やアヒージョにする場合は中くらいのもの。おかずとして出すのであれば、大きめのものを選ぶとよい。
結論
めざしとは特定の魚のことではなく、イワシ類の干物のことである。そんなめざしは、イワシ由来の栄養素を多く含んでいるほか、干物としてのうま味や塩味も備えた食材となっている。また、一般的には焼きにすることが多いが、南蛮漬けや煮物、炒め物などにしても美味しい。機会があったら昭和の代表的なおかずとして知られているめざしを食べてみよう。
【参考文献】
- ※:日本水産資源保護溶解「わが国の水産業 いわし」
http://www.fish-jfrca.jp/02/pdf/pamphlet/057.pdf - ※1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/
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