1. イベリコ豚とは?どんな特徴がある?

イベリコ豚の「イベリコ」とは、スペインとポルトガルのあるイベリア半島のことを指す。イベリコ豚はイベリア半島原産種の子孫であると考えられており、現在はイベリア半島の中央部、スペイン南西部で主に飼育されている。
黒脚の豚
イベリコ豚の特徴は、皮膚の色や硬い毛質だ。黒い脚と爪をもっていることが多く、pata negra(スペイン語で「黒い脚」)と呼ばれることもある。ただし、必ずしも黒い脚や爪をもつわけではなく、ほかの種類の豚にも同様の特徴が見られる場合もあるため、正確に見分ける基準とはならない。
イベリコ豚の品種
イベリコ豚には、イベリア種100%の純血種と、イベリア種とデュロック種(アメリカ起源の赤毛の豚)の交配種がある。交配種の場合、イベリコ豚と称することができるのはイベリア種50%以上のものに限られている。また、スペイン政府の認証が必要だ。
肉質の特徴
イベリコ豚は、脂肪を筋肉組織内に浸透させる力をもつといわれる。豚肉の脂が肉に混ざりやすいため、霜降りが少ないというのがイベリコ豚の肉質の特徴だ。この特徴はイベリア種100%に近付くほど顕著になり、逆に混血50%に近付くほど霜降りが多くなる。また、メス系統100%は肉質がやや硬めであるのに対し、オス系統100%やイベリア種75%とデュロック種25%の交配種は、比較的柔らかいというように、品種による違いもある。
2. イベリコ豚のベジョータは最高ランク!

イベリコ豚はどれも高級品と思われがちだが、実際は日本に輸出されるもののほとんどが高級品ではない。イベリコ豚には3つに分けられたランクがあり、安く大量に出荷されるものはほとんどが最低ランクなのだ。イベリコ豚のランクについて解説しよう。
「ベジョータ」:最高ランク
ベジョータ(BELLOTA)は、すべてのイベリコ豚のうちわずか10%ほどという希少な最高級イベリコ豚である。ベジョータとは「どんぐり」という意味のスペイン語で、その名の通りどんぐりを食べて育つ。ベジョータとして認定されるには、ほかにも次のような厳しい条件をクリアする必要がある。
- デエサ(どんぐりの森)でモンタネーラ(放牧)により育つ。
- モンタネーラ中はどんぐりをはじめ自然物のみを食べ、飼料は与えられない。
- 出生後の飼育期間が最低14ヶ月間。
- 最低重量やモンタネーラ中の体重増加量などが細かく決められている。
- モンタネーラの期間や屠畜の期間も決められている。
「セボ・デ・カンポ」:2番目のランク
2番目のランクであるセボ・デ・カンポ(CEBO DE CAMPO)は、デエサでモンタネーラされるという点はベジョータと同様だが、どんぐりではなく草などの自然物や飼料を食べて育つ。また、最低12ヶ月間の飼育期間が定められている。
「セボ」:3番目のランク
3番目のランクであるセボ(CEBO)は、モンタネーラではなく狭い豚舎で穀物飼料を食べながら育つ。50%の交配種が多く、ほかのランクに比べ飼育期間も最低10ヶ月と短い。大量に飼育されるため、安価なイベリコ豚として日本にも多く流通している。
3. イベリコ豚の味わい方

イベリコ豚を入手したら、特別な調理をするべきかと構えてしまうかもしれない。しかし、一般的な豚肉料理に使うだけでも、イベリコ豚の美味しさを気軽に味わうことができる。次のような食べ方がおすすめだ。
イベリコ豚の定番料理
- ステーキ:厚めのイベリコ豚を食べるなら、シンプルなトンテキが美味しい。
- しゃぶしゃぶ:薄切りならシンプルにしゃぶしゃぶでいただこう。冷しゃぶもおすすめだ。
- メンチカツ:ミンチのイベリコ豚はメンチカツが定番だ。つなぎを少なめにして肉の旨みを味わおう。
- 角煮:イベリコ豚は甘辛い味との相性もよい。バラ肉のブロックは、中華風角煮で食べよう。
- 生姜焼き:いつもの料理も、濃厚で旨みの強いイベリコ豚で作ると一段と美味しい。
ハモン・イベリコ(イベリコ豚の生ハム)の食べ方
イベリコ豚は、生ハムに加工されたものも多い。そのままつまみとして食べたり、サンドイッチやサラダの具材にしたりするのがおすすめだ。冷蔵庫から出してすぐよりも、30分~1時間ほど常温に出してから食べると、口に入れたときに脂が溶け出してより美味しい。
結論
イベリコ豚にはランクがあり、最高ランクであるベジョータは非常に希少なため、なかなかお目にかかれない。国内で入手するには、ネットショップを利用するのが確実だ。ハモン・イベリコはつまみとして少し常温に出してから食べよう。精肉もシンプルな調理法で素材の味を楽しむ食べ方がおすすめである。
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