1. 金沢の郷土料理の治部煮とは

金沢の郷土料理である治部煮とは、いったいどのような料理なのか。詳しく解説していくので、多くの人に知ってもらいたい。
治部煮の読み方と名前の由来
まず読み方は、治部煮(じぶに)と読むので覚えておこう。名前の由来としては多くの説があり、中でもじぶじぶと煮るという意味からきているという説が有力なようだ。または、豊臣秀吉軍の食料を調達し運んでいた兵糧奉行「岡部治部右衛門」にちなんでいるなど諸説ある。さらには、鴨肉を使うのでフランス語の「ジビエ」から転じたなどという説も挙げられている。
治部煮とはどのような料理か
治部煮とは金沢の加賀料理として知られる郷土料理であり、小麦粉や片栗粉をまぶした鴨肉や鶏肉を季節の野菜や特産である、すだれ麩を出汁で煮込み、小麦粉でとろみをつけた料理である。そして、薬味にはわさびを添えて食べるのが一般的とされている。治部煮は、身近でそろう食材で時間をかけず手早く作れる、とても魅力的な料理である。
2. 金沢の本格的な治部煮の作り方とは

治部煮の本格的な作り方や美味しく作るためのコツについて紹介していく。
治部煮の作り方
材料
- 鴨ロース肉(または鶏もも肉)
- 里芋
- にんじん
- 生しいたけ
- すだれ麩(生)
- さやえんどう
- 小麦粉または片栗粉
- おろしわさび
- 酒
- みりん
- 醤油
- 塩
- 和風出汁の素
作り方
鴨肉は一口大のそぎ切りにしてから、包丁の刃先などで数ヶ所切れ目を入れる。水気を拭き取ってから塩をふりかけ、小麦粉をまぶし、余分な粉ははたいて落としておく。里芋は皮をむいてから塩でこすり洗いをして、1cm厚さの輪切りにしておく。にんじんも1cm厚さの輪切りにして、生しいたけは軸を取り除いてから飾り切りにする。すだれ麩は三角形に切っておき、さやえんどうは筋を取り除いて塩茹でにする。
鍋に水、にんじん、里芋を入れて火にかけ、煮立ったら野菜が柔らかくなるまで煮ていき、生しいたけ、すだれ麩、酒、みりん、醤油、塩、和風出汁の素を加えて煮る。そこに鴨肉を入れてサッと火を通して、水で溶いた小麦粉または片栗粉でトロミを付け、ひと煮立ちしたら完成となる。器に盛り付けて、さやえんどうとわさびを添える。
美味しく作るためのコツ
鴨肉に小麦粉や片栗粉をまぶして煮ることで、ふっくらかつジューシーに仕上がり美味しく食べられる。鍋に入れる際は、肉同士がくっつかないように1枚ずつ入れるのがポイントである。
3. 鶏や魚の治部煮風とは

鶏や魚の治部煮風について紹介していく。作り方は、上記で紹介した治部煮と同様でよいだろう。
鶏の治部煮
鴨肉以外には鶏肉を使った治部煮がおすすめである。鶏もも肉でも鶏むね肉でも作ることができるが、ジューシーさを求めるならば鶏もも肉で、さっぱり感を好むのであれば鶏むね肉を使用することをおすすめしたい。
魚の治部煮
いつもと少し違う治部煮が食べたい時には、魚を使って作るのはどうだろうか。おすすめしたいのがブリを使った治部煮で、小麦粉や片栗粉をまぶして煮たブリはふっくらとして、旨みを逃すことなく存分に味わえる。ほかにはめかじきなどもおすすめで、煮崩れしにくい魚であれば使い勝手がよいだろう。
4. 治部煮と筑前煮の違いとは

治部煮と筑前煮の違いについて紹介していくので、留意してもらいたい。
治部煮
治部煮は上記で紹介してきたとおり、金沢の加賀料理として知られる郷土料理である。鴨肉や鶏肉に小麦粉や片栗粉をまぶしてから、季節の野菜や特産のすだれ麩と一緒に出汁で煮込み、小麦粉や片栗粉でとろみをつけた料理である。
筑前煮
筑前煮とはもともと福岡県の北部・西部の筑前地方で作られていた郷土料理であった。鶏肉、野菜、こんにゃくなどをはじめに油で炒めてから煮るという調理法が特徴的である。味は、甘辛く味付けした煮物というイメージをもってもらえればよいだろう。
かつては全国の学校給食で郷土料理として提供されるようになったことからはじまり、だんだんと全国に浸透し、いまでは日本の家庭料理の定番となっている。上記のことから、治部煮と筑前煮は発祥や作り方ともに異なる煮物であることが分かる。
結論
本記事では、金沢の郷土料理である治部煮について紹介してきた。鴨肉や鶏肉と野菜などを煮込んでトロミを付けるのが特徴的な煮物であり、わりと時間をかけずに作ることができるので、ぜひ挑戦してみてもらいたい。煮崩れしにくいものであれば、魚でも治部煮にして美味しく食べられる。好みの食材を使って、治部煮のトロっとした美味しさを味わってみてはどうだろうか。
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