目次
1. 代表的なさつまいもの種類と特徴・カロリー

日本で栽培されている主なさつまいもは、およそ60種類ほどあるといわれ、その食味からほくほく系、しっとり系、ねっとり系に大きく分けることができる。カロリーを個別に解析した事例はないが、一般的なさつまいもは100gあたり126kcalである。(※1)糖度が高いもののほうがカロリーが高い可能性はあるが、一概には述べられない。
ここではまず、スーパーでよく見かける代表的な品種から見ていこう。
べにはるか
2007年に九州で誕生したべにはるか。「はるか」に甘い、美味しいことからこの名前がつけられたという。美しく形が揃ったものが多く収穫できるところも特徴だ。収穫直後は粉質が高いが貯蔵すると粘質になり、甘みも強くなる。いわゆるしっとり系だ。現在は茨城県での作付けが多く、「紅優甘」などのブランドさつまいもも登場している。見た目の美しさから、焼き芋としても人気が高い。味にクセがなく、すっきりとしたあと味なので菓子に向いている。
鳴門金時
西日本で多くのさつまいも品種の元になった高系14号から生まれた品種で、粉質が高く、栗のような味わいが特徴だ。徳島県など、産地は西日本に多い。味にクセがないので、料理からお菓子作りまで幅広く使うことができる。ほくほく系で、昔ながらのさつまいもという印象だ。
安納芋
ねっとり系ブームの火付け役、安納芋は、まるで蜜のようなしっとり感、強い甘さが特徴だ。種子島の安納地域で栽培されていることから、この名がついた。水分量が多く、焼き芋にするととろりととろけだすほど。収穫後、貯蔵することで甘みが増す。こちらはねっとり系だ。
紅あずま
鳴門金時が西日本のさつまいもだとすれば、紅あずまは東日本を代表するさつまいもだ。美しい紅色の皮が特徴で、粉質のほくほく系だ。クセのない味わいなので、こちらも料理からお菓子まで幅広く活用することができる。
紅さつま
鳴門金時同様、高系14号から生まれた品種で、名前の通り、薩摩=鹿児島県で作られている。ほくほくとした昔ながらのさつまいもで、焼酎の原料に使われることもある。鹿児島の風土に合わせた種類なので、鹿児島以外では同じように育たない可能性があるとされている。
シルクスイート
ここ数年、見かけることの多くなったシルクスイート、こちらは商標で本名はHE306という種類だ。その名の通り、絹のような滑らかさ、口どけが人気だ。まるでスイーツのような甘さも必見!!!収穫後はほくほく系だが、貯蔵するとねっとり系に変化する特徴がある。
2. 特徴別:さつまいもの種類一覧

2000年代まではさつまいもといえば、粉質でほくほくとした食感のものが一般的であったが、安納芋の登場とともに徐々に甘く、水分量の多いまるでスイーツのようなさつまいもに注目が集まるようになる。この結果、今ではほくほく系以外にしっとり系、ねっとり系が登場している。今一度、この分類をわかりやすく解説していこう。
ほくほく系
2000年代までは、さつまいもといえばこのほくほく系がほとんどであった。まさに昔ながらの味わいといえよう。種類でいうと紅あずま、紅こがね、紅さつま、鳴門金時、五郎島金時などがある。天ぷらや焼き芋に向いている。
しっとり系
近年、最も注目を集めているといっても過言ではないのがこのしっとり系。ほくほく系とねっとり系の中間に位置する味わいは、滑らかで上品。種類でいうとクイックスイート、紅まさり、紅はるか、ひめあやかなどがある。
ねっとり系
2000年代になってから、さつまいも業界を激震させたのがねっとり系だ。強い甘みで、とにかく水分量が多く、焼き芋にするとまるでスイーツのような味わいになるのが特徴だ。甘さもピカイチである。種類でいうと安納芋、シルクスイートなどがある。
3. 目的別:さつまいもの種類一覧

さつまいもは、料理からお菓子まで幅広く使えるところも嬉しい。ここではそんなさつまいもの代表料理栗きんとん、そして定番の焼き芋、スイートポテトなどのスイーツ3つに向いているさつまいもの品種についてリサーチしていこう。
栗きんとん用のさつまいもの種類
お正月に欠かせない栗きんとんに向いているのは、ほくほく系のさつまいもである。繊維質が少ないものを使うと裏ごしがしやすいので、紅あずまや鳴門金時が向いているといえるだろう。
焼き芋用のさつまいもの種類
焼き芋は、さつまいも定番の食べ方である。じっくりと時間をかけて火を通すことで、甘みが増すので、オーブンや炊飯器などを活用して作るのがおすすめだ。どのさつまいもも、焼き芋に向いている。味わいの好みによって選ぶといい。店で販売されているさつまいもは、しっとり系またはねっとり系が多いことを鑑みるとシルクスイート、紅まさり、紅はるか、安納芋などがトレンドとはいえそうだ。
スイーツ用のさつまいもの種類
さつまいものスイーツといえば、スイートポテトであろう。スイートポテトはバターや生クリームを添加するので、ほくほく系かしっとり系がおすすめだ。
4. 産地別:さつまいもの種類一覧

さつまいもは熱帯アメリカ生まれの芋類だ。中国から琉球(沖縄県)に渡り、その後薩摩藩(鹿児島県)に伝来したとされている。今でも鹿児島県と沖縄県が今でもさつまいもの産地としてよく知られている。ここでは、両県で栽培されているさつまいもの種類にフィーチャーしていこう。
鹿児島県のさつまいもの種類
さつまいもの収穫量ナンバーワンを誇るのが鹿児島県だ。(※2)そもそもはかんしょと呼ばれていたものが、薩摩の芋からさつまいもになったという逸話があるほど、関わりが深い。そんな鹿児島で栽培されている品種も数多く存在する。鹿児島県だけで育てられている紅さつま、定番の紅あずま、芋焼酎の原料としても愛されている黄金千貫、オレンジ色の果肉が特徴の紅はやとなどがある。
沖縄のさつまいもの種類
沖縄県は日本のさつまいも栽培のルーツでもある。戦時中、誕生した沖縄100号や護国という品種は、米などがまるでなかった時代を支えた存在としても知られている。現在、沖縄で栽培されているさつまいものなかでも紅いもと呼ばれる紫芋は、人気が高い。宮農36号、備瀬、沖夢紫などがある。スイーツにも使われることが多い。
結論
さつまいもは、種類が非常に豊富な芋類である。とくに近年、糖度が高く、ねっとりとしたいわゆる蜜芋ブームが訪れたことで、品種改良にも拍車がかかっている。ひとくちにさつまいもといっても、その味わいは千差万別。いろいろと食べ比べて自分の好みのさつまいもを見つけてみるのもいいかもしれない。
(参考文献)
※1出典:文部科学省食品成分データ「いも及びでん粉類/<いも類>/(さつまいも類)/さつまいも/塊根/皮なし/生」
※2出典:農林水産省「サツマイモ「どこからきたの?」」
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