1. 白身魚とは?魚の分類の種類を確認しよう

魚は、筋肉中の血色素であるミオグロビンの含有量により、白身魚と赤身魚に区分される(※)。白身魚と赤身魚の特徴や、具体的な魚の種類について詳しく見ていこう。
白身魚の定義や特徴
白身魚はタイやヒラメ、タラ、フグ、カレイなど。じっとして、海底などに棲むでいるものも多い。その分、餌をとったり、敵から逃げたりするための瞬発力に優れており、この力には速筋と呼ばれる白い筋肉が必要だ。この筋肉を動かすためには酸素が必要ないため、白身の魚には酸素貯蔵を目的とするミオグロビンはほとんど含まれていないといわれている。ヘモグロビンの量も少ないため、身が白い色になる。サケは身の赤さから赤身魚と思われがちだが、白身魚に分類される。アミや甲殻類を餌としており、これに含まれるアスタキサンチンが起因して、赤色になるという。
赤身魚の定義や特徴
カツオやマグロ、ブリ、アジなどの赤身魚は、広い海を泳ぎ回る回遊魚がメイン。トップスピードで泳ぎ続けるため、持久力が欠かせない。このような長距離型の遅筋が発達しているのが、赤身魚の特徴だ。運動に必要な酸素を上手に体内に循環させるために、ミオグロビンやヘモグロビンが活躍するのだ。これらには赤い色素が含まれていることから、身が赤くなる傾向がある。
青魚の分類は?
サバやイワシ、サンマなど、背中の部分が青っぽく光っているものを指す。身の色とは関係がない、外見上の見た目だ。DHAやEPAが多く含まれるのが特徴である。青魚は上記の赤身魚、白身魚という分類でわけると、そのほとんどが赤身魚だ。
2. スーパーやレストランで一般的な白身魚の種類一覧

白身魚の種類は非常に多い。なかでもスーパーで購入できる、またはレストランで食べられるような一般的なものを紹介しよう。さらに、価格の安いものや切り身で販売されているものなど、扱いやすい白身魚についてもピックアップする。
白身魚の種類一覧
ウナギ目
- アナゴ:クセのない味わいで和食によく使われる
- ウナギ:濃厚な味わいが特徴の高級魚
- ハモ:関西地方でよく食べられ、湯引きや鍋などに使われる
カサゴ目
- ホッケ:身が厚く脂がのっており、塩焼きや干物で食べられることが多い
- メバル:大きな目が特徴で、煮付けや刺身で食べられる
スズキ目
- マダイ:焼き魚や煮物、鯛しゃぶなどに使われ、お祝いの席にも欠かせない
- カマス:尖った下あごが特徴で、塩焼きで食べられることが多い
- キス:ふっくらとした身が特徴で、天ぷらをはじめさまざまな料理に使われる
- タチウオ:太刀のような長い身体が特徴。刺身やソテー、ムニエルに向く
- スズキ:淡泊で上品な味わいが特徴。刺身で食べられることが多い
タラ目
- スケトウダラ:鍋の具材や煮魚、すり身の原料として使われる
- タラ:一般的にはマダラを指す。焼き魚やムニエル、鍋の具材などに使われ、白子も食される
カレイ目
- カレイ:目が右に寄っているものが多く、煮付けや唐揚げなどで食べられる
- ヒラメ:目が左に寄っているものが多く、高級魚として扱われる
ダツ目
- サヨリ:細長い身体や下あごが特徴で、刺身、酢の物などに向く
- トビウオ:尾びれを使い跳ねる。あご出汁の原料にもなる
フグ目
- カワハギ:外側の皮をはいで調理され、濃厚な肝も美味しい
- トラフグ:食用のフグのなかでも高級で美味しく、あっさりとしている
キンメダイ目
- キンメダイ:金色に光る目と鮮やかな赤い体色が特徴。刺身や煮付け、干物で食べられる
サケ目
- サケ:一般的にはシロザケを指し、焼き魚をはじめさまざまな調理法で食べられる
アンコウ目
- アンコウ:肝とともに鍋の具材にされることが多い深海魚
安い白身魚の種類
- スケトウダラ:輸入量が多くマダラよりも安価
- カレイ:高級魚のヒラメに比べて安価で、冷凍魚も多く流通する
- サケ:とくに旬のものは安く購入できる
- サメ:一般的ではないが、比較的安価で肉のような質感が特徴
- パンガシウス(バサ):非常に淡泊で柔らかい
切り身の白身魚の種類
- スケトウダラ、タラ
- カレイ、ヒラメ
- サケ
- アンコウ
- サメ
- パンガシウス(バサ)
スーパーで扱われる白身魚は、切り身のほか開き(キスなど)、干物(ホッケやカマス)、かば焼き(アナゴやウナギ)などに加工されて販売されている。マダイやキンメダイは、切り身よりも一尾まるごとの状態で販売されることが多い。
3. 白身魚のフライに使われる魚の正体

定食屋やスーパーのフライ売り場、ファストフードチェーン店のメニューにもある白身魚のフライ。この正体は「いろいろな白身魚」だ。白身魚のフライに使われている魚は1種類ではなく、水産学上の白身魚であることのみが共通している。白身魚のムニエル、白身魚のフィレなどにも水産学上の白身魚が用いられているが、魚の品種は商品によって異なる。ただ、タイやヒラメなど、比較的高級魚として知られる魚が「白身魚」という呼び名で商品化されるケースは少ない。なぜなら、固有名称を前面に押し出したほうが、「美味しそう」や「高級魚」という印象を与えやすく購買意欲につながるからである。
ここからは、白身魚のフライによく用いられている魚を紹介していこう。
ここからは、白身魚のフライによく用いられている魚を紹介していこう。
フライの白身魚の正体その1:スケトウダラ
スケトウダラは、世界各国で漁獲量が非常に多い魚のひとつ。日常生活にも関わりの深い魚で、ちくわやはんぺん、かまぼこのような魚肉加工品の原料にもなっている。また、タラコや明太子の親としても知られる存在だ。ベーリング海とアラスカ湾が漁場として有名だ。国産であれば北海道、青森、三陸などで漁獲される。身が柔らかく、甘みがあるのが特徴だ。
フライの白身魚の正体その2:ホキ
ニュージーランドで主に漁獲される魚。こちらも練り物の原料になることが多い。深海に生息する魚で、頭が大きい独特なフォルムだが、日本でその姿を見るのは珍しいかもしれない。近年はアルゼンチンやチリ、南アフリカでも漁獲されている。淡白な味わいで、日本だけでなく、世界各国で愛されている。
フライの白身魚の正体3:メルルーサ
学校給食の定番でもあるメルルーサ。こちらも深海魚で、ホキと同じく、ニュージーランドや南米などで漁獲される。こちらも白身の淡白な味わいが特徴だ。
また、上記3種類のほかにも次のような白身魚がフライに使われている。
- マダラ
- パンガシウス
- ナイルパーチ など
4. 気になる!調理法別の白身魚の種類

フライのほかにも、白身魚はさまざまな料理に使われる。各料理ととくに相性のよい魚や、使われることの多い魚を紹介しよう。
天ぷらに使われる白身魚の種類
天ぷらには、あまり脂がのっていないあっさりとした白身魚が合う。レストランなどではキスやアナゴの天ぷらが定番だ。冷凍の白身魚の天ぷらにはホキなどが使われている。
- キス
- アナゴ
- ハモ
- トラフグ
- ホキ
- 白子(タラ、トラフグ)
刺身に使われる白身魚の種類
白身魚は淡泊な味のものが多いため、刺身にする際は主にプリっとした食感を楽しむ。また、鮮度が落ちやすいものは不向きだ。
- マダイ
- タチウオ
- スズキ
- サヨリ
- メバル
- カレイ
- ヒラメ
- カワハギ
- キンメダイ
干物に使われる白身魚の種類
淡泊な白身魚を干物にすることで、旨みが凝縮してより美味しくなる。さまざまな種類の白身魚を干物にすることができる。
- アマダイ
- エボダイ
- ホッケ
- キンキ
- キンメダイ
- カマス
中華料理に使われる白身魚の種類
唐揚げにした白身魚に野菜のあんをかけた中華料理が有名だが、台湾では蒸し魚も一般的だ。切り身のほか、一尾まるごと調理されることも多い。
- スズキ
- ヒラメ
- カレイ
- マダイ
- タラ
離乳食に使われる白身魚の種類
魚のなかでも、白身魚は離乳食の初期から使用できる。「白身魚の~」という名称のベビーフード(市販品)には、タラやスケトウダラが使用されていることが多い。離乳食向けの代表的な白身魚は下記の通りだ。
- タイ
- カレイ
- ヒラメ
- タラ
- スケトウダラ
結論
白身魚と一括りにされがちだが、その種類は非常に多く特徴もそれぞれ異なる。刺身向きのものもあれば、天ぷら向き、干物向きなど、相性のよい料理も魚によって違う。白身魚に含まれる魚の種類をいくつか覚えておくことで、目的に合った適切な選び方や食べ方ができるだろう。
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