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玄米

玄米の栄養と効果|玄米だけだと栄養失調になるって本当?

投稿者:ライター 井澤佐知子(いざわさちこ)

監修者:管理栄養士 児玉智絢(こだまちひろ)

鉛筆アイコン 2021年12月 2日

噛みしめるほどに滋味を味わえる玄米は、健康ブームとともに注目を浴びている食材である。白飯とは異なる食味とはいえ、普段のおかずとも相性がよいのも魅力のひとつだ。ヘルシーといわれる玄米は、具体的にどのような栄養があるのだろうか。玄米だけでは栄養に不足があるという噂は本当なのか。本記事では、玄米の栄養について詳細を紹介する。

  

1. 玄米の栄養素と効果

玄米ご飯と和食
白飯よりも身体によいといわれることが多い玄米。毎日ではなくても、定期的に玄米を食べたり、あるいは白飯と混ぜて食べたりしている人もいるかもしれない。その玄米の栄養について、具体的に説明する。

玄米の栄養成分表

玄米100g当たりのカロリー、糖質、および主な栄養は以下のようになる(※1)。
  • カロリー:152kcal
  • 糖質:34.2g
  • 脂質:1.0g
  • 食物繊維:1.4g
  • ナイアシン当量:3.6mg
  • ビタミンE:0.6mg
  • ビタミンB:60.21mg
  • マグネシウム:49mg
  • リン:130mg
  • 亜鉛:0.8mg
  • タンパク質:2.8g

玄米の栄養:食物繊維

玄米には豊富な食物繊維が含まれている。成人男性ならば、1日に摂取すべき食物繊維量は21g以上とされている(※2)。玄米100g中には、1.4gの食物繊維が含まれており貴重な供給源となるのである。食物繊維は、大腸まで到達する栄養素であり、大腸内で発酵及び分解されて腸内環境の向上に一役買う。

玄米の栄養:ミネラル

玄米に含まれるミネラルも注目すべき数値だ。マグネシウム、リン、亜鉛、カリウム、マンガンなど、多種多様なミネラルが含まれている。成人男性の1日の推奨量は370mg前後である。(※3)玄米100g中には49mgのマグネシウムが存在する。またリンは、骨や歯に不可欠の栄養素で成人男性が1日に摂取すべき量は1000mg(※4)。玄米100g中には130mgが含まれる。亜鉛の1日の推奨量は11mgで、玄米100gには0.8mgの存在が認められている。亜鉛は体内における新しい細胞生成の必須要素である(※3)。

玄米の栄養:ビタミン

玄米が内包するビタミンには、ナイアシンをはじめとするビタミンB群やビタミンEがある。ナイアシンは脂質などの代謝に寄与し、エネルギー産生のために活躍する栄養素である。成人男性の1日の推奨量は15mgNEほどなのに対し、玄米100gには3.6mgNEが含まれている(※3)。ビタミンB6は免疫機能の維持や皮膚の健康のために役立つ栄養素で、1日の推奨量は成人男性で1.4mg(※3)。玄米100gには0.21mgが含まれる。ビタミンEは血管の健康やコレステロールのバランス維持に有益である。1日の理想的な摂取量は6?7mg、玄米100gには0.6mgが含まれている(※3)。

玄米の栄養:タンパク質

穀類とタンパク質はあまり結びつかないが、玄米には良質なタンパク質が含まれている。そもそもタンパク質は、ホルモンや代謝、体内のさまざまな器官を十全に働かせるために重要な栄養素である。成人男性は1日に65gのタンパク質の摂取が推奨されている(※5)。玄米100gには2.8gのタンパク質が存在している。

2. 玄米のそのほかの栄養

発芽玄米
玄米には、上記にあげた栄養以外にも多岐にわたる栄養が含まれている。たとえばビタミンB1の量は玄米100g当たり0.16mgである(※1)。成人男性の理想の摂取量1.4mgに大いに寄与してくれる量である(※6)。ビタミンB1は、体内におけるエネルギー産生において重要な役割を果たしている(※6)。さらに、玄米にはフェルラ酸というポリフェノールもある。フェルラ酸はメラニンを抑える働きがあるため、美白などの美容の分野で有用な栄養といえるだろう(※7)。

3. 玄米だけだと栄養不足で栄養失調になる?

玄米
ヘルシーな食材として、玄米は完全食品という異名を持つ。しかし実際には、すべての栄養をくまなく網羅しているとは言い難いのである。そのため、玄米だけ食べていては体調を万全の状態に維持することは難しい。そこで、玄米には何が足りないのか、おかずにはどのようなものがふさわしいのかを説明する。

玄米に足りない栄養素

文部科学省の食品成分データベースを参考にすると(※1)、玄米にはビタミンB群とEは含まれているものの、それ以外のビタミンが欠如している。具体的には、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンKなどがそれである。またビタミンB群のなかでも、B12に関しては含有量が0μgなのである。

玄米食におすすめのおかず

玄米だけでは補えない栄養をおかずで補足してみよう。たとえばレバーを使ったおかずならば、ビタミンA、B12、Dが補給できる。緑黄色野菜を使用すれば、ビタミンAとCが摂取できるだろう。ビタミンKを取り入れたい場合は、納豆や海藻類を一緒に食べるのがベターである。いずれの食材も、玄米に合うおかずを簡単に作れることから、完全食のためのメニューはそれほど難しいものではない。

4. 玄米と白ご飯の栄養やカロリーの違いを比較

白米と玄米
普段食べている白飯と玄米には、どの程度の栄養の相違があるのだろうか。(※8)。

100g当たりの数値(白飯:玄米)

  • カロリー:156kcal:152kcal
  • 糖質35.6g34.2g
  • 脂質:0.3g:1.0g
  • ビタミンB1:0.02mg:0.16mg
  • ナイアシン当量:0.8mg:3.6mg
  • 葉酸:3μg:10μg
  • 食物繊維:1.5g:1.4g
  • マグネシウム:7mg:49mg
  • リン:34mg:130mg
  • 亜鉛:0.6mg:0.8mg
  • パントテン酸:0.25mg:0.65mg
    カロリーに関しては白飯がわずかに高く、脂質は玄米が多い。突出した数量の相違は、ビタミンB1、ナイアシン、葉酸、マグネシウムをはじめとするミネラル類、そしてパントテン酸があげられる。パントテン酸もビタミンB複合体のひとつであり、欠乏すると皮膚炎や神経系の変性を誘発する可能性もある(※9)。カロリーそのものは大きな変化もないため、主食から栄養を補給したい場合には玄米のほうがメリットがあることが数字からもわかる。

    5. 栄養豊富な玄米を美味しく食べる方法

    韓国のキムチボックンバプ
    白飯よりも栄養面において見るべき点が多い玄米。食べ慣れれば美味しいものの、最初は食べにくいと感じることも多い。玄米を毛嫌いせずに美味しく食べるためには、どんな工夫が必要だろうか。玄米の栄養を美味しく摂取するためのコツを紹介する。

    玄米と白米を混ぜる

    玄米だけでは食べにくいという場合には、白米と混ぜて炊く方法がある。白米と玄米の割合は2:1とし、炊飯前の浸水は2時間以上にするとより美味しくなる。洗米もともに行い、通常の白飯炊飯モードで美味しく炊くことができる。もちろん、栄養的には玄米100%と比較すれば下がるものの、ムリなく日常的に玄米を食べるにはベストな方法である。

    炒飯などにアレンジする

    白飯よりも粘りがない玄米食は、味付けのご飯にすると食べやすくなる。たとえば炒飯にすれば、肉や野菜、卵を具材にして炒めるために、玄米独特の食感も気にならなくなる。あるいはお粥にしてもよいだろう。どろどろになるまで煮込み生姜などでアクセントをつけると、身体も温まる一品となる。夏ならばライスサラダにして、トマトやチーズなどと合わせて美味しく食べたい。

    6. 玄米パフにも栄養はある?

    パフライスケーキ
    玄米を使った食材のひとつに、パフがあげられる。パフとは穀類を炒って膨らませたものである。ポン菓子なども玄米パフの代表といえる。スナック感覚で楽しんだり、お茶漬けや雑炊、また菓子などにも使用される食材である。玄米パフを販売する株式会社きのしたの商品の情報を参考にすると、玄米パフ100g当たりのカロリーは405kcalである。脂質も糖質も通常の玄米と比べるとかなり高くなるが、炒って膨らませてあるためこれは当然といえる。食物繊維は2.9g、タンパク質は7.8gである。つまり、玄米パフとなっても玄米の特徴である主要な栄養は含有されている。ただし、玄米と玄米パフは食感や用途も異なることから、その栄養量を一概に比較することはできないだろう。

    7. 玄米の栄養摂取にはしっかり噛もう

    玄米おむすび
    玄米は白飯と比べても噛みごたえがあるのが特徴である。さらに、玄米を咀嚼することでより栄養を正しい形で摂取できることがテレビで放映され、話題になっている。その理由として、玄米は口の中で100回以上咀嚼されることによって、唾液中の酵素が作用しより消化を安易にすることがあげられている。玄米にかぎらず、食べ物を咀嚼することが健康に直結することは、日本成人病予防協会のサイトでも報告されている(※10)。消化吸収を促進するだけではなく、過食を防ぎ精神を安定させるセロトニンの分泌にも一助となるのである。玄米も、その滋味を堪能しつつよく噛んで食べるのが栄養摂取のための近道といえるだろう。

    結論

    完全食といわれる一方で、それだけ食べていても栄養が偏ってしまうのが玄米である。白飯と比べると食べにくさはあるものの、ビタミンB群やミネラルなど摂取できる栄養は非常に多い。玄米に欠如している栄養は美味しいおかずで補いつつ、工夫を加えて玄米を食べる習慣をつけよう。また、胃の負担とならぬように玄米はよく噛んで食べることもお忘れなく!
    (参考文献)
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    • 更新日:

      2021年12月 2日

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