1. 田楽とはそもそも伝統芸能のこと

伝統芸能のことを表している田楽について、意味や歴史などを細かく紹介していこう。
田楽の意味や行事、発祥・歴史について
田楽とは伝統芸能のことであり、平たくいうと田遊びのことを意味していて、重労働とされている田植えと大きな関係がある。平安時代にできたとされる伝統芸能、田楽は豊作を願う意味から、歌や踊りを行うようになったようだ。
田楽は社会現象になるまで人気の芸能となり、平安時代に全盛期を迎え、鎌倉、室町時代には田楽能として猿楽に影響を与えるほどの勢いで、一世を風靡した。一時は猿楽を超えるほどの人気があり、室町時代の田楽法師である増阿弥は大活躍した。そのあと、田植えとはあまり関わりのないところで田楽が行われることも多くなり、さまざまな芸が盛り込まれるようになっていった。
地域ごとにそれぞれ独自に発展を繰り返し、さまざまな個性をもつようになった田楽には、いくつか特徴がある。それは、「びんざさら」といわれる楽器が用いられていることと、風流笠といわれる華やかな被り物を身に着けていることである。全体的な動きとしては、舞手達の並びや形状を次々に変化させながら、リズミカルに踊るものになる。
現在でも残されている田楽もいくつかあり、その中でも「秋保の田植踊」(宮城県)と「那智の田楽」(和歌山県)は無形文化遺産に登録されている。
2. 田楽味噌の田楽の意味とは

田楽味噌の「田楽」と伝統芸能のつながりや、田楽味噌の具材や定義について紹介していく。
伝統芸能と田楽(味噌)のつながりについて
実は伝統芸能の田楽と田楽味噌の田楽には、深い関係がある。田楽の舞の中に「高足」と呼ばれる、一本の竹にのりながら曲芸を披露するものがある。その舞の姿が豆腐を串に刺したものに似ているといわれたことから、両者の「田楽」がつながったとされている。
江戸時代、「田楽は昔は目で見、今は食ひ」との川柳があったことから、すでに田楽は田遊びや芸能だけではなく、田楽(味噌)にも通じていたのだろう。田楽(味噌)は庶民文化にも発展していたと考えられる。
田楽味噌の定義や具材について
田楽味噌とは、豆腐、こんにゃく、なす、大根、里芋などを串に刺して、砂糖、酒、みりんを配合し、木の芽や柚子などを使って香り付けをした味噌を塗り、焼いた料理である。
3. おでんと田楽の関係とは

おでんと田楽の関わり合いについて、紹介していく。
おでんの名前の由来について
「おでん」という文字は、かつては煮込み田楽の愛称で「御田」と書かれていた。最初は豆腐を串に刺してから焼いたものに、味噌をつけて食べたというのがはじまりのようで、そのあとはこんにゃく、芋、なす、大根などに同じ方法を用いるようになり、「おでん」と呼ばれるようになった。そして焼く代わりに煮込むという方法も考えられ、煮込みにしたものを正式に「おでん」と名付けられた。
おでんと田楽の違いについて
おでんの作り方は、出汁と調味料を合わせて煮立てたところに下茹でした具材を入れ、じっくりと煮込んで作る。それに対して田楽は、鍋に調味料を入れて煮詰め、味噌ダレを作っていく。それを茹でたり揚げたりした具材にたっぷりと塗り、食べるというものである。
結論
本記事では、田楽について詳しく解説し、さらにおでんとの関係性にも触れてきた。田楽と聞くとついつい食とつながりがちだが、実は背景にはとても大きな歴史があったことが理解できただろう。ぜひ、上述した田楽の意味や歴史を知ったうえで、改めて田楽味噌を味わってみてもらいたい。いままでとは、ひと味違った美味しさを感じるかもしれない。
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