目次
- ビタミンA
- ビタミンB2
- ビタミンC
- カリウム
- 鉄
- ※1出典:科学技術振興機構(JST)「園学雑.(J. Japan. Soc. Hort. Sci.) 75 (3): 267-269. 2006.」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjshs/75/3/75_3_267/_pdf/-char/ja
- ※2出典:文部科学省「野菜類/コリアンダー/葉/生」 https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06385_7
- ※3~7出典:一般社団法人 オーソモレキュラー栄養医学研究所「栄養素の説明」 https://www.orthomolecular.jp/nutrition
- ※8出典:全日本自動車産業労働組合総連合会「<今月の旬>パクチー」 https://www.jaw.or.jp/anzen/management/cook/cook86.htm
- ※9出典:医療法人社団・一友会 ナチュラルクリニック代々木「凄い!!スパイスの魅力」 https://www.natural-c.com/blog/2018/09/post-147-614386.html
1. パクチーは別名カメムシ草?

独特のにおいが特徴のパクチーはセリ科の一年草で、香菜(シャンツアイ)やコリアンダーという別名でも知られている。料理のトッピングや炒め物、スープ、麺類、サラダ、ソースなど、幅広く使えるのが特徴だ。ここではパクチーの名前の由来について紹介しよう。
名前の由来
パクチーはタイ語で、英語でコリアンダー、フランス語でコリアンドル、ポルトガル語でコエントロと、国によって異なる名前で呼ばれているのが特徴だ。コリアンダーという名前はギリシャ語で虫を意味する「Koris(コリス)」からきており、虫のような悪臭を持つのが由来だ。パクチーのことをカメムシのにおいがするという人がいるが、昔から世界的に虫のにおいと思われていたらしい。
正式な和名はコエンドロ
日本でパクチーはコエンドロと称されてきた。コエンドロはポルトガル語のコエントロがなまった言い方だ。一般的に知られているスパイスのコリアンダーは果実で、これが生薬の胡荽子(コズイシ)である。カメムシに似たにおいがするため別名をカメムシ草というが、これは正式な和名ではない。
2. パクチーはなぜカメムシのにおいがするのか

ここではパクチーがなぜカメムシのにおいがするのかを解説する。パクチーに含まれる成分が影響しているのだろうか。
においの成分について
カメムシが発するにおいの原因のひとつが、(E)-2hezenal(ヘキセナール)というにおい成分だ。この成分はパクチーの苗から見つかっているが、成長する段階で徐々に少なくなるそう(※1)。
3. パクチーの栄養成分や効果

ここではパクチーに含まれる栄養成分と効果について紹介しよう。
栄養成分
パクチーに含まれるおもな栄養成分(※2)
それぞれの効果を紹介しよう。
ビタミンA
ビタミンAはレチノール・レチノイン酸・レチナールの3種類がある。レチナールは視覚に、レチノイン酸はガンの予防に働くといわれている。また皮膚と骨の作りかえに役立つ働きがあり、肝臓機能の正常化に効果が期待できる。逆に不足すると気管支やのどを傷めやすく、ポリープができやすくなるとされる(※3)。
ビタミンB2
ビタミンB2を含むビタミンB群は、おもにエネルギーを作るのに活躍する。またビタミンB2は脂質をエネルギーに変えたり、過酸化脂質の分解に関与したり、脳と肝臓の働きに関与する。不足すると肝臓機能が低下したり、疲れ眼や眼の充血、脂質の過酸化、口内炎、口角炎、舌炎といった症状がおきやすい(※4)。
ビタミンC
ビタミンCのおもな働きはコラーゲンを作り、免疫力を高め、鉄の吸収を助け、メラニン色素をストップする。不足するとシワができやすく、キズが治りにくくなったり毛細血管がやぶれやすくなったりするほか、ストレスに弱くなり、シミ・ソバカスができやすくなるとされる(※5)。
カリウム
カリウムは人の身体の中に全部で120~160g存在する。とくに高血圧やストレス負荷時、薬剤服用時、糖尿病の人はカリウムを意識して摂取すべきだ。不足すると脱水や食欲不振、吐き気、筋力低下といった症状がおきやすい(※6)
鉄
鉄は肉・魚・野菜に含まれる栄養成分だ。私たち人間は呼吸で吸う酸素によりエネルギーを作り出し、日々生活している。鉄は酸素を運ぶトラック役のヘモグロビンの一部になり、酸素を全身に運ぶ。不足すると動悸やめまい、頭痛、肩こり、皮膚・髪の毛・爪・粘膜のトラブルといった症状がおきやすい(※7)
古くから薬用にされてきた
パクチーの歴史は古く、古代ギリシャ、古代ローマ、古代エジプトでは医療に使用されていた。日本では平安時代の書物に記載されており、10世紀までに渡来したという。とくに腹痛・風邪・肝臓病・めまい・アレルギー疾患に使われていたようだ。近年では体内に蓄積する鉛のような重金属を排泄する効果が期待できることがわかってきている 。
また、栄養成分のほかにパクチーの香り成分のリナロールとゲラニオールは胃腸のような消化器系に働きかけるため、 食後の胃もたれを解消し、ストレス性の胃痛にも効果が期待できる。さらに悪玉コレステロールを減少させ、やわらかでしなやかな血管を作る(※8)。ただし過剰摂取は、人によって腹痛や下痢をもたらすことがある(※9)。
結論
パクチーはなぜカメムシのにおいがするのかを解説した。シャンツァイやコリアンダーとも呼ばれるパクチーだが、紹介したように身体によい効果が期待できる栄養成分を含んでいる。好き嫌いが分かれるようだが、工夫して調理し食卓に取り入れてみてはいかがだろうか。
(参考文献)
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