1. 精進料理で使用してはいけないNG食材を解説

「精進」とは仏教用語であり、精進料理は仏教の教えに影響を大きく受けた料理である。京都や奈良では、お寺だけではなく料亭でも食べることができる。動物性の食品を使わず、植物性の食品のみを使うのが精進料理の基本的なルールだ。
しかし、植物性の食品であればどんなものでも使ってよいというわけではなく、刺激の強い食品は「五辛(ごしん)」または「五葷(ごくん)」と呼ばれ制限されている。
五辛・五葷...ネギ、ニンニク、ニラ、ラッキョウ、ノビル
また、精進料理では香辛料もNGとされている。これは悟りを開くためには煩悩を取り除くことが必要だが、香辛料は煩悩を刺激してしまうというのが理由だ。
香辛料...唐辛子、こしょう、生姜など
精進料理には辛み成分はもちろん、味が濃いものは基本的には使えない。以上をまとめると、精進料理には肉や魚などの動物性食品、刺激のある野菜、香辛料は使用できないとなる。精進料理を作るときは食材だけではなく、味付けにも注意する必要があるようだ。
また、精進料理は基本的には修行の期間のみ食べるものであって、それ以外の期間に僧侶が肉や魚を食べないとは限らない。あくまでも期間限定の修行の1つであると知っておこう。
2. 卵や乳製品は精進料理に使ってもよい?

卵や乳製品は動物性食品であることは確かだが、動物から生み出されるものとして境界にある食品ともいえる。卵に関しては、中に命が宿っているものとして昔はNG食材とされていた。しかし、無精卵が主流となった現在では、命は宿っておらず殺傷をするわけではないので食べてもよいと考える人もいるようだ。
乳製品は国や地域、時代、宗教によっては許容されている。仏教の世界では、釈迦が断食によって生死をさまよっていたときに牛乳の粥を食することで救われたという言い伝えもある。
仏教は日本だけではなく、インドや中国などさまざまな国で崇拝されている宗教だ。精進料理というと日本だけのものと考えてしまいそうだが、世界を広く見渡せばその国によって精進料理に値するものが存在している。基本的なルールは同じでも、日本で禁止されているものがほかの国でも禁止されているとは限らないのである。
また、精進料理と似て非なるものに「ヴィーガン」がある。ヴィーガンは健康や動物愛護の考えに基づいて植物性の食品を食べるものであり、煩悩への刺激を避けるための精進料理とはまた違う。
ヴィーガンは完全に植物性食品のみの生活を送るが、精進料理は修行のため。期間が限定されているため、時と場合によっては卵や乳製品など動物由来の食品を食べることもあるのだ。
ただし、日本の和食ではそもそも乳製品を使用しないものが多い。また、個人の考えに基づいて精進料理を作る場合は、動物の殺傷禁止の考えに基づき納得できる説明が求められるといえる。
3. 代表的な精進料理のレシピの紹介

植物性食品が中心となる精進料理では、たんぱく質が不足気味になる。そのため、主要なたんぱく質源となる大豆や大豆製品は精進料理においては欠かせないものだ。ここでは、豆腐を使った精進料理にはどのようなものがあるのかを見てみよう。
・ごま豆腐
高野山の土産としても有名なごま豆腐。炒ったごまを練り、葛粉と合わせて加熱して冷やし固めたら完成である。ごまを練るのは大変な作業なので、市販の練りごまで代用することも可能だ。また、ワサビ醤油で食べるのが基本的な食べ方である。
・がんもどき
おでんや煮物の具材としてもおなじみのがんもどきは、元々は肉の代用品として精進料理で作られていたもの。潰した豆腐とニンジン、レンコンなどを混ぜて成形し、油で揚げて完成させる。
・高野豆腐の利休揚げ
豆腐を凍らせて乾燥させて作る高野豆腐は、精進料理には欠かせない存在。ギュッとした食感は肉のような楽しみ方もできる。利休揚げは千利休が好んだことから名付けられており、高野豆腐にゴマをまぶして油で揚げた料理だ。白と黒のゴマを使えば彩りもよい。煮物や汁物だけではない、高野豆腐の新しい食べ方を試してみてほしい。
結論
いまではヘルシーな料理として人気の高い精進料理だが、もともとは仏教の教えに基づき僧侶が修行のためにとっていた食事である。動物性の食品を食べないだけではなく、味や香りの強いものや辛いものを使わないなど、細かいルールも多い。食生活改善のヒントがほしい人は精進料理に注目してみるとよいかもしれない。
この記事もCheck!