目次
- 筍:食品としてのたけのこを指す
- 竹の子:植物としてのたけのこを指す
- 笋:植物としてのたけのこを指すことが多いが、使用頻度は低い
- ※農林水産省 北陸農政局「今月の園芸特産作物:4月 たけのこ」 https://www.maff.go.jp/hokuriku/seisan/engei/tokusan201604.html
1. たけのことは?

たけのこは、春の限られた期間のみ楽しめる貴重な食材である。それは、単に春が旬というだけでなく、成長が早く収穫しそこなうと竹に育ち、食べられなくなってしまうからだ。
たけのこが竹になるまで
土から頭を出したばかりのたけのこは、産毛の生えた皮に包まれている。何枚も重なった皮により、イノシシなどの野生動物から保護されているのだ。地表に出て成長するにつれ、皮が自然と剥がれ落ちていく。皮が完全に剥がれて竹となるまでに、たけのこの身は少しずつ硬くなっていく。そして最初の皮が剥がれてから約30日後、すべての皮が落ちることにより、たけのこは竹になるのである。
たけのこの食べごろ
たけのこが美味しく食べられる期間は非常に短い。たけのこは、主に土に埋まっている部分を掘り出して食べる。そのため、土から頭が出るか出ないかくらいのタイミングが、一番の食べごろである。たけのこは成長が早く、伸び過ぎたものは硬くて食べられないのだ。
一般的な旬は春から初夏にかけての期間といわれる。孟宗竹の旬は3~4月、淡竹や真竹は4~6月というように、種類によって旬が異なる。収穫開始時期も地方により異なり、鹿児島などが早くて11月ごろ、四国などが12月ごろ、京都などが2月中旬ごろとされる。
2. たけのこと筍の違い

たけのこには、「筍」、「竹の子」、さらに「笋」というようにさまざまな漢字表記の仕方がある。いずれも「竹の地下茎から生え出る若芽」という共通した意味をもつが、一般的には下記のように使い分けられることが多い。
厳密な決まりはないが、食材としてのたけのこを表す場合は、筍という表記を選ぶのが一般的ということだ。
3. たけのこの種類

食用として流通するたけのこには、さまざまな種類がある。代表的な3種類のたけのこについて、詳しく見ていこう。
孟宗竹
孟宗竹は、最も多く出回る一般的なたけのこで、直径18cmほどのずんぐりとした太い形状が特徴だ。中国江南地方が原産で、日本では九州を中心に四国や関西地方などで多く生産される。アク抜きが必要だが、肉厚でやわらかく食感のよさ、甘みと風味を楽しめる。煮物やたけのこごはんをはじめ、さまざまな料理に用いられる。
淡竹
淡竹は、直径3~10cmほどの細長いたけのこで、赤紫色で産毛のない皮が特徴である。九州や、四国、近畿地方で主に生産される。アクや苦みの少ない淡泊な味わいで、生食も可能だ。ただし青みの強い未熟なものや伸び過ぎたものは、アク抜きが推奨される。
真竹
は、直径15cmほどの淡竹に似た形状のたけのこで、日本にも古くから自生していた。産毛のないツルっとした皮に、黒い斑点があるのが特徴だ。九州、四国、中国、関西で生産され、とくに京都に多い。コリコリとした食感で風味もよいが、肉質が硬くアクが強い。そのため、孟宗竹と同様にアク抜きが必要である。煮物や炒め物に向いている。
4. たけのこの皮はどこまで剥けばいい?

たけのこを調理する際に、皮をどこまで剥けばよいのか迷いがちである。そこで、皮の剥き方のコツを紹介しよう。
アクを抜いてから皮を剥く
皮を剥く前に、まずは下茹でによるアク抜きを済ませておこう。その際、皮を剥きやすくするために、たけのこに縦に一本切り込みを入れておくとよい。切り込みから指を入れて皮を剥くと、簡単に剥がすことができる。
中身は色で判断しよう
外側から皮をまとめて数枚剥いていき、茶色い皮をすべて剥がす。そのあとは、皮の色を見ながら少しずつ剥いていこう。剥いていくうちに茶色い部分が次第に薄い色になってくる。中身が黄色くなったところで、皮むきをやめよう。たけのこの先端のみが茶色い場合は、全体を剥くのではなく先端を包丁で切り落とすとよい。
たけのこの白いものは何?
たけのこを切ると、断面に白い粒のようなものが見られる。これは、アミノ酸の一種であるチロシンという成分だ。人体に無害な栄養成分のため、そのまま調理しても問題ない。(※)
結論
たけのことは、竹の地下茎から生える若芽のことで、食べごろが限られた貴重な食材である。孟宗竹をはじめとしたさまざまな種類があり、いずれも歯ごたえや風味のよさが特徴だ。アク抜きや皮むきなど調理にはコツがいるが、旬のたけのこには水煮とは異なる魅力がある。採れたてのたけのこの美味しさをぜひ楽しもう。
(参考文献)
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