1. 舞茸を加えると茶碗蒸しが固まらないって本当?

茶碗蒸しは、なめらかな舌ざわりとやさしい味わいが魅力の料理だ。和食の献立に茶碗蒸しが付いていると嬉しいという人もいるのでは?しかし舞茸を入れて作ると卵が固まらずに失敗することがあるという。ではなぜ卵が固まらないのだろうか。
茶碗蒸しとは卵に含まれるたんぱく質が熱により固まる性質を利用した料理だ。だが舞茸にはたんぱく質を分解する酵素が含まれている(※1)。そのため生の舞茸を入れると卵のたんぱく質が分解されてしまい、加熱しても茶碗蒸しが固まらないのだ。茶碗蒸しといえばキノコ類が入っているというイメージがある人もいるだろう。
ちなみに舞茸の名前の由来は、かつての希少価値から、見つければ舞い上がるほど喜ばしいとされていたことに由来するといわれている。昔は幻のきのことされてきたようだが、70年代中頃には人工栽培に成功し、現在でも人工栽培で生産されている。黒い舞茸が一般的だが白い舞茸も流通している。選び方のポイントは大きな差はないが、先端までピンとして、しおれていないものを選ぶこと。
2. 茶碗蒸しが固まらない!舞茸を入れてしまった時の応急処置

和食の定番メニューのひとつでもある茶碗蒸し。子どもから大人まで好んで食べる人が多い料理のひとつだ。これまで何も気にせず舞茸を入れて作っていたという人もいるのでは?舞茸の流通量は10〜12月にかけて増えるようだが、1年を通して入手することが可能だ。そのため、食卓にあがる機会も多く、茶碗蒸しにも入れたいと考える人もいるだろう。
では舞茸を入れて固まらせるにはどうすればいいのだろう。加熱して加えればよいだけなのだが、間違って舞茸を加熱せずに入れてしまった場合、茶碗蒸しを固めるためには一旦舞茸を取り出すしかない。取り出した舞茸は下茹でし、再度茶碗蒸しの中に戻す。さらに卵を少し追加してやると舞茸の失敗を挽回できる可能性がある。
3. 舞茸を茶碗蒸しに加えたい時は事前に加熱しよう

先述したように舞茸を加えて茶碗蒸しを作りたいなら、あらかじめ舞茸を加熱することが大切だ。舞茸に含まれるたんぱく質分解酵素が加熱により無力化するため、卵のたんぱく質に影響しなくなるのだ。
舞茸の基本の扱い方は、まず小房に分ける。石づきが付いていないものが多いので、根元は切らず手で縦に裂き食べやすくすればOK。もし茶碗蒸しの器に入れるのに大きいようなら、長さを半分にすればよい。
ちなみに舞茸以外のきのこにもたんぱく質分解酵素をもつものがある(※2)。だが舞茸以外のきのこは卵の凝固に影響を与えないようだ(※3)。そのため、下茹で処理が必要といわれるきのこは舞茸だけのようである。
結論
茶碗蒸しに生の舞茸を入れて作ると、卵が固まらずに失敗してしまう。舞茸を使用して茶碗蒸しを作るときは、必ず加熱してから入れるべきだ。失敗しないポイントをおさえて美味しい茶碗蒸しを作ってもらいたい。ちなみに長崎県に茶碗蒸し発祥の店があるようだ。長崎に出かける機会があれば訪ねてみてはいかがだろうか。
(参考文献)
※1出典:日本醸造協会誌 108巻 575-582ページ 2013年「マイタケ由来タンパク質分解酵素の食品加工利用」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan/108/8/108_575/_pdf
※2出典:日本家政学会誌 66巻 19-24ページ 2015年「ブナシメジに含まれるプロテアーゼの筋原繊維タンパク質分解作用」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/66/1/66_19/_pdf
※3出典:和洋女子大学紀要 35集 11-19ページ 1995年「マイタケ (Grifola frondosa(Fr.)S.F.Gray)子実体から溶出する加水分解酵素」
https://core.ac.uk/download/pdf/234598058.pdf
※1出典:日本醸造協会誌 108巻 575-582ページ 2013年「マイタケ由来タンパク質分解酵素の食品加工利用」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan/108/8/108_575/_pdf
※2出典:日本家政学会誌 66巻 19-24ページ 2015年「ブナシメジに含まれるプロテアーゼの筋原繊維タンパク質分解作用」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/66/1/66_19/_pdf
※3出典:和洋女子大学紀要 35集 11-19ページ 1995年「マイタケ (Grifola frondosa(Fr.)S.F.Gray)子実体から溶出する加水分解酵素」
https://core.ac.uk/download/pdf/234598058.pdf
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