1. そもそも「いかなごのくぎ煮」とは

関東ではあまり知られていないいかなごのくぎ煮は、関西では春の風物詩として定着している。稚魚の優しい姿、ほどよい甘さはいかにも春にふさわしく、神戸の港では春になるといかなごのくぎ煮を炊く香りが漂うほどである。そもそも、いかなごのくぎ煮とはどのようなものであろうか。
2月下旬に解禁されるいかなご漁
いかなごは、「玉筋魚」と書く。毎年、2月の下旬に漁が解禁され稚魚は「新子」と呼ばれる。これを、醤油やみりんで炊いたものがいかなごのくぎ煮である。いかなご漁は、だいたい1ヶ月ほど続く。その間、関西とくに兵庫県では各家庭でいかなごをくぎ煮にする香りが漂うのである。煮込んだいかなごは、錆びた釘のような形状をしていることからくぎ煮と呼ばれるのである。
また、1935年に発刊された『滋味風土記』にはすでに「玉筋魚釘煎」の文字があり、当時からすでに神戸にはいかなごを甘辛く煮る料理があったことが証明されているのである。
また、1935年に発刊された『滋味風土記』にはすでに「玉筋魚釘煎」の文字があり、当時からすでに神戸にはいかなごを甘辛く煮る料理があったことが証明されているのである。
いかなごのくぎ煮、その味わいは?
いかなごのくぎ煮は、とにかく白いごはんが進んでしまう味わいがある。甘辛さと生姜の風味は、漁師町ならではの魚の美味を引き出すのである。季節感が希薄となった現在においても、初春の解禁の季節に出回るいかなごのくぎ煮は昔ながらの春の風物詩にふさわしい懐かしい味わいである。神戸や関西の港町では、自宅用に大量に炊くだけではなく各地に住む友人知人に送ってその口福をおすそ分けするのである。
2. いかなごのくぎ煮、カロリーや栄養は?

いかなごはまるごと食べることができる魚のため、当然栄養面におけるメリットは大きいと考えられる。ただし、いかなごのくぎ煮は甘辛さを身上とする料理であるだけに、糖分やカロリーを心配する人も多いだろう。いかなごのくぎ煮のカロリーや栄養について具体的にみていこう。
いかなごのくぎ煮のカロリー
調理する際に油も使わないいかなごのくぎ煮は、100gあたりのカロリーは161kcalと低めである。そのため、いかなごのくぎ煮だけを食べてもとくに腹持ちがいいわけではない。しかし、いかなごのくぎ煮は白いごはんがモリモリと進んでしまうという性質を持つため、こちらのカロリーは気にしなくてはいけないだろう。たんぱく質は30g弱、脂質は4.6gほどである。
いかなごのくぎ煮の栄養
魚をまるごと摂取できるいかなごのくぎ煮は、小鉢1杯分(約61g)ほどに7.35μgのビタミンD、3.86μgのビタミンB12という突出した量の栄養を有している。また、小魚の特徴であるカルシウムも、177.64mg含まれる。とくに、ビタミンDはいかなごのくぎ煮を摂取すれば1日の理想摂取量の40%ほどが確保できるのである。そのほか、ビタミンB1、B2、ナイアシンや葉酸など、疲労回復や美容に重要な栄養を多く含んでいるのである。
気をつけるべきは塩分
カロリーも低く栄養が豊富ないかなごのくぎ煮は無敵の料理かと思われるかもしれないが、もちろんデメリットもある。それは、醤油を使って煮るために塩分が多い点である。糖質ももちろん無視できないが、高血圧の人はいかなごのくぎ煮の塩分には注意をする必要がある。
3. いかなごのくぎ煮を炊く場合のコツ

いかなごのくぎ煮を炊く際に必要なものは、醤油、みりん、ざらめ、生姜など、一般の家庭ならば台所に常備しているものである。
いかなごのくぎ煮を炊く際には、いかなごの鮮度が命となる。いかなごは身が縮みやすいという性質があるので、その日に獲れたものをその日に炊く、これが基本である。
また、シンプルな料理だけに火加減が上手下手の分かれ目となる。微妙な火加減、煮汁の減り具合などに注意しながら、焦げ付かないように炊きあげる必要があるのである。
いかなごのくぎ煮を炊く際には、いかなごの鮮度が命となる。いかなごは身が縮みやすいという性質があるので、その日に獲れたものをその日に炊く、これが基本である。
また、シンプルな料理だけに火加減が上手下手の分かれ目となる。微妙な火加減、煮汁の減り具合などに注意しながら、焦げ付かないように炊きあげる必要があるのである。
結論
関西地方では春の風物詩として古くから愛されてきたいかなごのくぎ煮。生姜のきいた甘辛い味わいが、春らしい優しい稚魚の美味を引き立てている。白いごはんと食べれば最高のごちそうとなるいかなごのくぎ煮にはビタミンDをはじめとする栄養も豊富である。塩分に気をつけて、春の味覚を堪能したいものである。
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