1. 新茶とはどんなお茶?時期は短い!

新茶とは、その年の最初に摘みとった新芽で作ったお茶のことだ。一番茶とも呼ばれる。新茶は立春から数えて88日目にあたる八十八夜から摘みとりが始まる。「夏も近づく八十八夜」と歌い継がれるように、八十八夜は春から夏に変わる節目の時期であり、気候条件も揃っているので極上のお茶がとれるのだ。茶の葉は、年に3~5回ほど収穫できるが、新茶は一年で一番品質がよいといわれる。なかでも八十八夜に収穫されたお茶は八ならびの縁起物とされ、飲むことでその年を無病息災で過ごすことができるといわれている。ちなみに2021年の八十八夜は、5月1日だ。日本各地にお茶の産地があるので、風土や気候により収穫時期も変わってくるが、新茶の時期はだいたい4月上旬~5月下旬くらいだ。
新茶の味わい
新茶はチャノキという木から育つ。チャノキにとって過酷な冬を越え、春に芽吹いた葉には栄養が詰まっている。まだ太陽の光をあまり浴びていない葉は、やわらかくみずみずしい。そして、新茶は旨みと甘みの成分であるテアニンが豊富だ。テアニンが多いと、渋みや苦みが少なくなる(※1)。さらに、新芽ならではのさわやなか香りも魅力だ。
2. 産地別の新茶の時期

ここでは新茶の時期をお茶の産地ごとに紹介していく。産地の気候によって、いつまでに収穫するか変わってくる。お茶の産地では収穫の時期に合わせて、茶摘み体験が行われているところが多い。観光で産地に行った際には体験してみるのもいいだろう。
静岡県
お茶の生産量日本一を誇る静岡県。統計を取り始めた1955年からずっと日本一となっている。浅蒸しの川根茶、やさしい口当たりの本山茶など、さまざまなブランドをもつ静岡県では、4月中旬から茶摘みが始まり、5月中旬まで収穫しているようだ。
埼玉県
日本茶の三大銘茶のひとつである狭山茶は、埼玉県の狭山地方で生産されている。芳醇な味わいをもつ狭山茶は、お茶にとっては寒冷の地に栽培されるため葉肉が厚くなり、深いコクのある茶葉になるのだ。寒冷であるため、狭山茶は年に2回しか収穫せず、新茶の収穫時期は4月下旬~5月下旬となっているようだ。
鹿児島県
お茶の生産量が静岡県に迫る勢いのある鹿児島県は、広々とした平地に茶畑が広がっているのが特徴だ。そして、県内で生産されるかごしま茶は、ふくよかで濃厚な旨みが味わえるのだ。温暖な鹿児島県は、全国に先駆け4月上旬から新茶の収穫・生産が始まり、5月初めから中旬まで行われている。
3. 時期の短い新茶と番茶との違いは?

お茶は年に2~3回ほど摘みとられている。前述にもあるが、新茶とはその年の最初に摘みとった新芽のお茶で、一番茶とも呼ばれている。新茶のほかに、収穫時期の違いで二番茶や三番茶と呼ばれるお茶もあるのだ。ここでは、新茶との違いを紹介していこう。
時期の短い新茶
一般的に新茶と一番茶とは同じお茶を指すことが多い。その年の最初に摘みとられた新芽で作られたお茶を、旬のものとして新茶と呼ばれるようだ。前述した通り、産地にもよるが4~5月のうちに新茶の摘みとりは終わってしまう。新茶の時期は短いので旬に味わってみるといいだろう。
二番茶、三番茶とは
最初に摘んだ新芽が新茶または一番茶だが、新茶の約45日後に摘んだものを二番茶という。三番茶は、さらに約35日後に摘んだものだ。二番茶、三番茶は、太陽の光を新茶より多く浴びているので甘みの成分であるテアニンが極端に減り(※1)、苦みや渋みの成分が多くなる。また、アミノ酸やビタミンなどが豊富だといわれる。また、気温が上がると品質は下がり、価格は収穫時期が遅くなるほど安くなるのだ。
4. 時期を逃さず美味しい新茶を飲もう!

新茶の時期は短いが、上質なお茶は旬のものとして美味しく飲みたいという人もいるだろう。ここでは美味しい新茶の淹れ方を紹介する。収穫時期の違う二番茶、三番茶などほかのお茶にも共通したお湯の温度についてもあわせて紹介しよう。
美味しい新茶の目安
お茶を入れるためには、茶葉とお湯が必要だ。茶葉の量は、1人あたりティースプーン2杯くらいが目安だ。気持ちばかり多めに入れると味わい深くなるといわれる。お湯は70~80℃くらいものが150~200mlほど必要だ。約70℃の目安は、湯飲みに入れて、手でやっと持てるくらいの熱さだといわれているので覚えておくといいだろう。
新茶の美味しい淹れ方
次に手順を紹介する。まずは、急須に茶葉を入れよう。次にお茶を入れる湯飲みにお湯を入れ、70~80℃くらいに冷ましてから急須に入れる。一度沸騰させたお湯を使うようにしよう。そして40秒ほど抽出してから、2~3回急須を回す。ここで茶葉が開いて、しっかりと味がでるのだ。あとは、湯飲みに少しずつ均等になるように注いでいこう。
お茶を美味しく淹れるポイント
新茶に限らず、お茶を淹れるときはお湯の温度が大切だ。お茶は、温度が高いとカテキンが多く出て、苦みや渋みが多くなる。温度が低いと渋みが抑えられ、旨み成分が多くなって甘みのあるお茶となるのだ。新茶で渋みが足りないと感じたら、少しだけ温度の高いお湯を使うといいだろう。また、湯飲みに注ぐときは、少しずつ入れるのもポイントだ。湯飲みが数個あるときは、濃さが同じになるようにA→B→C、そしてC→B→Aのような順に入れるようにしよう。湯飲みが1個だけの場合でも、5回程度に分けてゆっくり入れるといい。ポイントをおさえて、旬の時期ならではの新茶をしっかり味わってほしい。
結論
新茶とは、その年の最初に摘みとられた新芽からできたお茶だ。苦みや渋みが少なく、旨みや甘みを感じられる新茶をより美味しく味わいたいのであれば、お茶の淹れ方もマスターするといいだろう。お茶を淹れるときの茶葉の量やお湯の温度、淹れる手順などのポイントをおさえ、無病息災を願いながら旬を味わってみてほしい。
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