1. 残り物で作るハレの日のごちそう「すみつかれ」

すみつかれという不思議な名前の郷土料理は、主に茨城県や栃木県の南部に伝わってきた。見ためはイマイチながら、初午の祭りの日に食べるというアンビバレンツな要素をもつ郷土料理である。その歴史をたぐってみよう。
鎌倉時代にも存在していた?すみつかれの歴史
すみつかれは、「しもつかれ」と呼ばれる。鎌倉時代の説話集「宇治拾遺物語」にも登場するほど歴史が古く、名前の由来も諸説ある。まず、下野(しもつけ)国で作っていたという説がひとつ。また、作り方の「酢み漬け」からきているともいわれている。
すみつかれとはどんな料理か
すみつかれは、正月の残り物である鮭の頭、節分の豆の残りに、根菜などを加えて酒粕で煮込んだ料理である。酒粕で煮込むだけに、寒さ厳しい北関東の冬に食べるにふさわしい郷土料理といえるだろう。すみつかれは伝統的に大鍋で大量に作るのが常で、7軒分のすみつかれを食べると病気にならないという言い伝えもあったそうである。
2. すみつかれのカロリーと栄養

すみつかれは、捨てるところがないといわれるほど栄養面でメリットが多い鮭と、たんぱく質やビタミンが豊富な大豆、ミネラルや植物繊維を含む酒粕を使用した理想的な郷土料理である。冬の栄養補給にはもってこいのすみつかれ、100gあたりのカロリーは97kcalとこちらも十全である。
身体が芯から温まるすみつかれは、ごはんにのせても美味しいし茶漬けにして雑炊風にすれば極寒の時期にふさわしいだろう。また、熱燗とともに楽しむ料理としても茨城県では定着している。
身体が芯から温まるすみつかれは、ごはんにのせても美味しいし茶漬けにして雑炊風にすれば極寒の時期にふさわしいだろう。また、熱燗とともに楽しむ料理としても茨城県では定着している。
3. すみつかれの食習

すみつかれは、古来初午の日に食べる料理である。すみつかれを初午の日以外に作ると火事になるともいわれ、かつては禁忌であったという。初午の日にすみつかれを作り藁にくるみ、赤飯とともにお稲荷さんに供える。こうして、家内安全や火の用心を祈ったのである。節分にもイワシの頭で鬼を除ける風習があるが、すみつかれも使用する鮭の頭によって鬼を退散させ、節分の豆によって魔を滅するという、鬼に金棒の郷土料理であったのである。
現在はこの風習はすたれて、すみつかれは茨城県あたりでは年間を通して日常的に食べられている。とはいえ、その性質上冬の風物詩であることに変わりはないだろう。
現在はこの風習はすたれて、すみつかれは茨城県あたりでは年間を通して日常的に食べられている。とはいえ、その性質上冬の風物詩であることに変わりはないだろう。
4. すみつかれのさまざまなレシピ

魚、豆、野菜を酒粕で煮込むすみつかれは、想像しただけで家庭の温かさを想起させる郷土料理である。茨城県や栃木県民以外も、寒い時期にぜひ試してみたい料理である。
すみつかれは、鮭の頭を使用することに抵抗があれば、市販品を活用して気軽に作ることができる。そのレシピを見てみよう。
すみつかれは、鮭の頭を使用することに抵抗があれば、市販品を活用して気軽に作ることができる。そのレシピを見てみよう。
まずはすみつかれのオリジナルレシピを
すみつかれは、独特の風味を持つ郷土料理である。そのため、好き嫌いが別れるともいわれている。まずは、そのオリジナルレシピをみてみよう。
すみつかれを作るのに必要な材料は、鮭の頭、大豆、酒粕、大根、ニンジン、油揚げ、出汁、醤油などである。もっとも、各々の家庭にそれぞれの味が伝わっているのでバラエティーは無限に存在する。
大根やニンジンなどの根菜は、「鬼おろし」という竹製のおろし器で粗くおろしておく。これを油揚げとともに鍋に入れ、鮭の頭も入れる。酒粕、醤油、出汁でよく煮込んでできあがる。鮭の頭は、鍋に入れる前に熱湯をかけておくと臭みが取れる。
すみつかれを作るのに必要な材料は、鮭の頭、大豆、酒粕、大根、ニンジン、油揚げ、出汁、醤油などである。もっとも、各々の家庭にそれぞれの味が伝わっているのでバラエティーは無限に存在する。
大根やニンジンなどの根菜は、「鬼おろし」という竹製のおろし器で粗くおろしておく。これを油揚げとともに鍋に入れ、鮭の頭も入れる。酒粕、醤油、出汁でよく煮込んでできあがる。鮭の頭は、鍋に入れる前に熱湯をかけておくと臭みが取れる。
5. すみつかれの食べ方いろいろ

鮭の頭を姿がなくなるまで煮込むのは時間もかかるし心理的にちょっと、という人も多いだろう。
そんなときは、鮭の切り身でも代用可能である。もっと時短でという場合は、缶詰の使用をおすすめする。鮭の水煮缶、大豆の水煮を使用し、大根やニンジン、油揚げなど家庭にある食材を使えば、ものの30分ですみつかれができあがる。「鬼おろし」が自宅にない場合には、根菜を適当な大きさに切ってフードプロセッサーで細かくする。本来のすみつかれとは多少食味は異なるものの、子どもにも食べやすい栄養満点の一品となる。
そんなときは、鮭の切り身でも代用可能である。もっと時短でという場合は、缶詰の使用をおすすめする。鮭の水煮缶、大豆の水煮を使用し、大根やニンジン、油揚げなど家庭にある食材を使えば、ものの30分ですみつかれができあがる。「鬼おろし」が自宅にない場合には、根菜を適当な大きさに切ってフードプロセッサーで細かくする。本来のすみつかれとは多少食味は異なるものの、子どもにも食べやすい栄養満点の一品となる。
結論
古くは下野国と呼ばれた地方に伝わる郷土料理すみつかれは、初午の祭りの日にお稲荷さんにお供えされた縁起のよい一品である。酒粕を使い、鮭や大豆、根菜を加えているため、栄養面でも文句なしである。すみつかれの時短バージョンも利用して、家族でふうふうして食べれば2月の寒さも乗りきれるというものである。
(写真出展)
農林水産省 うちの郷土料理 しもつかれ/すみつかれ
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/shimotukare_ibaraki.html
農林水産省 うちの郷土料理 しもつかれ/すみつかれ
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/shimotukare_ibaraki.html
この記事もcheck!