1. アボカドのカロリーは高い?
アボカドは木になることから、日本では果物とされているが、食卓には野菜として並ぶことがほとんどだ。中南米地方が原産で、日本のスーパーでは、メキシコ産をよく見かける。それらは主にハス種と呼ばれるものだが、世界にはなんと500種類のアボカドがあるという。アボカドの果肉はその多くが不飽和脂肪酸であり、これがまろやかな味わい、森のバターの異名をもつ所以である。この辺りの印象から、カロリーが高いといわれるのではないだろうか。
アボカドのカロリー
アボカドは、160~200g程度のものが販売されていることが多い。1個あたり、半量あたりのカロリー計算は、今回は実際に購入した214gのアボカドを基準に換算している。アボカドの廃棄率は30%なので、可食部を70%と計算していこう。
100gあたり:178kcal(※1)
1個あたりの可食部:267kcal
半量あたりの可食部:134kcal
1個あたりの可食部:267kcal
半量あたりの可食部:134kcal
ほかの野菜のカロリーと比較
アボカドは、カロリーが高いといわれている。ほかの野菜とどのくらいの違いがあるのか、すべて100g換算で比較するとその違いは、明らかだ。10倍を超えるものもある。
アボカド:178kcal(※1)
レタス:11kcal(※2)
玉ねぎ:33kcal(※3)
トマト:20kcal(※4)
レタス:11kcal(※2)
玉ねぎ:33kcal(※3)
トマト:20kcal(※4)
2. アボカドの糖質
アボカドは、ほかの野菜に比べるとカロリーが高く、それだけで悪者にされがちだ。またカロリーが高い=糖質も高いと勘違いしてしまいがちだが、実はアボカドは低糖質な食材でもある。さらに身体にうれしい栄養素が豊富に含まれている。
アボカドの糖質量
ここでも1個と半分の糖質量は、上記で実際に購入した214gのアボカドをベースに換算していこう。
100gあたり:2.3g(※1)
1個あたりの可食部:3.4g
半量あたりの可食部:1.7g
1個あたりの可食部:3.4g
半量あたりの可食部:1.7g
ほかの野菜の糖質量と比較
すべて100g換算で比較するとカロリーとはまるで違う結果が見てとれる。4つのなかで、アボカドはレタスの次に糖質が少ないことがわかる。
アボカド:2.3g(※1)
レタス:1.7g(※2)
玉ねぎ:6.9g(※3)
トマト:3g(※4)
レタス:1.7g(※2)
玉ねぎ:6.9g(※3)
トマト:3g(※4)
アボカドには食物繊維が豊富
実は、アボカドは食物繊維が豊富な食材だ。アボカド100gあたりに含まれる食物繊維は、なんと 5.6gだ(※1)。ご存知の通り炭水化物は、糖質+食物繊維なので、炭水化物のおよそ70%が食物繊維ということになる。なめらかな舌触りからは、食物繊維は感じづらいが、食物繊維が豊富な食材の代名詞ごぼうと遜色がない含有量だ(※5)。とくに保水性が高く、体内で膨らむ不溶性食物繊維が多いことも特徴である。これは、便の排出を促すとされており、便秘にも効果があるとされている(※6)。
3. アボカドは脂質が多い?
アボカドのあのなめらかな味わいの元、ともいえるのが多く、アボカドには脂質が多い。ここではその脂質の量と質についてリサーチしていこう。
アボカドには良質な脂質が豊富
アボカドには、100gあたり17.5gの脂質が含まれている(※1)。その脂質の内訳として最も多いのがオレイン酸だ(※7)。オレイン酸は不飽和脂肪酸のひとつで、一価不飽和脂肪酸。血中のコレステロールを下げる効果があるとされており、一般的に良質な脂質と呼ばれている(※8)。さらに注目したいのは、オメガ3とも呼ばれるα-リノレン酸が含まれているところ(※7)。こちらは多価不飽和脂肪酸のn-3系に分類されるもので、これは体内生成ができないため、必須脂肪酸のひとつに数えられている。α-リノレン酸は体内でEPAやDHAに変換される。また、冠動脈疾患予防効果があるとされている(※9)。
4. アボカドの栄養
アボカドはこのほかにも有用な栄養素を含んでいる。ここからはその量と役割についておさらいしてこう。
ビタミンB群
アボカド100gに含まれているビタミンB群の数値以下の通りだ。
ビタミンB1:0.09mg
ビタミンB2:0.20mg
ビタミンB6:0.29mg(※10)
ビタミンB2:0.20mg
ビタミンB6:0.29mg(※10)
ビタミンB群は、エネルギー代謝に欠かすことのできない栄養素だ。不足すると疲れが取れない、口内炎ができる、だるいなどの症状が現れることもある。(※11)(※12)(※13)
ビタミンB1は、ブドウ糖をエネルギー変換する作用があり、このことから運動後の疲労回復にも効果を発揮してくれる(※10)(※11)。ビタミンB2は、成長期にも欠かすことのできない栄養素だ。また、髪や爪の再生にも関わりがある(※12)。またビタミンB6は、赤血球のヘモグロビン成熟に関わりが大きい(※13)。ビタミンB群は水溶性なので、生で食べられるアボカドは、効率よく摂取できるといえるだろう。(※11)(※12)(※13)
ビタミンE(トコフェロール)
アボカド100gに含まれているビタミンEは、3.6mgだ(※1)。ビタミンEは、別名「若返りのビタミン」とも呼ばれる栄養素。これはビタミンEが、細胞やLDLコレステロールの酸化を防ぐ効果があるからである。不足するとシミやシワができやすくなる。30〜49歳の成人男性の食事摂取基準が、6.5mgなので、アボカドを1/2個で半分以上摂取できることになる(※14)。
カリウム
アボカド100gに含まれているカリウムは、590mgだ(※1)。カリウムは、ナトリウムを排出する効果があるため、塩分の取りすぎを防いでくれる。果物や野菜に多く含まれているが、アボカドの含有量は随一である。むくみを抑えてくれる効果もある栄養素だ。またカリウムも水溶性だが、洗わずに食べられるアボカドは、余すことなく栄養素を摂取できる(※15)。
結論
アボカドは、野菜と考えるとカロリーが高いものの、身体に嬉しい栄養素を豊富に含んでいる食材といえる。どんな食材でも食べすぎれば、太るので一概にはいえないが、適量であれば太りやすいとはいいにくい。生で食べることができるので、簡単。さらに栄養素を逃さずにいただけるところもうれしい。ほかの食材とのバランスも考えていただきたい。
(参考文献)
※1 アボカド|食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07006_7
※2 レタス|食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06312_7
※3 玉ねぎ|食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06153_7
※4 トマト|食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06182_7
※5 ごぼう|食品成分データベース
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/58/4/58_4_186/_article/-char/ja/
※6 繊維質と食物繊維|公益社団法人日本食品科学工芸会
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/58/4/58_4_186/_article/-char/ja/
※7 アボカド|食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07006_7&MODE=1
※8 不飽和脂肪酸|e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-031.html
※9 脂質|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042631.pdf
※10 ビタミンB1の働きと1日の摂取量|公益財団法人長寿科学復興財団
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-b1.html
※11 豚肉に豊富なビタミンB1の働きは?|公益財団法人日本食肉消費総合センター
http://www.jmi.or.jp/qanda/bunrui5/q_082.html
※12 ビタミンB2の働きと1日の摂取量|公益財団法人長寿科学復興財団
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-b2.html
※13 ビタミンB6/B12の働きと1日の摂取量|公益財団法人長寿科学復興財団
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-b6.html
※14 ビタミンEの働きと1日の摂取量|公益財団法人長寿科学復興財団
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-e.html
※15 カリウムの働きと1日の摂取量|公益財団法人長寿科学復興財団
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-k.html
※1 アボカド|食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07006_7
※2 レタス|食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06312_7
※3 玉ねぎ|食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06153_7
※4 トマト|食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06182_7
※5 ごぼう|食品成分データベース
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/58/4/58_4_186/_article/-char/ja/
※6 繊維質と食物繊維|公益社団法人日本食品科学工芸会
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/58/4/58_4_186/_article/-char/ja/
※7 アボカド|食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07006_7&MODE=1
※8 不飽和脂肪酸|e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-031.html
※9 脂質|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042631.pdf
※10 ビタミンB1の働きと1日の摂取量|公益財団法人長寿科学復興財団
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-b1.html
※11 豚肉に豊富なビタミンB1の働きは?|公益財団法人日本食肉消費総合センター
http://www.jmi.or.jp/qanda/bunrui5/q_082.html
※12 ビタミンB2の働きと1日の摂取量|公益財団法人長寿科学復興財団
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-b2.html
※13 ビタミンB6/B12の働きと1日の摂取量|公益財団法人長寿科学復興財団
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-b6.html
※14 ビタミンEの働きと1日の摂取量|公益財団法人長寿科学復興財団
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-e.html
※15 カリウムの働きと1日の摂取量|公益財団法人長寿科学復興財団
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-k.html
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