1. 強力粉は天ぷら粉の代用になる?粉と食感の違いは?
まずは、天ぷら粉と強力粉の違いを見ていこう。強力粉で天ぷらを作ると食感はどうなるだろうか。
天ぷら粉は薄力粉ベースでできている
市販で売られている天ぷら粉は、薄力粉をベースに卵やでんぷんの原料などが配合されており、水に溶くだけでカラッと美味しい天ぷらが作れるようにできている。つまり天ぷら粉を持ち合わせていない場合は、まず薄力粉を代用して調理するのが一般的な考え方なのである。では、薄力粉ではなく強力粉を代用して天ぷらを作るとどうなるだろうか。
たんぱく質の多い強力粉は天ぷら粉に適していない?
パンやパスタなどに使われる強力粉の主な特徴は、たんぱく質が多く含まれていることだ(※1)。たんぱく質が多いと水で溶いたときにグルテンが発生し、粘り気の強い弾力が生まれる。モチっとした食感には最適だが、これを天ぷらの衣にするとカラッと揚がりにくく、もったりと重い食感になってしまいやすいのが残念なポイントだ。一方、薄力粉は強力粉に比べたんぱく質が少ない。たんぱく質が少ないということは水で溶いてもグルテンが多く発生しないため、カラッと揚げたい天ぷらに向いているのだ。しかし、強力粉を代用しても美味しい天ぷらを作る方法がある。次項で紹介していこう。
2. 強力粉を使った天ぷらの作り方とコツ
天ぷらを作りたいけれど、天ぷら粉と薄力粉のどちらともなく、強力粉ならある。そんな場合は、強力粉に片栗粉やコーンスターチを加えてでんぷんの比率を高くすると、カラッとした天ぷらが作りやすくなる。ただし、混ぜすぎるとグルテンが発生し強力粉特有の粘度が出てしまうので、ダマが少し残る程度にサックリと混ぜよう。粘り気が出そうな場合は水の量を増やしてみるなどして調整するとよい。
3. 強力粉でも天ぷらをサクサクにするコツは?
このように、強力粉を使う場合はたんぱく質を減らし、グルテンの生成をできる限り抑えることでカラッと軽い食感に近づけられるのだ。このほかにも、強力粉を使用しながらサクサクの天ぷらに仕上げるコツがあるのでいくつか紹介しておこう。
冷やした炭酸水を入れる
天ぷらを作るときに加える水は、冷水を使うだけでも食感がサクサクになるが、さらにサクサクの衣にするなら冷やした炭酸水を使うという裏ワザもおすすめだ。衣の中に炭酸ガスを発生させることで、油で揚げたときに十分な水分が抜け、カラッとした天ぷらが揚がる。
マヨネーズを卵の代わりに入れる
衣に水分が残ってしまうことでベタっとしやすい天ぷら。これを解消させるなら天ぷらの衣を作る際、マヨネーズを卵の代わりに入れてみよう。マヨネーズの乳化された植物油が天ぷらの衣に分散し、水分を弾いてカラッと揚げることができる。
酢を入れる
酢にはグルテンの生成を抑える働きがあるといわれている。つまり、強力粉で作った天ぷらの衣でも酢を少量入れるだけでサクサクに揚がるそうだ。酢ならどこの家庭にもあるため覚えておくとよいだろう。
オリーブオイルを使って揚げる
天ぷらの揚げ油にはサラダ油を使うという家庭が多いと思うが、オリーブオイルはとくに揚げ物が得意な油であるということをご存知だろうか。実はオリーブオイルは唯一、180℃の高温に耐えられる油であることから、油の特性を失わずカラッと揚がるのだ。
結論
カラッと軽い食感が美味しい天ぷらに、強力粉は基本的に向いていないことが分かった。しかし、いくつかのポイントを知っておけば強力粉でも美味しい天ぷらを作れそうだ。今回紹介した方法は薄力粉を使った場合にも活用できるので、ぜひ試してみてほしい。
(参考文献)
※1:文部科学省 食品成分データベース
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